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五感に訴える、大量生産・大量消費の対極にある田畑の価値

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

五感に訴える、大量生産・大量消費の対極にある田畑の価値

東京都国立市にあるコミュニティー農園「くにたち はたけんぼ」(以下「はたけんぼ」)がオープンから11年目に入った。運営主体はNPO法人「くにたち農園の会」で、理事長は小野淳(おの・あつし)さん。日本の農業について、10年の経験を踏まえて何を感じているのかを取材した。

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大量生産と大量消費、大量廃棄の現代社会

小野さんは現在49歳。農園には田んぼや畑に加え、木製のブランコなどの遊具がある。田植えや収穫など食育に関わるイベントを開いているほか、学校に行かない子どもたちのためのフリースペースの役割も果たしている。

もともとテレビ番組の製作会社でディレクターをしていたが、環境問題への関心を深め、農業の世界に転じた。まず居酒屋チェーンの運営する農場などで働いた後、2013年にはたけんぼをオープンした。

小野さんは日本の農業をどう思っているのか。そう聞くと、まず居酒屋の農場で働いていたときのことを話してくれた。「お客さんが居酒屋でたくさん食べて飲んで、しかもたくさん残す。この仕組みをガシガシ回して、それで利益を出していた」。残った食品は廃棄の対象になる。

小野淳さん(2015年撮影)

小野淳さん(2015年撮影)

「野菜を作るのはすごく大変。でもその野菜がサラダなどの形で提供された後、大量にゴミになっている」。農場で野菜を育てながら、小野さんはそんなことを感じていたという。「大量生産と大量消費、大量廃棄がセットになっている。そんな世の中に生きてるということを認識することができた」

このことは、農業全般についても感じているという。「新しい野菜の品種や栽培技術、機械のおかげで生産性が上がって、生産量も増える。なのに人口は減っている」。その結果、野菜が余って値段が下がり、収益性が低下する。

「農業だけの専業で稼げる人は確かにすごいが、それができるのは一部の人」

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