本来は安定している肥料の需給バランス
相場を決める最も大きな要素は、需要と供給のバランスだ。では世界的に見て、肥料の需給バランスはどうなっているか。日比さんによると「肥料の消費量と穀物の生産量の関係を見ると、2010年以降、肥料消費はそれほど増えていないのに、穀物生産は着実に増えてきた」と指摘する。
日比さんは2つの理由を挙げる。1つは「品種改良の技術が向上し、施肥を増やさなくても、穀物の生産量を増やせるようになった」こと。もう1つは「国際的に環境問題への関心が高まり、化学肥料の投与を抑えるようになった。その結果、無駄な施肥を減らす取り組みが世界的に進んだ」ということだ。
こうした状況から、1年ほど前までは肥料の供給に余裕のある状態が続くと見込まれていた。日比さんは「需要に対して供給力がそれなりに多いため、本来なら足りないということにはならない」と強調する。
肥料高騰に中国とロシアの要因
ところが予想に反し、肥料価格はこの2年余りの間で大きく上昇した。