なぜ畑に防風ネットが必要なのか
果樹は強風が常に当たり続けるような環境では生育が著しく悪くなりやすい。特に幼木や苗木では影響が大きく、葉が擦れて傷んだり、枝が折れたり、根が揺すられて全く成長しない。また、強風環境では蒸散量も増えるため、樹体の乾燥ストレスが大きくなりやすい。葉が風で揺れ続けるだけでも植物はエネルギーを消耗しており、思った以上に樹勢に影響する。
特に沖縄では、台風だけではなく、冬場を中心に季節風も非常に強い。そのため、「台風の時だけ守る」のではなく、普段から風を弱める環境作りが重要になる。今回は、新しく果樹を植え付ける場所に、防風ネットを取り付けたので、実際の施工の様子を紹介する。
今回作った防風ネットについて

完成した防風ネット
今回作ったのは、48.6mm径の太い単管パイプを利用した防風ネットである。沖縄のような強風地域では、20mm程度の細いパイプではどうしても耐久性に不安が残りやすい。今回は幸運なことに、知人が解体したハウスから譲り受けた中古の単管パイプを再利用している。しかも、これらの単管パイプには基部にモルタルが付着した状態だった。通常であれば邪魔になりそうな状態だが、今回はこれを逆に利用した。
ビニペットレールを加工して補強する

加工して十字状にクロス固定したビニペットレール
今回のDIYで特に工夫したのが、ビニペットレールの使い方である。
通常、ビニペットレールは一方向へ設置することが多く、レール同士を重ねてクロスさせることは難しい。しかし今回は、ビニペットレールを加工することで、十字状にクロス固定できるようにした。
防風設備には、風に「押される力」だけではなく、「揺さぶられる力」や「ねじれる力」も加わる。特に風が強い地域では、構造物全体が揺れ続けることで徐々に緩みや歪みが発生しやすい。そこで、十字方向へビニペットを入れて、ネットをスプリングで固定することで、全体のねじれや揺れを抑えられるよう工夫した。実際、クロス補強を入れるだけでも、全体の安定感はかなり変わった。
径の異なる単管パイプを利用して両開きドアを作る

左右2枚の扉で構成され、中央から左右に開閉する観音開きのドア
出入り口部分には、径の異なる単管パイプを組み合わせ、両開きのドアを自作した。畑では、一輪車や脚立、草刈機、資材などを頻繁に出し入れするため、出入口が狭いと非常に使いにくい。そのため今回は、大きく開閉できる構造にしている。単管パイプはサイズ違いを組み合わせることで、可動部分も比較的簡単に作ることができる。既製品を購入しなくても、工夫次第で実用性の高い設備を自作できるのは、農業DIYの面白いところだと思う。
実際のDIY手順①:設置場所の片付けとメインパイプ設置
では、実際のDIYの様子について紹介していく。

最初はとても綺麗な状態とは言えないものだった

農業用ネットや鉄屑を片付けていく

針金なども丁寧にとる

草刈機で草と雑木を切る

ある程度掃除が終わったら、パイプを立てる位置をマーキング

2m間隔に高さ1.8m、48.6mm径のパイプを立てることに

穴を掘っていく

モルタル付きの単管パイプで台風にも強い

ジャストフィット

次々にパイプを立てていく

モルタルとパイプが入る穴を掘る

徐々にパイプが立ってきた

パイプを全て立てることができた

道に出た土などを片付ける
実際のDIY手順②:ビニペットの購入から設置まで
次に、防風ネットを固定するためのビニペットレールを購入して設置する。こちらは、48.6mmの単管パイプに垂直(横方向)に入れたあとに、パイプとパイプの間の縦方向にも入れる。

ホームセンターでビニペットの購入

軽貨物で運搬するので、運べる長さに切って加工する

車に入るギリギリまでの長さにする

まずは、上下にビニペットを入れる

単管パイプの補強もいれておく

2m幅の防風ネットを設置する
今回は一度、全体のサイズ感などを確認するために、防風ネットの仮止めを行う。

スプリングで留めていく

ネットを引っ張りながら留めていく

ネットを引っ張りながら止める
実際のDIY手順③:横に20mmのパイプを5本入れて補強する
上下のビニペットを設置し終えたら、20mm径のパイプを5本並行に入れる。
今回、壁の高さが180cmになったため、45cm間隔で入れていく。

平行に20mmのパイプを入れて補強する

位置を合わせていく

裏からも位置を合わせていく

45cm間隔で

水平器を当てて直線になっているか確かめながら行う
実際のDIY手順④:縦にもビニペットを入れて加工してクロスさせる
横方向だけではなく、縦方向にもビニペットを入れてネットがしっかりととまるようにする。
縦と横方向にビニペットを入れると、ぶつかってしまうので、そこはうまく加工した。

縦方向にもビニペットを入れていく

裏からだとこのような感じ

重なるところは加工してバネが通るようにした

ペンチなどでうまく工夫

スプリングを通すとこのような感じに!

大体仕上がってきた

ネットを張るとかなり良い感じになった
実際のDIY手順⑤:両開きのドアを作る
両開きのドアは、余っている単管パイプを使って作ることにした。
42mmのパイプを48mmのパイプに入れると回るため、この機構を使ってドアを作る。

ドアのイメージ

パイプカッターで必要な寸法に加工する

48mmのパイプに42mmのパイプを入れるとこんな感じ

固定

ドアの部材を取り付ける

中古のドアを取り付ける

ドアは回転する単管パイプに固定

回転するパイプは支えのパイプにクランプで固定

これで両開きのドアが完成した
このドアは構造が非常にシンプルであるが、2年ほど使用した現在も十分に機能している。
中古で資材を揃えると、低予算で実用的な防風ネットが作れる!
防風対策というと、大掛かりで費用がかかるものというイメージを持つ方も多い。しかし今回のように、中古の単管パイプや身近な資材を上手く活用すると、低予算で実用的な防風ネットを作ることができる。筆者もDIY初心者であるが、廃材や中古でいただけるものがあれば、自分で作るとそこまで費用がかからずに作ることができる。今回筆者が購入したのは、ビニペットと防風ネットのみで、単管パイプなどは全て知人から譲り受けた。
また、ドアも購入すると高いが、径の異なる単管パイプを組み合わせることで、シンプルな構造ながら実用的な両開きドアも安く作ることができる。農業DIYの面白さは、既製品をそのまま使うだけではなく、自分の畑の条件に合わせて工夫できるところにある。今回作った防風ネットも、2年ほど使用しているが、現在も十分に機能している。強風に悩んでいる方や、低コストで畑の環境を改善したい方は、ぜひ参考にしていただきたい。
まとめ
筆者もDIY初心者であるが、DIYは最初から完璧にできるものではないと思っている。実際に作ってみると、ここはもう少し補強した方がよいなとか、この資材は意外と使えるなとか、この構造は次も応用できそうだといった発見がある。失敗しながらでも、自分の畑に合わせて少しずつ改良していけることこそ、農業DIYの面白さである。
畑の環境は、待っていても自然に良くなるわけではない。風が強いなら防風ネットを作る。水が足りないなら水を確保する。作業しにくいなら使いやすい形に変えていく。そうやって自分の手で畑を少しずつ良くしていくことが、農業の楽しさのひとつだと思う。低コストでも、工夫すればできることはたくさんある。強風に悩んでいる方や、畑の環境を少しでも良くしたい方は、ぜひできる範囲から挑戦してみてほしい。農業DIY、これからも頑張っていこう!
















