きっかけは新型コロナの流行
「新型コロナウイルスの流行がきっかけになった」。JAいちかわの野菜部会の農家たちが地域ブランドを目指す「いちベジ」について、営農課のスタッフの松本碩子(まつもと・ひろこ)さんはそう話す。
野菜部会の農家は約60人。トマトやネギ、枝豆、ニンジンなどの野菜を育てている。特定の品目に絞って広い農地で大量に生産する地方の産地とは違い、たくさんの種類の野菜を作るのは都市近郊農業の特徴だ。
これまでは農協を通さず、自分の直売コーナーで野菜を売ったり、地元のスーパーなどに自ら売り込んだりする農家が少なくなかった。農協に販売を頼らなくても、消費者をはじめ売り先が身近にたくさんいるからだ。
新型コロナで状況が一変した。スーパーなどに置いてもらうための営業活動がやりにくくなったのだ。そこで「野菜に共通の愛称をつければ、もっと売りやすくなるのではないか」という声が農家の間で浮上した。