草刈り機を使用する前の準備
草刈り機を買ったら、すぐにでも使ってみたいところですが、実際に草刈り機を使って除草作業をする前に、必ずしなくてはいけないことがあります。
これは身の安全を守ることや、他の人に迷惑をかけないために必要なことなので、忘れずにチェックしましょう。
1.草刈り機の説明書をよく読む
2.服装・装備を整える
3.障害物や作業者以外の人を除ける
4.草刈り機の事前点検をする
以上4つのポイントについて、解説していきます。
草刈り機の説明書をよく読む
一言に草刈り機といっても、ガソリンエンジンや電気モーター式などの動力の違いや、スチールやナイロンコードなどの刃の材質の違いなど、さまざまな種類の製品があります。
それぞれ適した使い方や場所がありますが、どの草刈り機を使うにしても、必ず説明書は事前に読みましょう。もともと草刈り機を使っているという人でも、機械ごとに注意事項が異なることもあるので、これまで使っていたから大丈夫と思わず、説明書には目を通しましょう。
草刈り機は便利なアイテムに違いありませんが、高速で刃が回転する危険なものでもあります。農業現場では毎年、草刈り機による死傷事故が報告されているので、自分は大丈夫と思わず、危ないものを取り扱うんだという意識を持って草刈りに臨みましょう。
服装・装備を整える
実際に草刈り機を使ってみるとわかりますが、作業中は小石や雑草、太い茎などが高速で飛び散ります。肌に当たったり、目に当たると怪我に繋がることもあるので、服装や装備には気をつけましょう。
具体的には以下のような服装をすると安心です。
1.長袖シャツ、長ズボン
2.作業用の安全靴
3.厚手の手袋や軍手
4.ゴーグルやフェイスガード
5.保護帽や安全ヘルメット
草刈りは夏場にすることが多いと思いますが、暑いからといって半袖半パンで作業するのは厳禁。グローブで手先まで覆って、肌の露出は抑えましょう。体制を崩したときに足先を切ってしまうこともあるので、鉄板の入った安全靴があるとなお良いです。先ほども述べましたが、小石や茎が自分の方に飛んでくることもあるので、目を守るためにゴーグルやフェイスガードも忘れずに。おすすめは顔全体を守ることが出来るフェイスガードです。
ヘルメットについては、傾斜地などで作業する際はかぶったほうが良いでしょう。平地で作業する分には保護帽で十分です。
障害物がないか確認する
草刈り機の刃は高速で回転をしているので、障害物に当たると、周囲に飛散したり、刃が欠ける原因になります。そのため、作業前に障害物がないかしっかり確認しましょう。
畑や庭でよくある障害物は、大きめな石や刺しっぱなしの園芸支柱などが挙げられます。草丈が伸びてくると視認しづらくなるので、普段から余計なものを置かないようにすると良いでしょう。
また作業に関係のない人を近づけないことも大切です。飛び石が当たることもそうですが、草刈り機で作業をしていると駆動音や疲れで人の接近に気づかず、ぶつかってしまうこともあります。危険なので、作業エリアには人を入れないようにしましょう。
草刈り機の事前点検をする
草刈り機を使用する前に、事前点検をすることも大切です。
日常的なチェックリストとしては以下の点に注意しましょう。
1.各部品が正しく取り付けされているか(ボルトに緩みがないか)
2.エンジンオイルや燃料の漏れがないか
3.エンジンはしっかり始動するか
4.スロットルレバーや停止ボタンは正常に作動するか
5.異音や異臭はしないか
6.ハンドルの位置やベルトの長さは適切か
最近の草刈り機は頑丈にできているので、そう簡単に壊れることはありません。ですが、日頃から手入れをしてあげないと、いざという時に使えないといったトラブルもありえます。点検は欠かさずに行うようにしましょう。使用前だけでなく、使用後に清掃も兼ねて手入れしてあげると、なお良しです。
草刈り機の正しい使い方
ここからは草刈り機の正しい使い方を説明していきます。
草刈り機を安全かつ効率的に使うためには、正しい構え方や動かし方があります。
また、疲労を抑える体の動かし方のコツなどもありますので、参考にしてください。
草刈り機の構え方
ハンドルの形や刃の種類にもよりますが、右利きであれば、草刈り機が体の右側に来るように構えます。持ちやすい長さになるようベルトや刃の位置を調整したら、シャフト部分を腰にしっかりと当て、本体を体から離さないように引き寄せるようにして持ちましょう。
エンジンをかける前にその場で刃を左右に振り、違和感がなければ大丈夫です。
草刈り機の動かし方
草刈り機の刃は、反時計回りに回転しています。なので、刃を右から左へ動かすようにして草を刈ると安全に使用することができます。
