自給率の向上は意味がない?
財務省は農業予算についての考えを、財務相の諮問機関、財政制度等審議会(財政審)で11月11日に示した。
その内容は、現行の水田関連の補助金の多くに疑問を投げかけるものだった。食料・農業・農村基本法(以下基本法)で定めた食料政策の方向と、一致していないのではないかと思う指摘も含まれていた。
例えば「個人の食生活に左右される食料自給率を、食料安全保障の確保に関する政策目標として過度に重視することは不適当」と提起した。
先の通常国会で基本法が改正され、政府が食料政策で掲げる目標は「自給率」から、「自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項」に変わった。このため財務省は、自給率は「目標の中の1つ」と指摘する。
条文の解釈にはここでは立ち入らないが、基本法が自給率の向上を放棄したわけではない。だが財務省は自給率が政策目標として持つ意味を相対化したうえで、さらに水田政策の見直しへと大きく踏み込む。
輸入可能なら輸入すればいい?
財務省はコメや麦、大豆が重要な作物であると認めている。ただ麦や大豆を水田の転作作物として栽培する場合を含めて、多額の財政負担が発生しており、その是非を検証すべきだというのが基本スタンスだ。
その中で提起したのが、飼料米補助金の見直しだ。一般品種を飼料に回したときに出す助成額の引き下げは2024年度から始まっている。財務省はさらに、2027年度以降は飼料米そのものを助成対象から外すよう求めた。
コメの政府備蓄についても見直しを提案した。具体的にはいまの制度で100万トンとしている適正水準を、引き下げるべきだという内容。これも備蓄米の売買差損や保管経費で生じる財政負担を減らすのが狙いだ。
ではどうやって緊急時に対応するのか。財務省が示した答えは輸入米の活用。そうすれば、国産の備蓄を減らせるという発想だ。
輸入に関しては、小麦や大豆、トウモロコシなどコメ以外の作物についても言及している。「あえて国民負担で国内生産を拡大するということではなく、輸入可能なものは輸入」する視点を持つべきだという。
米国やオーストラリア、カナダなど「政治経済的に友好な関係」にある国から輸入しているというのがその理由。そうした国との関係が緊張し、日本への輸出を制限したり、止めたりする懸念はないという意味だろう。