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アサツキの育て方を農家が解説。畑・プランターごとの栽培方法や気を付けたい病害虫まで詳しく紹介

鮫島 理央

ライター:

アサツキの育て方を農家が解説。畑・プランターごとの栽培方法や気を付けたい病害虫まで詳しく紹介

アサツキは、栄養価が高く、料理のアクセントとしても人気のあるネギ属の多年草です。春と秋に収穫できるアサツキは、家庭菜園でも簡単に栽培でき、その風味と栄養素を存分に楽しむことができます。本記事では、アサツキの栽培方法や収穫時期、肥料の使い方から病害虫対策、さらにはコンパニオンプランツとの相性まで、詳しく解説します。本記事を参考にしてアサツキ栽培に役立ててください。

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アサツキとは?

アサツキは、ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、中国が原産です。「浅葱(あさつき)」という名前の由来は、ネギ(葱)よりも色が薄い(浅い)ことから来ています。

日本では北海道、本州、四国で見られ、特に千葉、埼玉、山形でよく栽培されています。栄養価が高く、若葉にはカロテンが豊富です。早春には細いネギのような葉が生え、草丈は30~50センチに達します。根元でよく枝分かれするのもアサツキの特徴です。

アサツキの栽培暦

種球の掘り起こし 5月末~6月上旬
植え付け 8月末~9月上旬
収穫 3月~4月・10月~11月

アサツキは8月末~9月上旬に植え付けを行います。収穫は10月~11月と、翌年の3月~4月に行います。また、春の収穫が終わった後、5月末~6月上旬までに種球を掘り起こして保存しておくと、再度植え付けることが可能です。

アサツキの植え付け


アサツキは種球という球根で植え付けを行います。
植え付け時期は8月の終わりごろから9月の上旬あたりまでが適期です。
プランターと地植えの植え付け方法について、それぞれ見ていきましょう。

プランターの場合

◯必要なもの

・種球(なるべく大きいもの)
・植木鉢またはプランター(大きめがオススメ)
・野菜用の培養土
・鉢底ネット
・鉢底石

◯植え付け方法

1.植木鉢に、鉢底ネットを敷き、鉢底石を設置します。
2.培養土を七分くらいまで入れます。
3.鉢を揺らして土をならします。
4.植え付け穴を作り、種球を植え付けます。種球の先端が少し地上に出るくらいの浅植えにしましょう。
5.たっぷり水やりをします。

◯注意点

鉢は通気性の良い素焼きのものを使い、用土には排水性の良いものを選びましょう。
複数の株を植え付ける時は、条間10センチ、株間5センチ~10センチとり、2球ずつ植え付けます。

また、鉢やプランターを置くときは、すのこやブロックなどの上に置き、通気性を確保しましょう。エアコンの室外機などの近くには置かないようにしてください。

地植えの場合

◯必要なもの

・種球
・堆肥(たいひ)や腐葉土
・石灰
・緩効性肥料

◯植え付け方法


1.植え付けの2週間前までに土作りを行います。堆肥と石灰、肥料を入れてしっかり土作りを行っておきましょう。
2.植え穴を掘って種球を植えつけます。株間は10センチ取り、1穴に2球ずつ植えましょう。植える際は種球の先端が土から出るくらいの浅植えにします。
3.たっぷり水やりをします。
4.株元に敷きわらなどを敷いて、乾燥対策と保温、雨の跳ね返り対策を行うとよいでしょう。

水耕栽培の場合

アサツキは水耕栽培で育てることもできます。
水耕栽培用のキットを使うと便利ですが、ペットボトルなどで自作しても良いでしょう。

◯用意するもの

・水耕栽培キット(ペットボトルなど自作のものでも良い)
・種球
・液体肥料
・ロックウールやスポンジなど

まず水耕栽培キットを組み立て、栽培容器に水と栄養液を適切な比率で混ぜます。次に、アサツキの種球を植えます。
日差しが足りない場合はライトで光を当ててあげましょう。また水位を定期的にチェックして、必要に応じて水や液体肥料を追加しましょう。

また、市販のアサツキも根元の白い部分が残っていれば、水耕栽培と同じやり方で再生することができます。

管理方法

アサツキの栽培管理について説明していきます。
もともと山に自生するほど草勢の強い植物なので、特に手のかかることや、難しいことはありません。

水やりについて

◯プランターの場合
過湿に弱いので、こまめな水やりは逆効果になってしまいます。用土の表面がサラッと乾いたら、たっぷりと水やりをしましょう。特に夏場は土が乾きやすく、植え付けて間もない時期なので、土がカラカラにならないよう注意しましょう。

