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農政の転換に2つの背景、浮上した食料問題と財務省の論理

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

農政の転換に2つの背景、浮上した食料問題と財務省の論理

農林水産省が政策の転換を模索し始めている。コメの需給を調節するために出してきた飼料米の補助金の支給を厳しくし、大豆や麦など畑作の振興に力を入れる。日本の未来の食料問題を左右するテーマだけに、長期的な視点から制度設計することが求められる。

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一般品種の飼料米助成は減額

コメ農家の多くがとくに注目したのが、飼料米の補助金だ。2022年12月の政府・与党の調整の結果、大幅に見直すことが決まった。

飼料米は制度上、2つに分類される。主食用のふつうのコメをエサとして使う一般品種と、収量が多く主にエサ用に作られる多収品種だ。

これまではどちらも収量に応じ、10アール当たり5・5万~10・5万円を支給していた。これに対し、一般品種に出す金額の上限を2024年から段階的に引き下げ、26年は7・5万円にする。下限の5・5万円は変わらない。

政策の意図はシンプル。飼料米をより収量が多い品種に誘導するのが目的だ。23年は種の確保が難しいため、24年から実施することにした。

多収品種の「モミロマン」

一方、転作作物として小麦や大豆、飼料用トウモロコシなどを栽培している水田で、5年続けてコメを作らなかった場合、転作補助金の対象から外すルールが22年から適用されている。いわゆる「5年水張り問題」だ。

これを受け、今後はコメを作るのをやめた水田を対象に、10アール当たり2万円を5年間出す制度が23年から始まる。1年限りで14万円の補助金も別途支給する。水田を畑に転換し、畑作物を振興するための政策だ。

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