大規模な台風被害からイチゴ農家への転身。農地拡大と共に増える労働時間に悩む日々
熊本市の西に位置し海に面した河内町は、言わずと知れたみかんの町。山々にはみかん畑が広がり、のどかな景色を眺めることができます。今回、お話を伺った村上勝彦さんも25年前まではみかん農家だったそうですが、1999年に発生した台風18号によってみかん畑が壊滅的被害を受けてしまったことから、イチゴ農家へ転身。「当時、いち早くイチゴ栽培にチャレンジされていた方が白浜地区にいらっしゃったので、私をはじめ多くのみかん農家がこの時期、イチゴにシフトしたんです」。村上さんは、当時を振り返ります。

イチゴ農家 村上勝彦さん
「みかん栽培の歴史が長い河内。みかんの知識は豊富にありましたが、イチゴは初めてのこと。まずは土耕栽培20aからスタートし、生産量を増やすため40aまで農地を広げていきました。ところが、イチゴ栽培は、育苗、定植、摘果、収穫、出荷……と、全てが手作業でとにかく手がかかり、1年中忙しくて…。人手不足もあり、どうにか家族で出来る範囲で、品質と出荷量を下げずにイチゴ栽培を続けられないか…を考えていました」。
苦悩しながらもさまざまなチャレンジを続けた村上さん。現在は25aの農地にも関わらず、収量も安定し、省力化も実現し、家族で楽しく仕事を続けられているそうです。
不耕起栽培へのチャレンジ!求め続けた土づくりに訪れた転機

村上さんが栽培しているイチゴハウス
イチゴ農家に転身した数年後、村上さんは省力化を目指し、収穫を終えた畝をトラクターで耕すことなく連続して栽培することのできる、不耕起栽培へのチャレンジをスタートさせます。土中の環境コントロールが難しいことからデメリットが多いと言われ、懸念する人の多い農法でしたが、新しいことにチャレンジすることが好きな“わさもん”(熊本弁で「新しいもの好きの人」を指す)な村上さん。まずはハウス1棟から試してみることにしたそうです。結果今まで通り以上の栽培を行うことができ、すべてのハウスで実施し10年近く不耕起栽培を実施することになっています。また排水性も良く土づくりも順調に行えています。
「作物を作る上で、絶対的に必要なのは土づくり。土台がちゃんとしていないと、美味しいイチゴはできません。“土だけはちゃんと作る”という信念を持っているので、土づくりのために試行錯誤を続けていました」。(村上さん)
村上さんに転機が訪れたのは、10年ほど前。イチゴ畑の一角に萎黄病が出てしまいます。改善するためには、ガス消毒・土壌消毒を行わないといけませんし、再発の心配もあります。
「そんな時、偶然、農業資材を扱う代理店『川村産業株式会社』の臨泉さんが挨拶に来てくださって、萎黄病の相談をすると土壌改良微生物資材『コフナ』を紹介してくれたんです。美味しいイチゴを作ることは当たり前のことなので、さらに安心・安全が加わり、目指している省力化にもつながると考え、導入を決めました。3年間、ガス消毒を実施後『コフナ』を使用し、その後萎黄病がほぼ発病しなくなってからは『コフナ』を使った太陽熱土壌処理(コフナ・ソーラー法)のみで土づくりを行っています」。(村上さん)
村上さんの目指す土づくりが見えてきたタイミングでした。

左から代理店『川村産業株式会社』臨泉さん、村上さん、メーカーの「ニチモウ株式会社」大畑さん
コフナの力に信頼関係が加わり叶えた、「安定」した土づくり
「『コフナ』は、微生物の力を借りて土づくりを行うバランスの良い微生物資材として、長年、活用されている土壌改良微生物資材です。土壌が改良されることで、根の張る量が増え、土台のしっかりした株が育ちます」。「コフナ」の総発売元「ニチモウ株式会社」大畑さん。

「ニチモウ株式会社」大畑さん
資材を提案・販売するだけでなく、実際に地域を訪れ、その土壌環境を加味しながら調整を行う伴走型の提案を行う大畑さんは、臨泉さんと共に河内を訪れ、すでに10年が経つそうです。
「ちゃんと自分たちの土地のことを考えてくださるので、何でも相談しやすいですね」と村上さんも笑顔です。その笑顔からも、長年をかけて築かれた信頼関係を伺うことができます。
「『コフナ』のおかげで土づくりが出来てきたので、続いての省力化として、株間を広げていきました。通常約23センチのところを徐々に広げて、現在は30センチにしています。すると6000本必要な苗が4500本ほどで済むんです。経費はもちろん、育苗の本数も減るので手間も減るし、風通しが良くなったり、日頃の手入れもしやすかったりと、不耕起栽培はメリットが多いんです」。(村上さん)
不耕起栽培に加え、株間を広げることで得られた省力化ですが、懸念されるのはその収量。「イチゴの玉(サイズ)が大きくなり、収量も15%増。さらに、作業効率の良い高設栽培もコフナを導入したことでイチゴの味が良くなり、今では土耕栽培のものと変わらないほどまで向上しました」。(村上さん)
イチゴの苗は2/3の本数にも関わらず、収量は15%増!かつて40aあった農地は25aにまで減らし、家族で出来る範囲、無理のないイチゴ栽培が叶ったと話します。
気候変動に強い農家に! 結果の見える土づくりが、地域を動かす
近年、露路栽培だけでなく施設栽培にも大きく立ちはだかる課題「気候変動」。2024年は、さらに夏が長く、猛暑と残暑によって育苗期間に気温が下がらないことから、花の付きが悪く、「クリスマスシーズンにイチゴが足りない」と多くの生産者を苦しめました。
ところが村上さんのハウスを訪れた12月中旬。収穫したてのハウス内には2番花が美しく咲き、「さすがに若干収量は減りましたが、安定した出荷ができています」と村上さん。クリスマスを控え、収穫・出荷の準備で大忙しでした。
これは、信条でもある「土づくり」がしっかりと行えている証です。「コフナ」の導入を始めて10年の間、省力化の実現、安定した品質のイチゴの出荷を叶えた村上さん。その姿を目の当たりにした「JA熊本市白浜苺部会」の方々も、徐々に「コフナ」の導入を進め、今では半分の農地で活用されており、地域全体でのイチゴ栽培の底上げが実現していると言います。
「コフナの導入によって農薬などを使わなくなるということは、消費者のみなさんへの安心・安全のためでもありますが、何より生産者のみなさんの安全のためにも必要なことです。土づくりは失敗したからと言って、入れ替えることができません。土地によって異なる条件を加味しながら調整し、ご提案をしていきます」。(大畑さん)
生産者、代理店、メーカーの三者が共に取り組む、人だけでなく、自然環境、みんなに優しい土づくり。みなさんもチャレンジしてみませんか。
商品に関するお問い合わせ
ニチモウ株式会社
〒140₋0002 東京都品川区東品川2-2-20 天王州オーシャンスクエア
機械・資材事業本部 化成品営業部 アグリビジネスチーム
TEL: 03-3458-4369
コフナHPはこちら