草刈りは「草丈40~50cm程度」を一つの目安にする

バナナ園の草刈りをする筆者
筆者は、草丈が40~50cm程度(膝下あたり)になった頃に草刈りを始める。草刈り作業そのものが最も効果的で、かつ長期的に楽ができると考えているからだ。
草が低いうちから作業を始めると、当然ながら草刈りの回数は増える。一方で、草を伸ばしすぎると、草刈機に絡みやすくなって除草しにくいほか、草に足元を取られて作業効率も大きく落ちてしまう。
作物の周囲は草丈40~50cmになる前に対処する

若木や野菜の周囲は早めに対処しておく
草が大きくなりすぎると、果樹の若木や野菜の周囲で光、水、養分が奪われやすくなる。特に植え付け直後の苗や、根がまだ浅い若木は、周囲の草との競合を受けやすい。そのため、苗のすぐ近くでは、草丈40~50cmまで待つのではなく、作物が草に覆われ始める前に早めに対応する必要がある。
先に断りを入れておきたいが、畑を耕す上で大切なのは、「40~50cmになったら必ず刈る」という機械的なルールにしないことである。作物の状況や、雑草の種類、ご自身の働き方のスタイルなども考慮して、草刈りのスケジュールを立てることも大切だ。
今回紹介する草丈40~50cmは「草刈りの開始ライン」として筆者が考えている一つの目安である。実際には現場の状況を最優先に考え、調整することが重要である。
雑草を減らすには、一年草と多年生雑草を分けて考える
草刈りのタイミングを考えるうえで、特に大切なのが、その草が一年草なのか、多年生雑草なのかを知ることである。一年草と多年生雑草では、翌年以降に増える仕組みが異なる。同じように刈っていても、狙うべきポイントが変わる。
一年草は「種を落とさせない」ことが最優先
一年草は発芽して成長し、花を咲かせ、種を作って枯れる草である。翌年にまた増える主な原因は、畑に種を落とすことである。そのため、一年草の対策で最も大切なのは、種を作らせないことである。草を完全に抜き切れなくても、花が咲く前、あるいは種が熟す前に地上部を刈れば、翌年の雑草の量を少しずつ減らせる。
雑草対策は、すぐに結果が出るものではない。土の中には過去に落ちた種が残っており、数年にわたって発芽することがある。それでも、毎年新しい種を落とさせない管理を続けることで、畑の中の種は徐々に減っていく。花が咲いている草を見つけたら、来年以降の雑草の種を増やさないために刈ると考えると、草刈りも始めやすい。
多年生雑草は「何度も葉を刈る」ことが重要

多年生雑草のチガヤ
ドクダミ、スギナ、ヨモギ、チガヤなど、地下茎や根から何度も芽を出す草は、多年生雑草に分類される。これらは種だけでなく、地下茎や根茎、塊茎などを使って増えるため、一度刈っただけでは簡単に減らない。

一度増えると減らすのが難しいアメリカハマグルマ(キク科の多年草)
多年生雑草は地上部の葉で光合成を行い、そこで作った養分を地下部に蓄えている。そして、蓄えた養分を使って、再び地上部の芽を伸ばす。
そこで有効なのが、地上部の葉を繰り返し刈って徐々に弱らせることだ。葉を刈られると、多年生雑草は光合成をしにくくなり、地下部に養分を十分に蓄えられなくなる。
ここで重要なのが、ある程度地下部の養分を使わせるために、40~50cm程度、地上部の葉を成長させることだと考えている。雑草が発芽してあまりに小さい状態で草を刈ってしまうと、地下部に養分が残ってしまうので、草刈りをした直後もまた勢いよく雑草が生えてくる。そこで、ある程度草を大きくして、光合成をはじめる充実した葉っぱになる前に、刈ることで、ある程度地下部の養分を地上部の方へ使わせることができると考える。
一度の草刈りで根絶することは難しいが、再生してきた葉をタイミングよく何度も刈り、地下部の養分を枯渇させ、少しずつ勢いを弱めることができる。
多年生雑草が多い場所では、「一回で終わらせよう」と考えないことが重要である。草刈り、草マルチ、地表を覆う作物の導入などを組み合わせ、数カ月から数年かけて優勢な草を減らしていく。地道な管理であるが、数年続けていくと結果としてかなり雑草の勢いが減って、野菜や果樹を育てやすい園地にすることができる。
草は、むやみに抜かず「刈る」管理も有効

定期的に草刈りをすると扱いやすい果樹園になる
雑草を見ると、根から抜かなければならないと思うかもしれない。もちろん、植え付けたばかりの苗の周囲や、野菜の株元など、作物と近い場所では、必要に応じて抜き取ることもある。
しかし、果樹園の通路や株間など、広い範囲の草をすべて根から抜く必要はない。むしろ、草刈機などで地上部を刈り、根を土の中に残す管理には多くの利点がある。
根を抜かないことで強い畑になる

アボカドを植えてる山でも草生栽培をしている
果樹園では、農地にあえて雑草を生やして果樹を育てる草生栽培という方法がなされる。昨今は日照りや大雨が数日続くことも多い。そのような環境では、実は、根を抜いていない園地の方が作物を育てやすいし、管理もしやすいという側面がある。草の根が土を支え、強い雨による土の流亡を抑える役割や園地の土が渇ききって地割れ防止なども期待できる。また、傾斜地などでは地表を裸地にするよりも、ある程度は草で覆われていた方が、維持しやすいこともある。
草を根から抜くと、土の表面が大きく乱れやすい。一方で、地上部だけを刈れば、土を必要以上に動かさずに済む。残った根はやがて土の中で分解され、有機物として土に還ることで、徐々に肥沃な状態を作っていけるようになる。
ヘアリーベッチなどの都合の良い草を植える!

