10年でつかんだ流通のノウハウ
コロットは代表の峯岸祐高(みねぎし・ゆたか)さんが2010年に設立した。仕入れ先の農家の数は約200軒。埼玉で代々野菜を作っている農家のほか、東京の西多摩地区などで新規就農した農家のグループ「東京NEO-FARMERS!(ネオファーマーズ)」のメンバーたちからも仕入れている。
売り先は東京と埼玉の200~230軒の飲食店や小売店で、味が良ければ大きさや形にはこだわらない先が中心。コロットは農家から野菜を仕入れるときも規格品かどうかを区別せず、基本は同じ値段で買い取っている。
峯岸さんは「10年余り続けてきて、野菜の流通で何が大切なのかがようやく理解できた」と話す。その核心にあるのが「コーディネート機能」だ。
一方に新たな売り先を探している農家がいて、他方に必要な野菜がうまく手に入らないバイヤーやシェフがいる。コロットは双方にそれぞれ200軒の取引先を持つことで、両者をつなぐノウハウをつかむことができた。
峯岸さんのいうコーディネート機能とは単に「ニンジンを育てている農家」と「ニンジンが欲しいシェフ」を結びつけることではない。生産者の前年までの実績をもとに「どんなニンジンをいつどれだけ供給できるか」を予測し、買い手に提示する。買い手のニーズを予想して、ニンジン以外の野菜を提案することもある。
こうしたノウハウを踏まえ、コロットは新たな一歩を踏み出した。
農協で売り切れない野菜をフォロー
2023年秋から都内で新たに始めたのが、農協との連携だ。複数の農協と組み、その直売所を集荷拠点にして、農協の組合員が育てた野菜をコロットの取引先の飲食店や小売店に販売し始めたのだ。
この取り組みの背景には、農協の直売所の販売が伸び悩んでいることがある。峯岸さんによると、「直売所が住宅街に近くになかったり、直売所に来る消費者層が高齢化している」という事情があるという。農家が直売所に持ち寄る野菜は多くの場合、量に限りがあり、市場出荷に向いていない点も事態の打開を難しくしていた。