公式SNS

マイナビ農業TOP > 生産技術 > 炭疽病(たんそびょう)とは? 野菜・果樹の症状や見分け方、効果的な農薬や予防法を農家が徹底解説

炭疽病(たんそびょう)とは? 野菜・果樹の症状や見分け方、効果的な農薬や予防法を農家が徹底解説

炭疽病(たんそびょう)とは? 野菜・果樹の症状や見分け方、効果的な農薬や予防法を農家が徹底解説

大切に育てている野菜や果物の表面に、黒い斑点を見つけたことはありませんか?それは「炭疽病(たんそびょう)」という、カビ(糸状菌)が原因の病気かもしれません。放置すると見た目が損なわれるだけでなく、果実を腐敗させ、収穫そのものを台無しにしてしまう非常に厄介な病気です。
本記事では、マンゴーやアボカド、キュウリ、イチゴなど多種多様な作物に発生する炭疽病の具体的な症状や、間違いやすい他の病気との見分け方を詳しく解説します。また、人への影響といった気になる疑問から、農薬(殺菌剤)の正しい使い方、家庭菜園でも実践できる薬剤に頼らない予防のコツまで、幅広くご紹介します。炭疽病の性質を正しく理解し、大切な作物を病気から守るための対策を始めましょう。

twitter twitter twitter twitter
URLをコピー

炭疽病とは?植物に発生するカビ(糸状菌)が原因の病気

炭疽病は、カビの一種である病原菌が原因で発生する病気であり、多くの果樹や野菜に発生することが知られている。筆者らの栽培する熱帯果樹では、マンゴーやアボカド、バナナなど多くの果樹に発生する。また果樹以外の野菜でもキュウリやゴーヤーなどのウリ科植物、イチゴ、その他ほとんどの野菜で炭疽病が見られる。他にも、芝や雑草など、あらゆるものに感染する病気である。

病原体は、植物病原糸状菌(カビ)の一種である炭疽病菌。葉っぱや茎、花、果実など、あらゆる部位に付着することができ、小さく黒い点々としたものから、コインほどの大きなものまで、さまざまな病斑を形成する。炭疽病菌が付着した果実は、収穫時に健全な状態であっても、その後徐々に菌が活性化して、見た目だけではなく風味も損ね、最終的に全てを腐敗させてしまうとして、とても問題になっている。

炭疽病の主な症状

果樹(マンゴー、アボカド、イチゴなど)の症状

果樹の場合、炭疽病は果実や枝葉、花など多くの場所で問題になる。果実に関しては、収穫時に健全に見えるのに、収穫後に発病するという点が問題である。マンゴーやアボカド、バナナ、グァバなどでは、果実が樹上にある段階で炭疽病菌が感染していても、すぐには大きな病斑を形成しないことがある。

炭疽病がでたグァバ

病原菌が植物体内や果皮表面でしばらく活動を抑えた状態で潜んでおり、時間が経つと徐々に病斑が大きくなっていく。最終的には果肉まで軟化・腐敗する。とくに高温多湿の時期や、収穫後の保管温度が高い場合には症状の進行が早い。

筆者の経験でも、収穫直後はきれいに見えたマンゴーやアボカドが、数日後に黒い斑点を出し、果肉が水っぽく崩れてしまうことがある。これは栽培中の管理だけでなく、収穫後の温度管理や果実の傷の有無も大きく関係する。

アボカドの場合は、露路栽培をしていると、収穫時においても、高温時に急な雨が続くと、果皮が割れたり、炭疽病が発生することがよくある。袋がけや、大雨が続く日の前に収穫するなどで対策をしている。

炭疽病がでたアボカド

また多くの果樹では、葉、枝、花にも炭疽病の症状が出る。葉では黄褐色から褐色の斑点が生じ、病勢が強い場合には葉先や葉縁から壊死が広がる。新梢には褐色~紫褐色の病斑が生じ、枝枯れを起こすこともある。花の場合はチリチリになって最終的には枯れてしまう。

