草刈りを少しでも快適に
農業は草との闘い。特に夏は光を求め雑草も背丈が急激に高くなるので、その管理が大変。我が菜園生活 風来(ふうらい)では起農当初から除草剤は使わないで雑草対策をしてきました。
それでも草の勢いには追いつけず、見た目もひどい状態。「冬には枯れる」と心の中でつぶやくしかありませんでした。とかく雑草に関しては周囲の目、特に親からの目が厳しく、あまりのひどさに、親から農地を取り上げられる寸前の事態まで発展。そこから本格的に雑草対策に乗り出しました。
まず、野菜を植えるところにはビニールマルチを使用。今はニンジン以外の野菜にはすべて使っています。以前の記事の中の「小さい農家のビニールマルチ活用術」という項目でも紹介していますが、風来では幅3メートルのマルチをメインに活用しています。
通常の倍の幅があるマルチ。つまり通常の2畝分で、張る手間を半分にする狙いもありますが、畝と畝の間がないので草刈りする手間を省くという狙いもあります。
通路や周囲のあぜには抑草シートを張りました。こちらはコストがかかるだろうと避けていたのですが、実際に張ってみると5年ぐらい耐久性があり、除草の手間を考えると費用対効果はよいと今は実感しています。これらの対策でかなり楽になりました。
ただ、畑すべてにマルチや抑草シートを張るわけにもいかず、通路など少しでも隙間(すきま)があるとグングン雑草が伸びてきます。最終的には動力付きの草刈り機の出番になります。その草刈りも、小さい農業の場合は気づいた時に刈ることが大切になってきます。後回しにすればするほど雑草が成長して手が回らなくなるからです。
いかに気軽に草刈りするか。そういった意味ではバッテリータイプの草刈り機は小さい農業に向いています。充電さえしておけばすぐに稼働することができます。最近はバッテリータイプでもパワーがあり、充分実戦に使えるようになりました。
混合油を使うエンジン式の動力草刈り機の場合も、雑草ハイシーズンには、事前に混合油を作っておき、刃を交換したり研いだりしておくなど、いつでも出られる準備をしておくことが大切です。そうすることで草刈りのおっくうな気持ちやハードルを下げることにもつながります。
また、気軽に草刈りに出るためには少しでも作業を快適にすることも大切です。草刈り機を使う時は防護性を高めると厚着になり、暑くなります。最近は空調服も出ていますが少し高価なのが欠点です。そこでオススメなのが、ネッククーラーという首掛け扇風機です。3000円程度で買えるのですが、これがあると首から上が冷やされて快適に草刈り作業ができるようになります。個人的なヒット商品です。
害虫や土の流亡を防ぐ草刈り術
草刈りというと地面すれすれまで刈るのが一般的ですが、風来では地際から5~8センチ残して刈る「高刈り」という方法を導入しています。そんなに残すとまたすぐ伸びてくるのではと思われがちですが、私の経験上、地際まで刈る方法と草刈りする回数は変わりませんでした。また、高刈りには害虫の大量発生を防ぐ、土の流亡を防ぐといった効果があるとされ、導入してみてそのことも実感しています。なにより地面を削らないということで腕にかかる圧力が少なくなり、体への負担も減ります。
高刈りに使っているのはもちろん、動力草刈り機です。その上で最も大切なのが、どんな刃を使うかということ。草刈り機の刃は大きく分けて「ナイロンコードカッター」「チップソー」「金属刃」の3種類があり、それぞれ特徴があります。
ナイロンコードカッター
ナイロンコードカッターは、直径2~3ミリのナイロンコードを高速回転させることで、雑草を削り切り、刈り込む仕組みのもので、細い草や地際まで刈るのに適しています。風来でも一時期使用していましたが、草刈り機自体のパワーが必要なことと、畑に多く生えているイネ科の雑草には向いていないことから夏場の使用は断念しました。
チップソー
チップソーは円盤型のノコギリの刃先部分に硬い鋼のチップを接着したもので、草刈りの刃としては一番使われています。チップソーの中でもたくさんの商品があり、価格も1枚500円から3000円くらいまでととても幅広いです。風来でもいろいろ試してきました。確かに高価なものはシッカリしていて持続性もありますが、コンクリートや石にぶつかるとチップがとれて使えなくなります。実際、1枚3000円するものが開始30分で使えなくなったこともありました。そんなこともあり、それからは安価な500円のものを使ってきました。コストパフォーマンス的には高価な刃より断然いいのですが、まさに使い捨て。基本的には1回使うと交換が不可欠です。たまりにたまっていくチップが欠けた円盤の金属ゴミを見ていると何とももったいない気分になってきて、別のものを探すようになりました。
金属刃
風来で最後に試したのが、金属刃。文字通り、硬い金属でできた刃で、チップソーが出てくるまでは、草刈り機の刃として最もポピュラーなものでした。丸ノコのような8枚刃から2枚刃まで用途によって種類があります。いろいろな種類の金属刃を試す中で、風来の畑にもっともピッタリだったのが「4枚刃」でした。
ただこの4枚刃にはいくつかのクセがあります。
コスパのいい替え刃とその研ぎ方
風来の草刈り機の刃としてレギュラーとなった「4枚刃」。特に夏のイネ科の雑草とは相性が合います。よい点として、まず安価(1枚800~1000円程度)であること。裏表で使えるので単純に2倍長持ちするということ。そして最大の特徴は自分で研げるということです。
チップソーの場合はチップがなくなると研ぎようがないのですが、金属刃は鉄の1枚の板からできているので大丈夫です。電動グラインダーを使って本格的に研ぐこともできますが、100円ショップなどで手に入るダイヤモンド砥石(といし)などを使ってメンテナンスすることもできます。4枚刃なら研ぐ箇所も少ないので、手で研いでもそれほど疲れません。もちろん刃を研ぐ時はエンジンを止めてからにしています。そうしないと大事故につながりますので、その点はくれぐれも気をつけてください。
4枚刃の欠点としては、チップソーと比べて「キックバック」が起こりやすいことがあります。キックバックとは、回転している刃の右半分に障害物や地面が当たると、刃が大きく跳ね返されてしまう現象です。このキックバックが起こると草刈り機の制御が難しくなるため、いつ起こってもいいような心構えが必要です。
また刃の枚数が少ないことから刃の間に物が入りやすく、飛び石といって小石や金属片が飛んでくることがチップソーと比べて格段に多くなります。私も一度その飛び石で痛い目に遭いました。畑作業用のエプロンをしていたのですが、そのエプロンを破るすごい勢い。それから飛散防止カバーを草刈り機に確実に取り付けるとともに、草刈りする時には脚を保護するレッグガードをすることにしました。
気軽に草刈りという意味ではレッグガードをつけるのは面倒くさく感じるかもしれませんが、そんなひと手間をかけても、4枚刃は使う価値があります。手間を少しでも省くためにレッグガードはマジックテープではなくワンタッチで固定するものを使用しています。
4枚刃が正解ではなく、それぞれの畑に合わせて最適な替え刃があると思います。いろいろ試してみることをオススメします。いずれにしてもゴーグル、フェースマスク、作業用エプロンなどを使い、安全第一で行ってください。気軽さと慎重さを両立して、その畑に合った草刈り刃を見つけ、少しでも快適に夏を乗りきっていきましょう。