重油価格の高騰を機に、ヒートポンプのメリットに着目
三重県下最大規模の約2,340坪の施設園芸ハウスで、1日平均2000~3000本のバラを採花する大仲ばら園。
代表は大仲弘紀さん。農家に生まれましたが、バラ栽培は自身の代から始めました。
高校卒業後、県の農業大学校で農業を学び、バラに将来の可能性を見いだして当時最前線だった愛知県の栽培農家のもとで修業。1983年に450坪のハウスでバラの切り花栽培を本格スタートしました。
以来、産地を盛り上げるべく日々尽力され、日本農業大賞集団組織の部で優秀賞を受賞するなど高い評価を受けています。
いまや三重県を代表するバラ農家である大仲さんが、ヒートポンプ導入を決めたのは2008年のこと。
当時は重油ボイラーのみで暖房、坪当たり年間40ℓ前後の重油を使用していました。しかし重油価格が高騰してきたことから、新しい視点で暖房設備の再検討をすることにします。
大仲さんは「1ℓ当たり60円程度だったものが、一時期は100円に達する勢いでした」と当時を振り返ります。
「ヒートポンプを導入してコスト削減に成功したというバラ生産者の友人から『入れるなら絶対にダイキンがおすすめだ』と聞き、ダイキンのヒートポンプの動作データを入手、検討しました」。
実は大仲さんは、自他ともに認める”データマニア”。
温度・湿度から始まり、直近の10数年は風向、風速、日射量、炭酸ガス濃度やハウス内の機器のデータを記録。日々の樹勢管理はもとより、収量・品質との照らし合わせを実施。管理改善を行っています。
トータル光熱費の管理もシビアに実施。電気メーターの検針も毎日欠かさず行っています。
急激な電気料金高騰もあり、2023年の1月は毎日5万円程の電気代がかかっていました。対策をすべくいち早く情報を集め、契約種別電気料金のシミュレーションを実行。
最適と判断したプランに変更したところ、「以前の契約のままだったら1ヶ月で250万円になるところを、195万円に抑えることができました」。
栽培環境・光熱費の双方の管理を徹底的に重視する大仲さんが導入したダイキンのヒートポンプとは、どんな性能を備えているのでしょうか。
施設園芸農家の強い味方!ダイキンのハウス栽培専用ヒートポンプ
ご友人のアドバイスのもと、ダイキンのヒートポンプ導入を決意した大仲さん。その性能を最大限生かせるよう、5馬力の室内機をセレクト。室内機の台数を多くすることで、デフロスト運転のリスクを可能な限り回避するとともに、ハウス内の気流分布の向上を図りました。
また、循環扇の後方に室内機を配置することで、更なる温度ムラの解消に成功しました。
ヒートポンプの弱点であるデフロストについては、慎重に調べたという大仲さん。メーカー・機種によって性能に差がありましたが、「ダイキンのヒートポンプはベストなタイミングでデフロストに入り、かつ短時間で終了することが分かっていたため、導入に不安は全くありませんでした。導入後には重油を90%削減できました」と振り返ります。
また、さらに詳細なデータを取得するため、ダイキンの集中制御機器を活用。ヒートポンプの吹出、吸込温度のデータを取得できるようになったことで、日々の予想気温を見ながら細かい設定温度変更が可能に。
収量アップに欠かせないデータを蓄積できています。
データ分析に基づく細かな環境制御管理により、最適なバラ育成が可能になったばかりか、変化に対応したコストカットも実現。
「例えば最低気温が低い予報であれば、併用する重油ボイラーの暖房設定温度を上げる。ヒートポンプの運転を楽にすることで、トータルの光熱費を抑えつつ、設定どおりの温度維持ができます」。
電気料金が高騰する中でも、きめ細やかな温度管理とダイキンヒートポンプの充実した基本性能により、ベストな栽培環境を維持しています。
ヒートポンプデータに基づく栽培管理はますます深化。近い将来ダイキンのクラウドシステムの導入も検討
そして2019年、大仲ばら園に嬉しいビッグニュースが。後継者の誕生です。
結婚して県外で暮らしていた大仲さんのご息女と佐津間達也さん夫婦が、伊勢市に移住して就農することを決意したのです。
現在、大仲さんと佐津間さんは、日々スマートフォン・PCで栽培データをチェック。刻々と変わるハウス内の環境変化に対応しています。
「当初、義父の指導の言葉の意味が分からなかった」という佐津間さんも今や「開花までの積算温度の管理を任され、出荷時期調整を自ら行っています」とのこと。
近年二人が着目しているのが飽差値。バラに限らず、植物の良好な育成には、気孔が効率よく開く温度・湿度(=飽差値)をいかに制御できるかがポイントです。
「暖房はもちろん、春秋、夏場の夜間に使用する冷房も温度範囲が広く、かつ細かな設定温度対応に応えてくれるダイキンのヒートポンプを使っていることが非常に大きい」とのことです。
また、ヒートポンプと連動して使えるクラウドデータ管理システムとして、ダイキンの担当者から『DK-CONNECT』を紹介された大仲さん。「スマートフォン・PCから遠隔で管理でき、更に設定温度変更も可能ということで、近い将来導入したいと考えています」と、ダイキンへの全幅の信頼が伺えました。
昨今の燃料・資材高騰で施設園芸農家の減収減益が見込まれる中、「経営には増収が絶対に必要」と暖房を積極的に活用した結果、収量・品質とも大きく続伸。大仲ばら園は、見事に2月決算で過去最高売上を記録しました。
通常は坪当たり3万円とされる平均単価を3.7万円に引き上げたのも、故障しにくく温度調整がしやすいダイキンのヒートポンプあってこそとのこと。
「必要なコストは惜しまず、削れるところは徹底的に削る。間違った管理をなくせば失敗はありません。これからも信頼されるばらを作り続けたいです」と大仲さん。
佐津間さんは「義父の教えやデータをもとに、今後は『自分ならどうするか』を考えて実行することで、さらなる作業の効率化と品質向上、収益の増大を目指します」と力強く宣言されました。
資材及び燃料、電気料金の高騰により、厳しい情況にある園芸業界。
それでも産地への熱い思いを持ち、冷静な情報分析・経営判断を続ける生産者、そして彼らを支えるメーカーの思いが、この先ますます美しい花を咲かせることでしょう。
重油・電気料金が上昇している今こそ、ヒートポンプを活用したトータル光熱費の削減を検討し、収支のトータルバランスを見直すタイミングではないでしょうか。
施設園芸の空調・温度管理にお悩みの方は、お気軽にダイキン工業へご相談ください。
【取材協力】
有限会社 大仲ばら園(三重県伊勢市西豊浜町明野 5020)
大仲ばら園公式HPはこちら
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