小さい畑の省力化術 限られた面積を最大限活用するには【ゼロからはじめる独立農家#20】

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小さい畑の省力化術 限られた面積を最大限活用するには【ゼロからはじめる独立農家#20】

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小さい畑の省力化術 限られた面積を最大限活用するには【ゼロからはじめる独立農家#20】
最終更新日:2021年02月25日

人手の少ない小さい農家こそ省力化することが大切です。基本1人で20年間、いかに効率よく畑作業するかにいろいろと挑戦してきました。省力化することは所得向上に直結すると実感しています。そんなノウハウの一部をお伝えします。

小さい畑でできる工夫

コンパニオンプランツとして、ナスの脇でエダマメを育てている

小さい農家には少量多品種栽培をおすすめします。何種類もの野菜を育てることで、病害虫による全滅や市場価格の乱高下による経済的リスクを避けることができるからです。我が菜園生活 風来(ふうらい)では、現在年間50種類ほどの野菜を育てています。

「そんなに多種類の野菜を育てると知識も必要で大変そう」とよく言われます。確かに畑づくり、種まき、定植のタイミングなど時間管理は複雑になりますが、単作大規模に比べ作業が一時期にかたよらず時間を分散できるというメリットもあり、スケジュール調整に慣れると余裕が生まれます。

そんな小さい畑で、大型機械を使わずに手作業だからこそできるのが、ひとつの畝に何種類もの野菜を育てる混植。種類が違う野菜を寄せ植えすることで「コンパニオンプランツ」としての効果が期待できます。コンパニオンプランツとは、一緒に植えることで互いによい影響を与えあうとされる2種以上の植物の組み合わせのことです。

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春から夏にかけてはナスやピーマン、キュウリの脇にエダマメやインゲンを植えています。マメ科特有の根粒菌が空気中の窒素を固定し、メインの野菜の養分となって成長を促進させます。ほかにはトマト、ミニトマトの脇にバジルまたはシソを植えています。バジルやシソに寄ってきたハチやチョウがトマトの受粉を助けるという効果があります。

秋から春にかけて、ニンニクとタマネギの脇に植えるのはソラマメとキヌサヤ。こちらも根粒菌が養分を供給してくれます。またチョウやガはニンニクやタマネギのにおいを嫌うので、マメ科の野菜に害虫がつかなくなります。脇に植える野菜を収穫すれば、野菜セットの中身にバリエーションが増えるので大変助かってます。

時間差で葉野菜を定植。まるでパッチワークのよう

小さい畑はフルに利用することが大切。そこで時間差栽培も取り入れています。小松菜、水菜、リーフレタスなどの葉野菜は土の養分をそれほど使わないので連続で育てることができます。葉野菜の苗を定植すると同時に、苗床に別の種類の葉野菜の種をまいて育てます。収穫と同時にその苗を定植。春夏で3回転、冬で2回転することができ、収量を増やすことができます。

おすすめ半不耕起栽培

いくら省力化してもコストをかけては意味がありません。風来で使っているメインの農業機械は、ネットオークションにて3万円で購入した家庭菜園用の管理機です。その小さな機械を最大限に活用できるのが半不耕起栽培。半不耕起栽培とは畝を固定しておき、施肥したあと表面の土だけ耕すというもの。風来では15年間畝が固定されています。

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そしてすべての畝は幅3メートル、奥行きはおおよそ18メートルにそろえています。幅3メートルにしたのは横に大きく広がるカボチャやスイカなども育てることができるからです。また奥行きを揃えることでビニールマルチや虫よけネットの使いまわしができます。

(左上から順に)朝にキュウリがあった穴に、夕方には白菜を定植しました

先述したカボチャやスイカは1条植え、トマト、ナス、キュウリ、ピーマンなど実野菜は2条、キャベツ、白菜など大きめの結球野菜は6条、軟弱野菜といわれる葉野菜は10条植えにしています。

半不耕起栽培の最大の特徴は1畝ごとに野菜を変えることができること。朝、ナスやキュウリが植わっていたところに夕方には白菜を定植するなんてこともしばしば。タイムラグなしに種まきや定植ができるので少量多品種栽培にもマッチしています。

小さい農家のビニールマルチ活用術

野菜を育てる上で大変なのが除草と病害虫対策です。光をさえぎることで雑草の生育を抑えてくれるのがビニールマルチです。また保温効果や紫外線から土の微生物を守ることで砂漠化するのを防ぐなどの効果もあり、小さい農家の省力化にはなくてはならない存在です。

風来では畝の幅にそろえて幅3メートルの黒ビニールマルチをネット通販で購入しています。通常野菜農家の畝は広くても1.5メートルで、それに合わせたマルチを使用しています。つまり2畝分の作業が1回でできるのでマルチを張る手間が半分になり、経費も削減されています。

春夏の野菜は実野菜中心。風来では野菜を定植する間隔を45センチの倍数に合わせています。例えばキュウリ、トマト、ピーマンなどは45センチ、ナスやズッキーニなどは90センチで、いずれも2条植えにしています。そして秋・冬野菜は結球野菜中心。白菜やキャベツ、ブロッコリーなどは45センチ間隔で6条植え、実野菜を植えたところを中心に両脇に互い違いに穴をあけます。そうすることで春・夏に使ったマルチを秋・冬に使いまわすことができます。また先述したとおりすべての畝の幅と奥行きを揃えているので、別の畝でも使うことができます。

マルチを使いまわすため、また省力化のためにマルチの両脇の押さえ方を独自に編み出しました。通常マルチを押さえるのに土をかけるのですが、そうするとその土に雑草が生えてきて根を張ってきます。こうなるとはがすのが大変で、また薄いビニールの両脇がボロボロになってしまいます。

そこでマルチを張る時に両脇にヒモ(ハウスバンドなど)を張り、マルチの両脇を巻き込み、そのヒモごとマルチを抑えるピンでとめるようにしました。ヒモを通してピンで支えることで押さえも強固になります。
マルチの留め方
逆にピンをはずし、ヒモを引っ張ることで簡単にそして両端を傷つけることなくはがすことができます。雑草の根が張った土をどけるのはとっても大変。この方法にしてからかなり楽になりました。マルチのゴミも少なくなり、経費削減にもつながっています。

省力化することは体力的に助かるのはもちろん、時間的余裕が生まれるということが大きいです。その分、加工や販売に力が注げるからです。売り上げに直結します。小さいからこそ普段から省力化を心掛けましょう。

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