◯地植えの場合
基本的に水やりは必要ありません。晴れが続いて土がパサパサになってしまうようであれば、水やりを行いましょう。

肥料について

アサツキは肥料を好むため、元肥は多めに施します。草丈が10センチほどになったら、20日ごとに化成肥料を追肥するか、週に1度液体肥料を水やり代わりに与えます。ボカシ肥料の使用が特に効果的です。適切な肥料管理により、健康なアサツキの育成が期待できます。

収穫方法

アサツキの収穫は、秋(10月~11月)と春(3月~4月)の2回行えます。草丈が20センチになった頃が収穫の適期で、根を傷つけないように注意しながら収穫しましょう。収穫する際は、根元から3センチ上をハサミやナイフで切り取ります。何度も収穫したい場合、収穫後に追肥を行って株の成長を手助けしてあげましょう。

株の増やし方

アサツキの種球を再利用して次回の栽培に使う方法をご紹介します。春の収穫が終わった後、5月まで株をそのまま残し、種球を大きく育てます。その後5月末から6月上旬にかけて種球を掘り取り、風通しの良い日陰で乾燥させましょう。

乾燥が完了した種球は、湿気や直射日光を避けた涼しい場所で保存します。次に、8月末~9月上旬に種球を植え付けます。この際、元肥を多めに施し、十分な水を与えることで、次の栽培シーズンでも健康なアサツキが育ちます。

病害虫について

アサツキに発生しやすい病害虫は次の通りです。

黒斑病

葉に黒い斑点ができ、進行すると葉が枯れる病気。湿気が多い環境で発生しやすいです。

サビ病

葉に黄色や赤茶色の斑点が現れる病気。乾燥した環境で発生しやすく、風通しの悪い場所で蔓延(まんえん)しやすいです。病状が重症化すると、葉全体が粉(胞子)で覆われ、植物の成長と収穫を著しく阻害し、最終的には枯死してしまいます。

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ベト病

葉に黄色い斑点ができ、その後白いカビが発生する病気。湿度が高く、冷涼な環境で発生しやすいです。病気になった葉が雨でぬれると、ベトベトになることが病名の由来で、逆に晴れが続き空気が乾燥すると、パリパリに乾いた状態になります。

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ネギアザミウマ

葉の表面に小さな白斑を作る小さな虫。大量発生すると葉が変色して枯れてしまいます。
繁殖力が高く、発見しづらいところに身を隠しているため、対策が遅れるとあっという間に増殖してしまうやっかいな害虫といえます。

ネギアブラムシ

葉の裏側に群がり、汁を吸う小さな虫。葉が変色し、縮れて生育が悪くなります。発生が確認された場合、少数であれば手で潰して回ることもできますが、大量発生してしまったら薬剤による駆除が最も簡単で効率的です。

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ネキリムシ

地中にいる幼虫が根を食害し、株を枯死させます。特に苗が小さい時期に被害が大きくなりやすいです。

相性がいいコンパニオンプランツ

ネギ属のアサツキと相性の良いコンパニオンプランツを一緒に植えることで、成長を助けたり、害虫を防いだりする効果が期待できます。

キュウリ

ネギの根に共生する微生物が自然の抗生物質を出し、キュウリのつる割れ病などを予防します。キュウリの植え穴にアサツキの苗を向かい合わせて置き、根が絡むようにすると効果的です。

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ナス・トマト

ナス科の野菜(ナス、トマト)は青枯病や立枯病などの土壌伝染性の病気にかかりやすいです。アサツキと一緒に植えることで、ネギの根に共生する微生物が抗生物質を出し、これらの病気を予防します。

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ホウレンソウ

アサツキの根に共生する微生物が自然の抗生物質を出し、ホウレンソウのイチョウ病を予防します。また、アサツキの強い香りが病害虫を防ぎ、根腐れ病やうどんこ病の発生を抑える効果もあります。

こまめな手入れで、何度も収穫を

アサツキは山に自生している株があるほど生命力旺盛で、草勢の強い作物です。ある程度放任しても育ってくれる一方で、しっかり手入れを行えば何度も収穫ができる楽しさもあり、家庭菜園初心者にも向いている作物です。

本記事で解説した植え付け方、栽培管理の方法を参考にして、ぜひアサツキの栽培を楽しんでください。

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