農水省をやめて10年前に就農
武さんは40歳。9ヘクタールの畑でブロッコリーと枝豆を育てている。2022年に農事組合法人「つばさふぁーむ」を立ち上げた。出荷先は、農家から農産物を仕入れて生協などに販売する野菜くらぶ(群馬県昭和村)だ。
初めて武さんに取材したのは2021年秋で当時37歳。法人化したことを除けば、上の内容は前回の取材と同じ。だが大きく変わった点がある。面積は変わっていないにもかかわらず、売り上げは3000万円から4000万円に増えたのだ。
その理由を説明する前に、武さんの歩みを簡単に振り返っておこう。もともと農業に興味があり、農業関係の短大に進んだ。だが卒業後にすぐには就農せず、農林水産省に就職。9年半働いた後、就農を決意して農水省をやめた。
出荷先に野菜くらぶを選んだのは、短大時代にインターンシップを経験し、若い農家を育てようとする姿勢に共感していたからだ。農水省をやめると、野菜くらぶのグループ農家のもとで研修。30歳のときに農業を始めた。
作物の病気を抑えて売り上げアップ
武さんに前回取材したとき、「定植したブロッコリーのうち、悪いときは3分の1しか収穫できない」と話していた。売り上げが1000万円増えた理由を探るために、今回はまずこの点を深掘りして聞いてみた。