もし逆方向に刃を振り、刃の右側に硬いものが当たるとキックバックが起きてしまいます。キックバックすると刃が跳ねてコントロールできず大怪我をしてしまうことも。
草刈り機は必ず、右から左、右から左と繰り返し動かして使いましょう。
草刈り機を使う際の体の動かし方
草刈り機を使う際は、体の動かし方にも気を使いましょう。
よくあるエンジン式の草刈り機は、エンジンの重さとガソリンの重さも相まって、適当に使っていると腰などを痛める恐れがあります。
ハンドルを腕だけで持って刃を振るのではなく、体ごと動かすようにしましょう。腰に草刈り機を当てて、上半身をねじるようにして肩幅程度の幅で振ると体の負担を抑えて草刈りをすることができます。また、草刈りをしながら前に進む時は、右足から踏み出してすり足のようにして進むと事故のリスクを抑えられます。
草刈り機で作業する際のコツ
実際に作業をする時、知っておくと安全だったり、効率が良くなるポイントをまとめました。どれも少し意識するだけで実行できる内容なので、ぜひ実践してください。
エンジンをかける際は、刃を地面から浮かせる
エンジン式の草刈り機は、エンジンをかけるとアイドリング状態でも刃が回転し始めます。
刃を地面につけたままエンジンを始動すると思わぬ故障や怪我につながることもあるので、必ず少し浮かせた状態でエンジンを始動するようにしましょう。
刃は左に傾け、斜めに入れる
草刈り機の動かし方でも説明しましたが、草刈り機の刃は反時計回り(左回り)に回転しています。回転数を上げて、少し角度をつけて刃を入れて、右から左へ動かしてあげれば、余計な力を入れることなくスムーズに草を刈り取ることができます。
草が絡む時は、刃の回転数を上げる
切れ味が悪く、草が絡まると感じる時は、刃の回転数を上げてみましょう。
高回転で回せばその分だけ切れ味がよくなり、どんどん草を切れるようになります。
特にイヌビエやオヒシバのような茎が硬くひょろっとした雑草を刈る時は、回転数にも注意すると良いでしょう。
草刈りは「雨が降った数日後」に行う
雑草は晴れた日が続くと、水分が失われ萎れていきます。この萎れた状態で草刈りをすると、草刈り機に絡みやすく、効率が悪くストレスもたまります。
もし急ぎでないのなら、雨が降った数日後を狙って草刈りをすると良いでしょう。雨を吸って草が真っすぐ伸びているため、ある程度の硬さもあり、草刈り機をかけやすい状態になっています。降雨直後は地面がぬかるんでいたり、滑りやすくなっています。また濡れている雑草は切りにくいので、やはり雨が降ってから数日あけての作業がベストでしょう。
【必読】草刈り機で作業する際の注意点
とても便利な草刈り機ですが、作業する際には必ず守らなくてはならない注意点がいくつかあります。ここでは、特に気をつけて欲しい5つの点を説明します。
1.少しでも体調が悪い時は使用しない
2.作業中は周囲に人を入れない
3.機械の調子が悪いと感じたら使用を止める
4.キックバックに注意する
5.長期間使用しない場合は燃料を抜く
いずれも、大きな事故を防ぐためにも大切な内容です。しっかりと確認してください。
少しでも体調が悪い時は使用しない
これは草刈りに限った話ではないですが、体調が悪い時は刃物を扱う作業を控えましょう。
例えば、草刈りをよく行うであろう夏場などは特に注意が必要です。作業中に倒れ、回転する刃で自分を傷つけてしまうという事故も起こりかねません。作業は体調が良いときに行い、作業中も体調管理には十分注意しましょう。
作業中は周囲に人を入れない
作業中に周囲の人が飛び石や不意なキックバックで怪我をすることがあります。作業中は、周囲15メートル以内には人を入れないようにしましょう。
人が近づいてきたことに気づいたら、エンジンを停止し、周囲を確認することをおすすめします。
機械の調子が悪いと感じたら使用を止める
草刈り前の事前点検や草刈り中に、機械の調子が悪いと感じたら使用を控えましょう。
無理やり使い続けると、草刈り機が壊れてしまったり、思わぬ事故や怪我になってしまうかもしれません。
よくあるトラブルとしては、エンジンオイル切れやスパークプラグの劣化などが挙げられます。エンジンオイルが切れたまま動かすとエンジンが壊れたり、スパークプラグが劣化するとエンジンが始動しなくなるなどの症状が現れます。どちらも自身で対処できるトラブルですが、不安な人は草刈り機を購入したお店やメーカーなどに確認してみましょう。
キックバックに注意する
前述の通り、キックバックとはチップソーなどの金属製の刃の先端から右側部分が、樹木や石など硬い障害物や地面などに当たることで、草刈り機ごと右側に跳ね返されてしまうという現象です。
