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ホテルと投資会社で培ったスキルを生かす。植物工場の創業者が得た「右腕」

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

ホテルと投資会社で培ったスキルを生かす。植物工場の創業者が得た「右腕」

農業に限った話ではないが、事業を飛躍させるには創業者を支える「右腕」が要る。トップが1人でできることには限りがあるからだ。右腕に求められる要素とは何か。植物工場を手がけるプランツラボラトリー(以下プランツ、東京都西東京市)の取締役、林覚(はやし・さとる)さんを取材した。

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ニセコの玄関口に登場した植物工場

北海道倶知安(くっちゃん)町で2023年12月末、プランツの植物工場が稼働を始めた。工場があるのは外国人が大勢訪れるスノーリゾート、ニセコの玄関口になるJR倶知安駅の駅舎内。プランツの特徴である小型の栽培施設だ。

施設の面積は129平方メートルで、1日の出荷量はレタスで最大で300株。日量1万株を超す植物工場と比べると、小ぶりに見えるかもしれない。だがこのコンパクトな施設ゆえに、機動的な事業展開が可能になっている。

JR倶知安駅

JR倶知安駅

JR北海道から駅舎の一部を借りて、栽培施設を設置したのは北海道電力だ。プランツはその運営を引き受けて、ニセコのホテルにレタスなどを販売する。北海道電力と協議を進め、この連携の仕組みを考案したのが林さんだ。

林さんがプランツに入ったのは2022年。同社の代表の湯川敦之(ゆかわ・あつゆき)さんは「よくうちに来てくれたと思う」と話す。林さんの強みは何か。それを理解するため、プランツに入るまでの歩みをただってみよう。

国内外で学んだホスピタリティー

もともと町づくりに興味があった林さんは、大学を出ると東急電鉄に就職した。希望とは違い、担当したのはホテル事業。東京と米国のサンフランシスコ、マレーシアのクアラルンプールでホテルの運営に携わった。

そこで学んだのは受付での対応の仕方やベッドメーキング、レストランでの接客など。さらにシンガポールに駐在し、アジアの5カ所で運営していたホテルを改装して不動産としての価値を高める業務などを担当した後、休職して米国のコーネル大学でホスピタリティーを専門的に学んだ。

ホテルで働いていた頃の林覚さん

ホテルで働いていた頃の林覚さん

2年後に帰国すると東急には戻らず、コンサルティング会社などを経て、外資系の大手投資会社の日本法人に転職。商業施設やホテルなどに投資するチームを約10年間率いた後、今度は西友で不動産部門の責任者になった。

主な仕事は新店のオープンや既存店の改装など。プランツと出会ったのはこのときだ。もともと湯川さんとは2014年のプランツ創業前からの知り合いだったが、西友の仕事との関連で改めて再会した。

スーパーにとって当時もいまも、専門店との競合で売り場を縮小した結果、空いてしまったスペースをどう活用するかが大きな課題。競合相手だった当の専門店などをテナントとして入居させるのは1つの手だが、それだけでは限度がある。

そのとき思い出したのが、「小型の植物工場をやってみたい」という湯川さんの言葉だ。すでにプランツを立ち上げていることを知った林さんは「うちでやってみませんか」と声をかけ、西友上福岡店(埼玉県ふじみ野市)の3階に植物工場を設置することに成功。2020年2月に収穫を始めた。

林さんはその2年後、新天地をプランツに求めた。

植物工場

西友上福岡店の植物工場。現在は西友久米川店に移転

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