イチゴは厳密には木本性の果樹ではないが、果実として扱われる作物であり、炭疽病の被害が非常に大きい作物の一つである。イチゴではランナーや葉柄に黒褐色でややくぼんだ紡錘形の病斑ができ、やがて鮭肉色の胞子塊を生じる。クラウン部が侵されると、外側から内部へ赤褐色の病変が広がり、維管束が被害を受けることで葉の奇形や株の萎凋につながる。果実にも、マンゴーやアボカドと同様に、斑点のようなものが現れて、じわじわ広がっていく。

果樹類の炭疽病は、葉に斑点が出る病気というだけではない。花や幼果に感染すれば着果不良や落果につながり、収穫後に発病すれば商品価値を大きく落とす。とくにマンゴーやアボカドのような熱帯果樹では、樹冠内の風通しや、袋がけ、収穫後の温度管理まで含めて考える必要がある。

野菜(キュウリやゴーヤーなどのウリ科)の症状


野菜の炭疽病も果樹と同様に、葉、茎、果実のいずれにも症状が出る。キュウリやゴーヤーなどのウリ科の野菜では、葉に黄褐色~淡褐色の円形病斑ができ、進行すると中心部が白っぽくなって破れやすくなる。茎では長楕円形から紡錘形のくぼんだ病斑、果実では円形~楕円形のくぼんだ病斑を形成する。多湿条件では、病斑上にサーモンピンク色の粘質物、つまり分生子塊が現れることがある。

家庭菜園においては、露路栽培のことも多いため、少し葉が汚れてきた程度に見えても、梅雨や台風後のような高温多湿条件が続くと一気に広がることが多い。とくにウリ科の炭疽病は、雨滴による跳ね返りや風雨で広がりやすい。そのため、早期発見が非常に重要である。

炭疽病と間違えやすい似た病気との見分け方

炭疽病は、葉や果実に褐色~黒褐色の斑点を作るため、黒星病、褐斑病、斑点細菌病、つる枯病、灰色かび病などと見間違えやすい。特に初期症状だけで正確に判断するのは難しい。病害を見分けるときは、病斑の色だけでなく、発生部位、発生時期、病斑の形、くぼみの有無、胞子塊の色などを総合的に見る必要がある。

炭疽病を疑うポイントは、円形~不整形の褐色病斑、病斑のくぼみ、病斑中央部の破れ、そして多湿時に現れるサーモンピンク色~橙色の胞子塊である。一方で、病斑がすす状・ビロード状の黒いカビに覆われる場合や、若い葉・幼果・生長点付近に強く出る場合は、黒星病など別の病害も疑う必要がある。

黒星病との違い

葉などの発生する黒星病は、炭疽病の症状とかなり似ていてよく見間違いが起きるものの一つである。ただ、炭疽病は、夏季の高温多湿で広がりやすい点と比較して、黒星病は、低温多湿条件で被害が大きくなり点である程度、区別することもできる。

黒星病は、もちろん作物によって症状が異なるが、黒色~黒褐色のすす状またはビロード状のカビを伴うことが多い。たとえばキュウリの黒星病では、若い葉、茎、幼果に発生する。茎や幼果にくぼんだ暗緑色の斑点が現れ、最終的には、かさぶたのような状態になる。カビなども生えたり、果実が曲がることもある。

褐斑病(かっぱんびょう)との違い

褐斑病(かっぱんびょう)は、名前の通り褐色の斑点を作る病気であり、梅雨時などの高温多湿環境で発生しやすく、炭疽病と混同しやすい。糸状菌(カビ)が原因となり、風通しが悪いと、下側の葉から広がっていく。病斑が不整形に広がることも多く、炭疽病と見分けにくい場合がある。とくに初期症状が似ているため、発生部位や病斑の進み方、胞子塊の色、圃場全体での広がり方を見ることが大切である。

実際の栽培現場では、これは炭疽病だ、と決め打ちするよりも、糸状菌による斑点性の病害が出ていると考えて、まずは発病葉の除去や残渣処理、風通し改善、マルチなどを活用して泥はね防止を行うのが必要がある。薬剤を使う場合は、病名の誤認によって効果のない薬剤を選んでしまうこともあるため、迷う場合は地域の普及センターや農業試験場に相談するとよい。

炭疽病に感染した野菜や果実は食べられる?人体への影響

植物の炭疽病は、人や家畜の感染症である「炭疽」とは別物である。人間の炭疽は炭疽菌、つまり Bacillus anthracis という細菌による感染症であり、汚染された動物素材や肉などを介して問題になる病気である。