場合によっては自分の後方まで草刈り機が強く弾き飛ばされてしまうこともあり、近くに人が居る場合は、キックバックによって事故に合う危険性もあります。必ず先端より左側の部分を使って刈り払うようにしましょう。
長期間使用しない場合は燃料を抜く
ガソリンなどの燃料は時間経過で劣化していきます。劣化した燃料は揮発性などが悪くなり、エンジンの始動が悪くなったり、エンジン自体にダメージをもたらす可能性もあります。草刈りシーズンを終え、長期間使用しない場合は必ずガソリンを抜いて保管しましょう。
【部位別】草刈り機の種類別の特徴
草刈り機には動力やハンドル、刃の材質などさまざまな種類があります。ここでは、草刈りの種類別の特徴を解説していきます。使う環境や人によって適した草刈り機は異なりますので、事前にチェックしておきましょう。
動力別の特徴
◯エンジン式
エンジン式草刈り機は、パワーがあり長時間作業をすることができます。そのため、頻繁に広い範囲を草刈りする人に特に向いている機械です。
一方で、重さがあるので作業には体力が必要と言えるでしょう。また、エンジンの騒音もややネックであり、住宅街や駐車場など人が多い場所で使う際は時間帯などの配慮も必要になります。
◯電源コード式
電源コード式草刈り機は、大きな音を出さずに草刈りをすることができます。またエンジン式より軽く、作業もしやすいです。
しかし、電源コードが届く範囲でないと作業できない点と、コード自体が邪魔になるという点がデメリットとして挙げられます。自宅の庭など、電源が確保できる限られた面積の場所で使う分には問題なく使えるでしょう。
◯充電式
充電式草刈り機は、電源コード式でネックだった作業範囲の狭さなどを解消しており、重量も軽いため女性や高齢者でも使いやすい機械です。作動音も小さく、場所や時間帯を選ばず使うことができます。
ただし、エンジン式ほど稼働時間は長くないので、広い範囲の刈り払いには不向きといえそうです。
ハンドル別の特徴
◯両手ハンドル
両手ハンドル式はU字の大きなハンドルがついた草刈り機です。安定性が高く、しっかりハンドルを掴んで作業をすることができます。両手で左右からハンドルを掴み、体で固定するという点から、水平方向への作業に強く、平地での草刈りに向いています。
◯ループハンドル
ループハンドル式はシャフトに輪っかのようなハンドルがついた草刈り機です。平地でも傾斜地でもオールマイティに使いやすいハンドルで、特に縦方向の操作が得意です。ハンドルのほか、シャフトを握っての作業も出来る機種が多いので、さまざまな場面で活用できます。
◯ツーグリップハンドル
ツーグリップハンドル式は、シャフト自体が持ち手になっている草刈り機です。細かい作業に強く、山林などの傾斜地や障害物の多い場所で真価を発揮します。直接シャフトを掴むという性質上、長時間の作業や広い範囲の草刈りには向いていません。
刃の種類別の特徴
◯金属刃
金属刃には、チップソーというノコギリのような目の細かい刃をしたものと、2枚~8枚の大きな刃がついたものの2種類があります。
一般的な雑草にはチップソー、硬く太い茎を持つ雑草にはそれ以外の金属刃という使い分けと考えていいでしょう。金属刃は繰り返し研いで使えるため、メンテナンスを欠かさなければ長持ちします。
◯樹脂刃
樹脂刃は樹脂で出来たナイフ状の刃です。金属製の刃と比べ、回転時の音が小さかったり、障害物に当たったときのキックバックが弱いという特徴があります。
ただ、樹脂製ということもあり、摩耗がとても早く、頻繁に刃を交換しなくてはなりません。
草刈り面積が広くない場合や、庭や駐車場など使用用途が限定されているのであればおすすめです。
◯ナイロンコード
ナイロンコードはナイロン製の細長い紐を高速で回転させ草を刈り取るという仕組みです。使用するとロープを振り回しているような独特な音がします。
金属刃や樹脂刃と比べ、キックバックの危険性もなく、人体にあたっても致命傷になることは少ないといいます。ただ、ナイロン製のため摩耗が早く、飛び石も多いので使い所には注意しましょう。
使用用途にあった草刈り機を選んで、正しい使い方を守りましょう
農業や園芸において大きな割合を占める草刈り作業ですが、草刈り機を使うことでぐっと楽にすることができます。
ただ、どんな草刈り機でも良いというわけではなく、草刈りをしたい場所によって適切な道具を選ばなくてはなりません。平地なのか傾斜地なのか、畑なのか庭なのか、周りに障害物や住宅があるのかなど、条件や環境をしっかり見極めて自分にあった草刈り機を使いましょう。
また、正しい使い方を守ることも大切です。実際に使ってみるとわかりますが、高速で回転する草刈り機は慣れるまで、怖さを感じる人もいると思います。その怖さを忘れずに、漫然と作業せず、安全第一に草刈りをすることが一番大切です。