主食米の面積を大幅に縮小
西部開発農産は農場の面積が870ヘクタールと、国内で屈指の規模を誇る。栽培している作物はコメや大豆、麦、ソバなど多岐にわたる。一部は二毛作も手がけており、年間の栽培面積は1000ヘクタールを超す。
特徴はスケールの大きさだけではない。土地利用型作物の農場の多くが主食米をメインの作物に据えているのに対し、西部開発農産はその主食米の作付面積を大幅に減らしてきているのだ。具体的には、2014年に148ヘクタールだったが、2022年には65ヘクタールまで減らした。
なぜここまで規模を大きくし、しかも主食米にこだわらずに運営するようになったのか。それを理解するには、農場の歩みを知る必要がある。
「父親が子供のころ、食べるのにとても苦労したことが原点になっている」。社長の照井勝也(てるい・かつや)さんに規模拡大の背景をたずねると、父親で創業者の耕一(こういち)さんについて語り始めた。
コメの生産調整を機に規模を拡大
照井さんによると、父親の耕一さんは近くの農家を訪ね、ご飯を食べさせてもらったこともあったという。農業高校を卒業し、実家で就農したのが1960年代の半ばごろ。当時の面積はコメを中心に数ヘクタールにとどまっていた。
数年後に始まったコメの生産調整(減反)が、規模拡大のきっかけになった。