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「ふるさとの農地を守りたい」、地方企業の農業子会社で働く若手社員の思い

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

「ふるさとの農地を守りたい」、地方企業の農業子会社で働く若手社員の思い

新潟県糸魚川市で長年建設業を営む谷村建設は、子会社の糸魚川農業興舎(以下農業興舎)を通して、2005年に農業に参入した。高齢農家の引退で農地を耕す人がいなくなったことで地域の田畑や景観が荒れるのを防ぐのが目的だ。農業興舎で働く30代後半のスタッフ3人にそれぞれの思いを聞いた。

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美しい風景と人の優しさに引かれて

農業興舎は約20ヘクタールの田んぼで稲作を手がけているほか、トマトやブドウを育てている。正式な社名とは別に、会社を紹介するときに「あぐりいといがわ」という名前も使っている。農産物やその加工品には多くのファンがついており、自社のサイトなどを通して販売している。

社員は9人。創業当初からずっと働いている人もいれば、途中から入った人もいる。今回取り上げるのは、そのうちの若手社員3人だ。
稲作担当の真部譲(まなべ・ゆずる)さんは1986年生まれで、糸魚川市出身。飲食店や化学メーカーなどで働いた後、10年前に農業興舎に入社した。

農業を仕事に選んだ理由は2つある。1つは「やったことのない仕事に挑戦したい」と思ったこと。もう1つは「屋外の仕事をしたい」と考えたことだ。海洋高校で学んだので、漁業については授業を通してある程度の経験があった。それらを考え合わせると、農業という仕事が自然と浮かび上がった。

真部

真部譲さん

真部さんは稲作を担当してまず「きれいな所だなあ」と感じたという。農業興舎の田んぼの多くは市野々(いちのの)という山あいの地域にある。田んぼの脇の用水路を澄んだ水が流れ、山の上の方に行くと海を遠望できる。昔ながらの茅葺(かやぶ)きの家屋も残っている。美しいその景観にほれ込んだ。

「人の温かさ」に触れたことも、この地域への愛着をいっそう強めた。農作業で困っていると、年配の農家がやってきて「どうした?」と声をかけてくれる。事情を話すと、「こうすればいいよ」と丁寧に教えてくれる。

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