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1000もの農家と交流し生まれた新刊『金持ち農家、貧乏農家』とは

1000もの農家と交流し生まれた新刊『金持ち農家、貧乏農家』とは

「6割の農家は農業だけで生計を立てていない?」。その一方で「農業所得1000万円以上の人は3.6%」というデータも 。その差は何か、稼ぐコツはあるのか。そんな疑問に答えるのが書籍『金持ち農家、貧乏農家』(かんき出版)です。JA職員を経て、農業経営コンサルタントとして独立した著者、高津佐和宏(こうつさ・かずひろ)さんが約1000人の農家と交流する中で得た「もうかる農家」のエッセンスが詰まっている。その中からいくつかを抜粋し、紹介します。

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農業だけで生計を立てている人は38.1%

農業への関心の高さと就農の実状

農業未経験のZ世代(15〜27歳)で「農業をやってみたい」という人は、4人に1人居たというJA共済連の調査(※1)があります。農業への関心の高さが感じ取れる一方で、いざ就農の実態を見てみると厳しさも浮かび上がります。
全国農業会議所の調査(※2)では、新規就農から10年以内で農業所得のみで生計を立てている人は38.1%。翻せば61.9%は「農業だけでは“食べていない”」ということです。
しかし、新規就農5年以上では、所得500万円以上は14.4%。さらに1000万円以上に限って見ても3.6%居ます
そして、そこには如実に違いがあることを示すのが書籍『金持ち農家、貧乏農家』です。

※1 「農業に関する意識と実態調査」(2023年12月実施、JA共済連)
https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP668561_Z10C24A2000000/
※2 「新規就農者の就農実態に関する調査結果」(令和3年度、一般社団法人全国農業会議所 全国新規就農相談センター)
https://www.be-farmer.jp/uploads/statistics/YV447s7CQjwBYJ3OtEht202203231858.pdf

元JA職員の農業経営コンサルタントが執筆

本書は、花き農家に生まれ、JA宮崎経済連で15年働いた後に、農業経営コンサルタントとして活動する高津佐さんが執筆しました。
YouTubeチャンネル「農家の学校」は登録者数1万人超。主宰する「儲かる農家のオンラインスクール」には全国250名(2024年7月時点)の有料会員が在籍しています。
その経験の中で1000人の農家と交流し、“金持ち農家”と“貧乏農家”の行動や考え方の差を著したのが本書。5章構成で「農業生産」「販売」「お金と時間」「農業経営」などの角度から、書かれています。
以下では、その中から3つ を抜粋して紹介しましょう。

YouTubeチャンネル「農家の学校」
http://www.youtube.com/@noukanogakkou

厳選!「稼げる農家」と「稼げない農家」の違い

①農作物がうまく育たない人が付けるべき”記録“

金持ち農家は農作業日誌を毎日つける が、貧乏農家は日誌をつけることを怠る

農作業日誌を付けているでしょうか。高津佐さんはこの何気ない作業一つに稼ぐ差が現れるといいます。
農作業日誌を付ける意義は二つあるそう。
まずは食のトレーサビリティーという考え方から「社会的要求としての記録」。そして「原因と結果の見える化」。特に「病気が発生した」「収穫量が低かった」などは、原因が必ずあるため、それを突き止め、改善するために記録が重要になります。
記録を付けるものは、手書きのノートでもいいですし、エクセルや、「アグリハブ」や「アグリノート」など農業専用のアプリでもよいそう。重要なのは記録を付けるということです。

②新しい時代の農作物の売り方

金持ち農家は直販では「自分も商品」ととらえ、貧乏農家は自分のファンをつくらない

「自分で販売をすれば利益率も上がるからもうかる」という考え方があります。しかし直販をしていても、もうからないことはあります。
というのは、結局のところ、直販とは「『あなたから買いたい』というお客様をいかに集められるかにかかっています」と高津佐さん。
野菜や果物などの商品だけでなく、「あなた」を目当てに買いに来るということが重要。
そこでブランディングは欠かせません。
ところが、そこに気づけないと「自分のファンをつくらない」ということになり、価格競争に巻き込まれてしまうことも。もうかるはずと思っていたのに、結局は自分の首を絞めることにもなりかねません。

③「金持ち農家」に学ぶ農業の心構え

金持ち農家は自然災害も天候不良も自己責任と考え、貧乏農家は自然災害や天候不良だからとあきらめる

自然災害も天候不良も、自然によるもの。ですが、金持ち農家と貧乏農家とでは、それらに対する考え方が違います。
それらも「自己責任」だと考えているとは、対策を講じるということ。「金持ち農家は、自分の農地がどのような地形にあり、過去にどんな被害があったのかを地域の人にヒアリングすることを怠りません。」と高津佐さんは書きます。
「仕方のないことだ」と諦めることは簡単。ただ、諦める前にできることはないか、と自分に問いかけることこそ、金持ち農家の考え方だといいます。

経営者マインドを知り、実践する

このように本書では、具体的に「稼げる農家」と「稼げない農家」とは何が違うのかを、事例も織り込みながら説明しています。
他にも〈金持ち農家はお客様がいるから加工品を作るが、貧乏農家はお客様がいないのに加工品を作る〉、〈金持ち農家は「隙間時間」を有効活用し、貧乏農家は「隙間時間」を浪費する〉といった示唆に富む内容です。
高津佐さんは「農業経営は2~3年で大きく変わることが可能です。」といいます。今、うまくいっていないとしても、これから変わっていける。そのための考え方や実践を知るための一冊です。

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