一方、植物の炭疽病は主に Colletotrichum 属などの糸状菌によって起こる植物病害である。名前が似ているため混同されやすいが、原因となる生物も、感染の仕組みも異なる。そのため、炭疽病にかかった野菜や果実を食べたからといって、その炭疽病の菌が何か健康被害を及ぼすわけではない。ただし、発病した部分はすでに組織が壊れ、風味や食感が大きく低下している。さらに、病斑部には別の腐敗菌やカビが二次的に増えている可能性もある。したがって、見た目に病斑や腐敗が進んでいる果実や野菜は、食べずに処分するのが無難である。

アボカドの場合、炭疽病の症状がかなり小さい場合には、その部分だけを取り除けば美味しく食べられることが多い。皮を剥くと、写真のように果肉が斑点状に腐敗しているが、この周辺を取り除くと食べられる。

アボカドは、症状が小さい場合はそれを取り除いて食べられることもある

ただし、果実では、表面に小さな斑点しか見えなくても、内部では果肉の軟化や腐敗が進んでいることもある。切ってみると果肉が褐変し、酸っぱい臭いや発酵臭を伴うことがある。このような状態の果実は食べない方がよい。収穫物を無駄にしないことも大切だが、病気が出た果実を無理に食べる必要はない。

炭疽病が発生しやすい時期・環境と感染経路

炭疽病は、気温、湿度、降雨、風通し、植物残渣などの条件がそろったときに発生しやすくなる病気である。特に露地栽培では、雨や風の影響を直接受けるため、ハウス栽培に比べて被害が広がりやすい傾向がある。ここでは、炭疽病が発生しやすい時期や感染経路などについて説明する。

梅雨~秋の「高温多湿」な時期に注意

炭疽病が特に発生しやすいのは、梅雨から秋にかけての高温多湿な時期である。気温が高いことと、葉や果実の表面がどれだけ長く濡れているかが、発生に関して大きな要因になる。

多くの炭疽病菌は比較的暖かい環境を好み、おおむね20~30℃前後で活発になりやすい。なかでも25℃前後は発病しやすい温度帯とされることが多く、雨が続いて葉や果実が長時間濡れた状態になると、感染の危険性が一気に高まる。病原菌の分生子は、植物表面に付着したあと、水分がある状態で発芽し、植物組織へ侵入する。そのため、夜露が多い時期、雨が連日続く時期、朝まで葉が乾かないような圃場では、炭疽病が発生しやすくなる。

特に注意したいのは、梅雨、秋雨、台風後である。梅雨時期は気温と湿度が同時に上がり、葉が濡れている時間も長くなる。秋雨の時期も、夏の高温で弱った植物に雨が続くことで発病しやすくなる。さらに台風後は、強風によって葉や果実に細かな傷がつき、そこへ病原菌が侵入しやすくなる。

筆者の栽培経験でも、長雨の時期や、台風後にマンゴー、アボカド、グァバ、バナナなどの葉や果実に黒褐色の斑点が急に増えることがある。これは、長時間の濡れ、強風による傷、高湿度、病原菌の飛散が同時に起こるためである。

雨や風、植物残渣からの「伝染」で広がる

炭疽病は、発病した植物体や植物残渣を感染源として広がる。前年に発病した葉、茎、枝、果実、つる、落ち葉、剪定枝などを圃場内に残しておくと、そこに病原菌が残り、翌年の第一次伝染源になる。

炭疽病菌は冬に完全になくなるわけではない。気温が低い時期には病気の進行が遅くなるが、発病した葉や枝、果実、植物残渣の中で病原菌が生き残ることがある。そのため、冬に症状が目立たなくなっても、圃場内に感染源が残っていれば、翌春以降の気温上昇とともに再び感染が始まる可能性がある。炭疽病の場合は、乾いた胞子が風で長距離を漂うというよりも、水滴とともに飛び散る伝染が多い。

