わけぎの特徴
わけぎは、ネギとタマネギの交雑種で、根元が太く、緑の葉を茂らせる特徴を持つ多年草です。日当たりの良い場所を好み、気温15〜25度が生育適温となります。温暖な地域ではよく育ちますが、寒冷地では生育が遅くなるため、わけぎよりもアサツキの栽培が向いています。
また地域によってわけぎの呼び方に違いがあり、関西ではネギとタマネギの交雑種のみを指しますが、関東では葉ネギの一種である「わけねぎ」も「わけぎ」として扱われることもあるようです。
わけぎの栽培暦
わけぎの栽培は、8月中旬から9月中旬にかけて植え付けを行います。追肥と土寄せは収穫の少し前、成長中に一番肥料が必要な時期に行います。1回目の追肥は9月下旬から11月上旬にかけて、2回目は3月から4月中旬に行いましょう。収穫は春と秋の2シーズンに分かれ、3月から5月上旬と10月中旬から11月中旬に行います。
わけぎの植え付け
わけぎはネギとタマネギの交雑種のため、種ができにくい野菜です。そのため植え付ける際は市販のわけぎ球根や苗を買って植え付けをしましょう。植え付ける際に注意したい点は次の通りです。
植え付け時期
わけぎの植え付けは、8月中旬から9月中旬に行います。
植え付けを行うとき、植え付けの2週間前までに1平方メートルあたり100グラムの苦土石灰をまき、よく耕しましょう。次に、1週間前までに1平方メートルあたり2キログラムの堆肥(たいひ)と、化成肥料を200グラムずつ散布し、土によく混ぜ込んでおきましょう。
市販のわけぎを再利用する(再生栽培)
根っこのついたわけぎであれば、再生栽培することも可能です。
十分に根が残っているわけぎを、口の大きな瓶や深いお皿などに入れ、根が浸るまで水を入れましょう。水は毎日取り替えてください。
植え付け場所ごとのコツ
わけぎは、プランター栽培・地植え栽培・水耕栽培とさまざまな方法で育てることができます。基本的にあまり手のかからない野菜なので、どの栽培方法も難しくなく、初心者の方でも気軽に挑戦できるでしょう。
プランターの場合
◯用意するもの
・わけぎの球根(苗)
・プランター
・野菜用培養土
・鉢底ネット
・鉢底石
・すのこなど、プランターの土台になるもの
◯プランター栽培の手順
1.プランターに、鉢底ネットを敷き、鉢底石を設置します。
2.培養土を8割くらいまで入れます。
3.鉢を揺らして土をならします。
4.植え付け穴を作り、球根(苗)を植え付けます。
◯プランター栽培の注意点
わけぎの株間は15センチほどあけて植え付けましょう。
野菜用培養土を使うのが簡単で便利ですが、さまざまな砂や土、肥料を買って自分でブレンドするという楽しみ方もあります。好きな方法を選ぶとよいでしょう。
プランターを置くときは、すのこやブロックなどの上に置き、通気性を確保しましょう。エアコンの室外機などの近くには置かないようにしてください。
地植えの場合
◯必要なもの
・わけぎの球根(苗)
・堆肥や腐葉土
・苦土石灰
・緩効性肥料
◯地植えの手順
1.植え付けの2週間前から土作りを始めます。1平方メートルあたり苦土石灰100gを入れ、 よくすき込みましょう。1週間前までに、1平方メートルあたり堆肥2kg、肥料200gを入 れよくすき込みます。堆肥や肥料を入れた直後に植え付けをすると、根がダメになってし まうことがあるため、しっかり時間をおきましょう。
2.幅50~60センチの畝を立て、表面を平らによくならします。
3.植え穴を掘って球根(苗)を植えつけます。株間は20センチ取り、2球ずつ植え付けましょう。
4.たっぷり水やりをします。
◯地植えの注意点
わけぎは日差しが大好きなので、よく日の当たる場所に植え付けましょう。
住宅街の貸し農園や庭で栽培する場合、時間帯によっては近隣の建物の日陰になってしまうことがありますので、注意してください。
水耕栽培の場合
わけぎは水耕栽培で育てることもできます。
水耕栽培用のキットを使うと便利ですが、ペットボトルなどで自作しても良いでしょう。
◯用意するもの
・水耕栽培キット(ペットボトルなど自作のものでも良い)
・わけぎの苗
・液体肥料
・ロックウールやスポンジなど
まず水耕栽培キットを組み立て、栽培容器に水と栄養液を適切な比率で混ぜて入れます。
次にわけぎの苗をスポンジに設置します。
日差しが足りない場合はライトで光を当ててあげましょう。また水位を定期的にチェックして、必要に応じて水や液体肥料を追加しましょう。特に夏の間は水を毎日取り替えて、雑菌が繁殖しないように心がけましょう。
栽培管理について
わけぎは病害虫に強く草勢もあるため、特に難しい栽培管理はありません。
