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緑肥との輪作が可能にした農場の拡大、取り組みが連鎖する複合経営の醍醐味

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

緑肥との輪作が可能にした農場の拡大、取り組みが連鎖する複合経営の醍醐味

連作障害を防ぎ、地力を高めるため、緑肥を取り入れる農家は少なくないだろう。ではそれが加工品の製造や農場の拡大につながり、さらには地域の活性化まで視野に入ってくる例はそう多くないのではないだろうか。遠藤ファーム(埼玉県熊谷市)の代表、遠藤友章(えんどう・ともあき)さんに話を聞いた。

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作物の栽培と加工、養蜂を手がける複合経営

遠藤ファームは面積が11ヘクタール。ネギや大和芋、ゴボウを栽培しているほか、緑肥用の作物としてヒマワリなどを作付けしている。緑肥作物は花が咲くまで育て、その花の蜜を使っての養蜂も手がけている。

経営の柱は大きく分けて2つある。1つは農産物の販売で、ネギは主に市場に出荷し、大和芋やゴボウを地元の直売所で販売している。

もう1つは6次産業化に分類されるタイプ。ヒマワリの花が咲くと迷路をつくって無料で開放し、そこでハチミツやレモン果汁を入れたハチミツ飲料などの加工品を売る。加工品は自社のサイトでも販売している。

ここで重要なのは、ネギなどのメインの作物と緑肥作物の栽培、養蜂、加工品の製造がバラバラの取り組みではなく、相互に緊密に結びついている点だ。複合的な農業経営の醍醐味(だいごみ)と言える。後述するように、遠藤ファームはそれが地域の活性化につながっている点に最大の特徴がある。

遠藤友章

遠藤友章さん

台風と新型コロナでネギの増産を断念

もともと遠藤さんは夜を中心に塾の講師をしながら、昼間は父親と一緒に農作業をしていた。2010年に講師をやめて農業に専念するようになり、2019年7月に法人化して代表に就いた。当時の面積は5ヘクタール強だった。

転機は2020年の新型コロナウイルスの流行の前後に訪れた。

まず法人化を機に、メインの作物であるネギの増産を計画した。収穫後のネギを調整する機械などを新たに購入し、作付けを増やそうと考えた。

ちょうどその矢先、2019年10月に台風19号が上陸し、大きな被害を受けた。軽トラが水につかって使えなくなり、トラクターも修理が必要になった。ネギの機械に使おうと思っていた資金を、軽トラの買い替えなどに回さざるを得なくなった。

さらに新型コロナによる混乱で販売にブレーキがかかり、ネギの増産はいったん諦めざるを得なくなった。

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