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農業を読む、未来をセンシングする—匠の感覚とシンクロした新方式の土壌水分センサー

農業を読む、未来をセンシングする—匠の感覚とシンクロした新方式の土壌水分センサー

2026年4月、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)の通信・IoT技術と、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、ソニー)のRF・センシング技術を融合した合弁会社・センシフィアが事業を開始しました。社名はSense(感知)とSophia(知恵)から。「大地の声を聴いて、賢く使う」願いを込めた名前です。猛暑、水の制約、担い手の減少——農業の未来を、見えなかった「土の中」の可視化から変える。実証圃場ではいま、データと匠の感覚が「シンクロ」する瞬間が生まれ始めています。

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「農業を読む、未来をセンシングする」——センシフィア誕生に込めた想い

私たちセンシフィアには、創業のときから掲げ続けているコーポレートメッセージがあります。

農業を読む、未来をセンシングする。
見えないものを計測し、データ化する。
見えなかった未来を、一つひとつ実現していく。
確かなセンシングこそが農業を守り、食料問題や地球環境を支える力になる。
私たちは、本気でそう信じています。
センサーの普及がゴールではありません。
農業のあり方そのものを根本から革新し、人と地球の明日を確実に守り続けること。
それが、Sensiphiaの揺るぎない使命です。

なぜ通信会社と半導体メーカーが農業をやるのか、とよく聞かれます。答えはシンプルで、今まで見えなかった土の中を「読む」には、地下部を計測しデータ化するセンサー技術と、そのデータを運んで使えるようにする通信の仕組み、その両方が要るからです。片方だけでは、農家の手元に届きません。2社が合弁会社という形を選んだのは、この使命を本気で果たすためです。

農業を取り巻く状況は、年々厳しさを増しています。気温上昇による品質障害は広がり、ぶどうの着色不良は西日本で4〜5割、トマトの着花・着果不良は全国で約4割にのぼります(出典:農林水産省「令和5年および令和6年の地球温暖化影響調査レポート」)。基幹的農業従事者は2000年比で56.8%減、平均年齢は67.7歳(出典:農林水産省「2025年農林業センサス」)。人が減るなかで、一人あたりの仕事はむしろ増えています。

「見えなかった未来」を、一つひとつ実現していく

私たちが実現したい未来は、3つあります。

・気候リスクを緩和し、安心して挑戦できる農業へ——
灌水のことになると夜も眠れない。その心配をセンサーに任せ、経営や次の挑戦に頭と時間を使っていただく
・水・肥料の制約を、構造的な競争力に——
センサーで緻密に灌水することで、灌水量は3割程度減らせ、それに伴い液肥も削減できる。制約を競争力に変える
・生産者の経験知を、地域全体の力に——
水やりの判断をデータという形にすれば、若い人に受け渡せる。データであるからこそ、伝授できる技がある

センサーそのものは、極めて小さなハードウェアにすぎません。けれども、それを生かすことで人の行動が変わり、地域社会の力に変わる。センサーの普及そのものではなく、その先にある農業のあり方の革新こそが、私たちのゴールです。

見えなかった土の中を「読む」——電極の密着に頼らない新方式SFDT

もっとも、土壌水分センサーはこれまでも存在していました。それなのに、なぜ現場に定着してこなかったのか。施設農家55名への調査では、「水分センサーを検討した経験がある」が43%に対し、「自動灌水で実際に活用している」は8%。一方で「適正価格で使えるセンサーなら購入したい」は89%にのぼりました(出典:マイファーム生産者ヒアリング調査、2023年8月〜2024年4月、N=55)。理由として多く挙がったのが、「センサーは目安程度」という声です。

従来の土壌水分センサーの多くは、金属電極を土に密着させて測る方式です。ところが、乾湿の繰り返しや根の生育で電極と土の間にすきまができると、密着が崩れて測定値が大きく下がります。故障ではなく、原理上避けられない物理現象です。設置直後は正確でも、使い続けるうちに値がずれていく——「目安程度」と言われてきた大きな要因は、ここにありました。

そこで当社が採用したのが、電極の密着に頼らない「SFDT方式(空間周波数域透過法)」(※当社独自方式。ソニーにて、日本、中国、米国特許取得済)です。プローブ全体を樹脂で覆い、内蔵した2つプローブ全体を樹脂で覆い、内蔵した2つのアンテナの間をRF信号(高周波の電波)が透過することで、アンテナ間の土壌そのものを測定します。土との密着が不要なため、すきまの影響を受けにくく、肥料・塩分濃度の影響も受けにくい。腐葉土やロックウール、ヤシガラといった、従来は測定が難しかった培地でも測定できます。