そのため、植物残渣を圃場に残さないことも重要であるが、果樹であれば、下側の枝葉を除去して風通しをよくしておくことも重要である。

下枝を除去し、マルチを敷いて木の周囲を綺麗にしておく

風通しをよくすると、水滴もよく乾くため、とても良い予防になる。筆者らも、幼木を植え付ける際は、なるべくマルチを敷き、下枝を除去し、枝が地面に触れないようにする。また、果実をつけられない大きさの果樹の場合、花も炭疽病にかかりやすいため、すぐに摘花する。

幼木の場合、炭疽病が入る花はすぐに摘花する

炭疽病菌は1種類ではなく作物によって異なる

アボカドの炭疽病菌の分生子を顕微鏡で拡大した様子

炭疽病を引き起こす菌は、 Glomerella属またはColletotrichum属に属する真菌(カビ)で、何種類もある。そして、それぞれの菌によって薬剤感受性や生育適温は異なる。

例えば、マンゴーやイチゴの炭疽病菌として知られるGlomerella cingulataの生育適温は28℃前後、Colletotrichum acutatumは25℃前後とされる。

イチゴの場合では、前者に感染すると葉の斑点症状や葉柄の折損などが報告されており、後者に感染すると、葉枯れ炭疽病と言って、小葉の萎縮や果実の黒変などが発症する特徴がある。

2種ともに、伝染の仕方なども非常に類似しているために、防除方法などは同じで大丈夫だ。ただし、薬剤感受性は異なるため、きちんと農薬体系を考えて使用するべきである。筆者らは、圃場によっては無農薬で果樹や野菜を栽培しているため、農薬に頼らない方法で炭疽病の防除をしている。そのポイントは後ほど解説しよう。

炭疽病の防除・対策方法【農薬(殺菌剤)を使う場合】

炭疽病の防除で農薬を使う場合、最も重要なのは発病してから治すという考え方ではなく、感染しやすい時期に予防するという考え方である。炭疽病菌は、病斑が目に見える前にすでに感染していることがある。特にマンゴーやアボカド、イチゴのように潜在感染が問題になる作物では、症状が出てから対応しても間に合わないことがある。

農薬を使う際は、必ず対象作物、対象病害、使用時期、希釈倍率、使用回数、収穫前日数を確認する必要がある。日本では、農林水産省の「農薬登録情報提供システム」で、農薬名、作物名、病害虫名、有効成分などから登録内容を検索できる。登録内容は変更されることがあるため、記事内で特定の薬剤名を強く推奨するよりも、最新の登録内容を確認して使用するよう促すのが安全である。

農薬登録情報提供システムで、炭疽病を検索した結果

予防剤と治療剤を適切に使い分ける

殺菌剤は、大きく分けると予防的に使う薬剤と、感染初期の進行を抑える薬剤に分けて考えると分かりやすい。予防剤は、病原菌が植物に侵入する前に葉や果実の表面を保護し、胞子の発芽や感染を抑えることを目的とする。一方、治療剤と呼ばれる薬剤は、植物体内にある程度浸透し、感染初期の菌の生育を抑える性質を持つ。炭疽病の農薬散布の基本は、予防剤として活用する方がよい。治療剤といっても、すでに大きな病斑が出た葉や腐敗が進んだ果実を元通りに治すことはかなり難しい。

炭疽病では、雨が続く前、梅雨入り前、台風前後、開花期、幼果期、結実期など、定期的な予防が重要である。特に果樹では、収穫後に出る病斑の原因が、実は数週間~数カ月前の感染だったということがある。そのため、目に見える病斑が出てからではなく、「病気が出やすい条件がそろう前」に対策することが基本である。

薬剤耐性の発達を防ぐためのローテーション散布

炭疽病菌のような糸状菌は増殖が早く、同じ系統の薬剤を繰り返し使うと、その薬剤が効きにくい菌が残りやすくなる。これを薬剤耐性、または薬剤抵抗性という。一度耐性菌が増えると、これまで効果のあった薬剤でも防除効果が低下し、病気を抑えにくくなる。

薬剤耐性を防ぐためには、作用機作の異なる薬剤を組み合わせて使う「ローテーション散布」が重要である。ここで大切なのは、単に商品名を変えることではない。商品名が異なっていても、有効成分の作用機作が同じであれば、同じ系統の薬剤を連続して使っていることになる。そのため、殺菌剤を選ぶときは、有効成分やFRACコード(農業用殺菌剤が持つ「病原菌への作用機構(効く仕組み)」を数字や文字で分類した国際的なコード)を確認し、異なる作用機作の薬剤を組み合わせる必要がある。

