環境データの計測から流通のシステムへ
セラクがこれまで手がけてきたスマート農業のサービスは名前が「みどりクラウド」。ハウス内の温湿度や日射量などを自動で計測し、農家がスマホやタブレットで確認できるようにするシステムだ。2014年に研究に着手し、2015年10月にサービスの提供を始めた。各地の農家が利用している。
一方、新たに始めた2つのサービスは、青果物の流通にサービスの範囲を広げたのが特徴だ。そのうちの1つ、「みどりクラウド らくらく出荷」は農家から農協、農協から全国農業協同組合連合会(JA全農)の各県本部などへの出荷情報の伝達を、デジタルで行うことを可能にした。
出荷情報のやりとりは現在、農家が伝票を書いて農協のスタッフに渡し、スタッフが集計してJA全農の県本部にファクスなどで送るのが一般的。書き間違いなどのミスが起きる恐れがあり、集計にも手間がかかる。
2023年3月にスタートした「らくらく出荷」はQRコードを導入し、「手書き」に伴う難点を克服した。出荷用の段ボール箱に品目や規格などの情報を記録したQRコードを貼り、それを農家や農協のスタッフが専用のアプリで読み取ることで、紙を使わずに情報を送れるようにした。
もう1つは、過去の市場流通量や気象情報などのデータをもとに、キャベツやキュウリ、タマネギ、トマトの4品目の出荷量を人工知能(AI)を使って予測するサービスだ。農林水産省の支援を受けて、民間気象情報会社のウェザーニューズなどと共同で開発し、2023年8月に開始した。