不動産事業の拡大から農業へ
島崎さんが運営する農園は名前が「Agritario(アグリタリオ)」。40アールの畑で、約80品目の野菜を育てている。販路は近くの直売所やコンビニの野菜コーナーなど。マルシェにも積極的に出店している。
実家は300年続く代々の農家。島崎さんはいったん会社に勤めた後、40歳を前に脱サラし、実家の事業に関わるようになった。ただし農業ではなく、不動産業。事業をてこ入れし、不動産収入を増やすためだ。
当時、すでに国分寺市などでマンションやビルを所有していた。畑を転用したり、新たに買ったりした物件だ。不動産収入で家計を支えるのは、都市農業では一般的。島崎さんは投資をしてさらに物件を増やし、事業を拡大した。
その一方で5年ほど前から父親に代わり、自ら畑に出て野菜づくりをするようになった。父親が高齢になり、農作業を続けるのが難しくなってきたからだ。「自分にとって意味のある農業をやりたい」。そう思い、営農の形を模索した。
多品目栽培でマルシェに積極出店
農園の運営を担うようになって着手したのが、栽培品目の拡大だ。父親の代ではニンジンやキャベツ、ブロッコリーなど一般的な野菜が中心だった。これに対し、島崎さんは色とりどりの珍しい野菜を作り始めた。
例えば、赤紫色のタマネギの湘南レッドや黄金かぶ、紫キャベツ、カラフルなスイスチャード(フダンソウ)など。スーパーにあまり並んでいない野菜で特徴を出すのは、都市農業が地方の産地と差を出す手法の1つだ。
島崎さんは「10品目あっても、よく売れるのは2~3品目なのが物販の常識」と話す。それでもバリエーションを増やすのは、