例えばマンゴーの場合、筆者が農薬登録情報提供システムで検索すると、以下の薬剤が登録されている。

マンゴーに使える炭疽病の農薬を検索した結果(2026年5月現在)

たとえば、クレソキシムメチルやアゾキシストロビンは、いずれもFRACコード11のストロビルリン系と呼ばれる系統の殺菌剤であり、カビ類(糸状菌)の呼吸を阻害することで殺菌効果を発揮する農薬に分類される。そのため、クレソキシムメチルを散布したあとにアゾキシストロビンを散布しても、作用機作の面では同じ系統の薬剤を続けて使用していることになる。このような使い方を繰り返すと、耐性菌の発達リスクが高まるため注意が必要である。

一方、マンゼブやキャプタンのような保護殺菌剤は、植物体の表面で病原菌の感染を抑える目的で使用されることが多い。これらは、病気が出てから治すというより、感染が起こりやすい時期の前に予防的に使用する薬剤である。そのため、炭疽病の防除では、マンゼブやキャプタンなどの保護殺菌剤と、クレソキシムメチルやアゾキシストロビンなどの薬剤を、時期や作物の状態に応じて組み合わせることが重要である。

マンゴーでは、炭疽病が収穫後に発病することも多いため、症状が見えてから対応するのでは遅い場合がある。出蕾期、開花期、幼果期、袋かけ前など、感染しやすい時期に予防的な防除を行うことが大切である。実際の栽培では、マンゼブやキャプタンなどの保護殺菌剤を基本にしながら、必要に応じてクレソキシムメチルやアゾキシストロビンなどを組み込む考え方がある。

薬剤に頼らない炭疽病防除のポイント

炭疽病は胞子が風にのってきて感染する、もしくは雨があたり散らばって感染が広がる性質がある。そのため、一番効果の高い防除方法は、ビニールハウスでの栽培である。しかし露地での栽培しかできない人も多いはずだ。そこで、露地栽培でもできる炭疽病の防ぎ方を7つ紹介する。

  1. 被害株の除去を徹底する
  2. 剪定(せんてい)したものなどの残渣は撤去する
  3. 密植を避けて風通しを良くする
  4. 混植を行う
  5. 耐病性のある品種を導入する
  6. ハサミなどを使用する際は、消毒を行う
  7. 苦土石灰なども効果的

被害株の除去を徹底する

炭疽病に関しては、被害株を治療するよりも、広がりを防ぐために撤去をした方が得策だ。炭疽病菌のような糸状菌は急激に増えやすく、感染源となってしまうケースの方が多い。そのため、炭疽病になっている株、もしくは局所的な部分はなるべく排除をしよう。発病株の被害の範囲によっては一部の葉や茎の除去でもよいが、病斑が既に大きい場合は、菌の胞子が多く付着していることも多いため、株ごと撤去してもよい。

剪定したものなどの残渣は撤去する

特に果樹栽培では、炭疽病の防除という意味で、剪定した枝葉は撤去した方が無難だ。剪定した植物残渣などが株元にあると、そこで炭疽病菌が越冬することがある。潜在的な感染を防ぐためにも、畑の外に持ち出して廃棄しよう。

密植を避けて風通しを良くする

炭疽病菌は空気伝染するため、なるべく密植を避ける、もしくは古い葉を積極的に落として風通しを良くすることなども炭疽病を予防するのに効果的である。

混植をするのも効果的!

混植も炭疽病を広がりにくくする。なるべく異なる科を隣で栽培することによって、急速な広がりを抑えることができる。

炭疽病に強い品種を導入する

野菜でも果樹でも、多くの作物には炭疽病に強い品種が存在する。
露地で栽培ができるように、葉や茎、果実の皮が他に比べて厚い品種や、炭疽病菌が繁殖しにくいような抵抗性を持った品種がある。大体の種苗屋さんでは、少々値段は高いかもしれないが、そういった品種が販売されていると思うので、毎年炭疽病に悩まされている人はぜひ検討してほしい。