水やりの方法や、施肥のやり方を押さえておくだけでも十分でしょう。
水やりの方法
◯プランターの場合
プランターの場合は、土の表面がパサパサに乾いたらたっぷり水をやります。プランターの底から水がしみ出てくるまであげましょう。
逆に、毎日定期的に水をやってはいけません。常時湿った状態が続くと根っこが腐ってしまうので、乾いたときにだけ水やりしましょう。
◯地植えの場合
地植えの場合は基本的に水やり不要です。自然降雨で十分に育ちます。もし晴れの日が続き、土を軽く掘って乾いているようであればたっぷり水やりしましょう。
施肥について
わけぎの施肥は、植え付け時の元肥、継続的に行う追肥のそれぞれがあります。
元肥は土作りの際に行うもので、追肥はわけぎの成長を見ながら適度に与えます。
植え付けから2週間ほど立つと、わけぎが10~20センチほどの大きさに成長します。その頃に、株元へ軽く土寄せを行い、緩効性肥料を一握り与えるか、水の代わりに薄めた液体肥料を与えます。その後も1週間~2週間に1回、肥料を与えましょう。土寄せも2週間に1回行ってください。
わけぎの収穫
わけぎのサイズが20センチを超えたら収穫の合図です。
清潔なハサミを使って、株元3~5センチほど残して切り取って収穫しましょう。
収穫後、畑に残ったわけぎに追肥をしましょう。このときは薄めた液体肥料を与えるのがおすすめです。その後残った部分から新芽が伸びてきて、うまくいけばシーズン中に3~4回ほど収穫を楽しむことができるでしょう。
また、根っこごと掘り上げて収穫することもできますよ。
わけぎの増やし方
わけぎは分球して増やすことができます。わけぎは畑に放置していても勝手に増えますが、次第に根が絡み合って生育が悪くなってしまいます。しっかり管理したい場合は、掘り上げて手作業で分球しましょう。
分球のやり方は次の通りです。
収穫後、わけぎの株を地面に残しておきます。すると、球根が土壌中の栄養を吸収します。葉が枯れて球根が休眠状態に入ったタイミングで株を掘り上げ、球根を丁寧に分けます。このとき、傷ついた球根や、サイズが小さいものは処分してしまいましょう。分けた球根は風通しの良い涼しい日陰で保管し、夏の植え付けまで保存します。
わけぎに発生する病害虫
わけぎの栽培には、害虫や病気の対策が欠かせません。
主な害虫として、ネギアザミウマ、ナメクジ、ヨトウムシが挙げられます。
ネギアザミウマは葉に白い斑を作ります。対策には防虫ネットや殺虫剤が有効です。
ナメクジは新芽を食害します。手での捕獲やジュースを使った誘引が効果的です。
ヨトウムシは夜に葉を食害します。手で捕獲するか、土壌に殺虫剤をまいて防除します。
一方、わけぎに発生する主な病気には黒斑病、べと病、さび病があります。
黒斑病は葉に黒い斑点を作ります。被害を受けた葉を取り除き、株を農薬で消毒しましょう。
べと病は葉に黄白色の斑点が広がります。被害を受けた葉は取り除きます。
さび病は葉にサビのような斑点が現れます。病斑ができた葉を処分し、土壌に石灰を散布することで拡大を予防できます。
相性がいいコンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは、特定の植物を近くに植えることで、互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせのことです。
ネギの仲間であるわけぎのコンパニオンプランツとしては、次の作物があります。
・ホウレンソウ ・ウリ科野菜 ・ナス科野菜 |
わけぎなどネギの仲間の根に共生する菌がウリ科野菜の「つる割病」を防ぎ、独特な臭いがウリハムシを遠ざけてくれます。ナス科のナスやトマトでは、ネギの根に共生する微生物が青枯病や立枯病を予防する効果があります。ホウレンソウと葉ネギを一緒に育てると、イチョウ病の予防や甘みの向上が期待できるとされています。
わけぎは何度も収穫できるから、家庭菜園におすすめ
わけぎは、適切な栽培管理を行うことで、収穫シーズン中に何度も収穫できるのが大きな魅力です。成長が早く、気温が安定している時期には次々と新しい葉が出るため、繰り返し収穫を楽しめます。また、わけぎは病害虫に対する抵抗力が比較的強く、草勢も旺盛であるため、栽培がしやすく、失敗しにくい野菜です。
さらに、わけぎはスペースを取らずに育てられるため、プランターや小さな庭でも簡単に栽培が可能です。水やりや肥料の管理を適切に行い、基本的な病害虫対策を施すことで、手間をかけずに長期間収穫を続けることができます。栽培が簡単ながらも、家庭菜園の楽しさをしっかり味わうことのできるわけぎは、初心者から経験者まで幅広い層におすすめの野菜です。