応募が殺到する人気の制度
神戸ネクストファーマー制度は、神戸市が2021年8月にスタートさせた。働きながら研修を受け、農地も借りられるようにするのが目的だ。
それまで神戸市は、1年間で1200時間以上の研修を受けることを、新たに農業を始める際の条件にしていた。さらに借りる農地は1000平方メートル以上でなければならず、それよりもっと狭い面積で営農をスタートさせることができなかった。
就農前は研修に専念してしっかり栽培技術を学び、就農後は将来の担い手として本格的に農業をすることを期待しているからだ。神戸市によると、他の自治体も同じようなルールを設けていることが多いという。

神戸ネクストファーマー制度のインメージ(神戸市のホームページより)
これに対し、神戸ネクストファーマー制度はもっと手軽に農業を始めたい人に道を開いた。100時間程度研修すれば、100~1000平方メートル未満の農地を借りることができる。別の仕事も続けながら農業を始める人を想定した制度だ。この制度で農業を始めた人を、ネクストファーマーと呼んでいる。
研修は、神戸市がホームページで公表している認定研修機関で受けることができる。市内にある農業スクールや農業法人などが認定を受け、野菜やコメの栽培方法、農産物の加工品のつくり方を学ぶコースを設けている。最近の新規就農の傾向を反映し、有機農業を学ぶコースがあるのも特徴だ。
市の助成を受け、認定研修機関は研修生のために農地を見つけたり、農地を借りた後も栽培を指導したりする。期間は研修後の2年間。地域のさまざまな活動への橋渡し役を務めることなども期待している。
この制度を使い、すでに約10人が農地を借りてネクストファーマーとなり、60人ほどがいま研修を受けている。認定研修機関の定員オーバーで研修を受けることができない人がいるほどの人気ぶりで、神戸市は新たな研修機関を募集している。
民間の農業スクールをモデルに制度を創設
ここで認定研修機関の1つ、有限会社Lusie(ルーシー、神戸市)を紹介しよう。地域の活性化を目指し、不動産流通をはじめとしてさまざまな事業を手がける企業だ。じつは神戸ネクストファーマー制度は、同社の代表である小泉寛明(こいずみ・ひろあき)さんの活動をきっかけに始まった。