ハサミなどを使用する際は必ず消毒する

雨や風の他に、このようなミクロな菌の感染源になるのは、使用する道具である。
特に、茎や葉を切るハサミは感染源になりやすい。そのため、別の株を剪定する際などには、アルコールを含むウエットティッシュなどでさっと消毒を行おう。これは、炭疽病だけではなく、多くの病気の蔓延(まんえん)を防ぐことにもつながるため、ぜひやってもらいたい。

苦土石灰などのカルシウムを効果的に活用する

雨の前か後、うっすらと葉全体が白くなるようにふりかけることがポイントである。石灰によって湿気を飛ばし乾かしたり、石灰に含まれるカルシウム分が植物の細胞を頑丈にして炭疽病菌を侵入しにくくするなどの効果が期待できる。

炭疽病に関してよくある質問

炭疽病は一度発生したら株全体を処分した方がよい?

発病の程度による。葉の一部に小さな病斑が出ている程度であれば、発病葉や発病枝を早めに取り除き、圃場外へ持ち出すことで被害を抑えられることがある。しかし、株全体に病斑が広がっている場合や、イチゴのクラウン部、キュウリの茎、果樹の主枝など重要な部位が侵されている場合は、その株自体が強い感染源になる。周囲への拡大を防ぐため、株ごと撤去した方がよい場合もある。

炭疽病は土から感染するのか?

炭疽病菌は、土ではなく、葉や枝、果実などの残渣で越冬し生き残り、翌年以降の感染源になる。雨滴による泥はねで病原菌が葉や果実に付着する。雨を防ぐビニールや残渣の片付けなどでかなり予防できる。

雨よけ栽培にすれば炭疽病は完全に防げる?

雨よけは非常に有効で、感染リスクは大きく下げられるが、完全に防げるわけではない。すでに苗や枝葉に潜在感染している場合や、灌水時の水はね、結露、高湿度、風通しの悪さがある場合には、施設内でも発生する。雨よけに加えて、換気、剪定、株間、残渣処理を組み合わせる必要がある。

発病した果実を畑に捨ててもよい?

畑に捨てない方がよい。発病果や発病葉は、次の感染源になる可能性がある。特に果実表面に鮭肉色の胞子塊が出ている場合、そこから雨や風で胞子が広がる。発病した果実や枝葉は、圃場外に持ち出して処分するのが基本である。家庭菜園では袋に入れて処分する方が安全である。

家庭菜園では、まず何から対策すればよい?

最初に行うべきことは、発病部位の除去と風通しの改善である。農薬を使うかどうかに関係なく、病気の葉や果実を残したままにすると、そこが感染源になる。次に、株間を確保し、込み合った葉を整理し、泥はねを防ぐ。ウリ科野菜では敷き草やマルチを使い、果実が直接土に触れないようにすることも有効である。果樹では、樹冠内部に湿気がこもらないように剪定し、枯れ枝や古い果実を残さないことが大切である。

まとめ

炭疽病は、果樹や野菜を育てていると比較的よく見られる病気であるが、決して特別に怖い病気ではない。発生しやすい時期や環境、広がり方を理解しておけば、被害を小さく抑えることができる。
炭疽病対策で大切なのは、気持ちの良い環境を作ることだ。圃場がスッキリしていると、やはり気持ちが良い。枯れ葉や傷んだ果実が放置されておらず、枝葉の間に風が通り、足元まで光が入る。そのような環境は、人にとっても心地よく、植物にとっても病気が出にくい環境である。気持ちよく管理できる圃場を作ることは、結果的に炭疽病の予防にもつながるのだ。
農薬を使う場合も、病気を完全に治すというより、感染しやすい時期に予防的に使うという考え方が重要である。また、同じ系統の薬剤を連用すると薬剤耐性が発達する可能性があるため、ローテーション散布を意識する必要がある。
炭疽病は、栽培していれば出会うことの多い身近な病気である。しかし、植物をよく観察し、圃場を清潔に保ち、風通しのよい環境を作ることで、初心者でも十分に対策できる。逆に、炭疽病は栽培環境を見直すサインとして捉えるくらいの気持ちでいると、もっと作物づくりが楽しくなるのかもしれない。

関連キーワード

シェアする

  • twitter
  • facebook
  • LINE
  • Hatena
  • URLをコピー

関連記事

新着記事

タイアップ企画