マンゴー園も春にはヘアリーベッチが満開になる
雑草を減らす方法は生えてきた草をひたすら刈ることだけではなく、都合の良い草をあえて植え、雑草が生えるスペースを減らすという方法もある。このような草は緑肥作物や被覆作物、カバークロップなどと呼ばれる。代表的なものが、マメ科のヘアリーベッチである。ヘアリーベッチは秋に種をまくと、冬から春にかけて地面を覆うように成長するつる性の植物である。赤紫色のとても綺麗な花を咲かせ、見た目も良い。園地も地表をしっかり覆うため、雑草の種に光が当たりにくくなり、新しい雑草の発芽を抑えやすい。
また、ヘアリーベッチはマメ科植物であり、根に根粒菌を共生させて空気中の窒素を利用する。成長した茎葉や根が土に還ることで、有機物として土づくりにも役立つ。春に枯れた草をそのまま敷草のように利用できれば、草マルチとしても活用できる。
刈った草は捨てずに「草マルチ」として使う

刈った草はマルチとして活用する
草刈り後の草は、実はかなり使い勝手が良い資材である。筆者は、刈った草は必ず、草マルチなどに活用して、畑に戻している。草マルチとは、刈った草を作物の周囲や、土の表面に敷くためのものである。果樹や野菜の周囲に敷くことで、新しい雑草の発芽や生育を抑えられるだけでなく、周囲の乾燥防止や、雨による泥はね防止など多くの利点がある。
<草マルチの利点>
・土の乾燥を抑えやすい
・雨による泥はねを減らせる
・地温の急激な変化を和らげやすい
・分解された草が有機物として土に還る
・処分にかかる手間やコストを減らせる
刈った草は処分せずに、若木の周囲に敷いたりするだけでもかなり生育を助ける資材になる。草を「邪魔なもの」として外へ出すのではなく、畑の中で循環させる資源として見ることができれば、草刈りも楽しくなるだろう。
ただし、草マルチを使う際には注意点もある。成熟した種がついた草をそのまま敷くと、かえって雑草を増やすことがある。また、地下茎やほふく茎で増える草は、生きた状態で厚く積むと再生する場合がある。

つる性のヤブガラシ(ブドウ科の多年草)は気をつけよう!

ヤブガラシ
草マルチを活用した例をいくつか紹介
刈った草は、野菜や果樹を育てるうえで、とても使い勝手の良い資材になる。筆者は、植え付けたばかりの野菜苗や果樹の若木の周囲には必ずといっていいほど、草マルチとして活用している。以下に、筆者が果樹や野菜で活用している例を紹介するが、どのようなものでも活用できるので、ぜひ皆さんもやってみていただきたい。

マンゴー園は毎年、夏に寝れるくらいの多量な刈草を敷いている

ゴーヤーのドーム栽培も周囲を刈草で覆っている

果樹園の中に玉ねぎも栽培!刈草をしっかり使っている

地這えトマトも刈草を敷いておくと草に負けず成長する
生物多様性を考えるなら一気に刈らなくても良い

イヌビワにつくテントウムシ
筆者が以前、無肥料栽培をしていた畑では、一日で一気に雑草を刈らないようにしていた。一日で草を全て刈ろうと思うと、体力的にも、精神的にも大変なので、毎日1~2時間だけ草刈りをすると楽であるということもあるし、生物多様性の保全という側面を考えると、一気に畑の環境を変えないことは大切である。
草地には、多くの昆虫や小動物が暮らしている。全面を一気に刈ると、それまで草むらを利用していた生き物の居場所が急になくなる。また、畑が完全な裸地になると、強い日差しや豪雨の影響を直接受けやすくなる。
そこでまずは、通路や作業場所、若木の周囲など、管理上どうしても草を低く保ちたい場所から刈る。その後、残りの場所を時期をずらして刈るようにしていた。すべてを放置するわけではなく、心地よい環境を維持するという畑仕事ができたら最高だと思う。
まとめ
草刈りの目的は、畑から草を完全になくすことではない。作物の生育を守り、畑作業しやすい環境をつくることが目的である。筆者は、草丈40~50cm程度を目安に草刈りを始めているが、これが長期的に雑草の勢いを抑え、さらには刈った草も有効活用できる資材だと考えている。草を敵としてすべて排除するのではなく、畑の中でコントロールし、資源として使う。その視点を持つだけで、毎年の草刈りは少し楽になり、畑の土も変わっていくはずである。





















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