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2つのアンテナの間にある土壌そのものを測るSFDT方式

第三者による評価も受けています。鳥取大学の齊藤忠臣准教授からは「出力の線形性が高く、塩分・温度・空隙の影響が小さい」、カリフォルニア大学デービス校のIsaya Kisekka博士からは「塩水土壌での誤差が小さく、模擬空隙でも誤差はわずか」との評価をいただきました(出典:Saito et al. (2022) Sensors)。トマトの実証ハウスで行った長期比較でも、47日後、一般的な従来方式は灌水への応答が縮小したのに対し、SFDT方式は波形の形状も振幅も維持していました。土の中を「読み続けられる」センサーであること。それが、未来を読み解く前提になると考えています。

実証実験で見えた、匠の感覚とデータの「シンクロ」

このセンサーを実証圃場に設置していくなかで、私たちは何度も同じ体験をしました。データが、匠の生産者の感覚と重なり合う——「シンクロ」する瞬間です。

高知のきゅうり産地:匠の技が、データを介して受け渡された

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新米農家の水分値が、篤農家のパターンに近づいていった

高知県で、キュウリを栽培するハウス区内に新米農家と篤農家それぞれが管理する区画があり、土壌水分量を比較しました。(2025年1月23日~5月4日)
篤農家の水分値は常に安定し、新米農家の水分値は安定しない。そこで新米農家の方に篤農家のデータを見て灌水を補正していただいたところ、数カ月後には新米農家のグラフが、篤農家の水やりパターンに重なっていきました。何年もかけて身につける匠の技が、データを介して受け渡された瞬間でした。

きむら農園(千葉県八千代市):感覚と数値が合ったから、任せられた

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マスクメロンの生育を確認する木村さん

元教員で就農7年目の木村さんは、ミニトマトとマスクメロン、米を手がける生産者です。環境制御装置に当社センサーを接続し、灌水を自動化しました。センサーを入れて最初に驚いたのは、ご自身の手動灌水の記録だったといいます。

「手動の灌水が、機械のように綺麗な波形を描いていた。感覚と数値が合う——それを確かめられたから、灌水はセンサーに任せられた」(木村さん)

灌水を任せた結果、「収量・利益の改善実感は2〜3割(環境制御・土づくりとの複合効果)」「マイクロクラッキング(果皮の細かなひび割れ)が激減し、規格率・秀品率が1〜2割向上」「灌水を考え続けていた1日約1時間が空いた」「田植え・稲刈り期の年3カ月、ハウスを離れても遠隔管理で回るようになった」と話します。

尾上農園(神奈川県海老名市):センサーは「匠の手」と同じ

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スマホで土中水分を確認する尾上さん

高糖度トマト一筋35年の尾上さんは、「一人300坪が限界」といわれる高糖度トマト栽培で、約700坪を一人で管理しています。肥料濃度は一般的な養液栽培の約3分の1。しおれる寸前まで水を絞る「攻めの水管理」を、センサーの数値を見ながら実践しています。「寝る前にハウスへ」という夜の見回りは、スマートフォンでの確認に変わりました。

「昔の農家は、土に50cm手を突っ込んで水分を確かめた。水分センサーは、その匠の手と同じ。中が見えるだけで、人より一歩先に行ける」(尾上さん)

匠の手の感覚は、正しかった。私たちがつくったのは、その感覚を数字で再現し、次の世代に受け渡せる形にする技術なのだと思っています。
※上記は各農園でのヒアリングに基づく実感値であり、効果を保証するものではありません。

来春のリリースに向けて——ともに挑む仲間を募集しています

当社は、環境制御装置に接続できるセンサープローブを、来春・2027年3月に提供開始する予定です。今後は、圃場内の水分分布を測るポータブルビューワ、クラウド上で灌水判断を支援する灌水ナビ、既存の灌水制御装置と連動して自動灌水を実現する灌水コントロールへと展開していきます。
リリースに先立ち、次のような方を募集しています。

・ 発売前からセンサーを使い、生産性や品質の向上にチャレンジしたい生産者の方
・ 自社の環境制御装置に接続して活用したいベンダーの方
・ 研究開発や地域の営農指導に役立てたい研究者・農業指導員の方

農業を読む、未来をセンシングする。土壌水分センサーが「目安程度」と言われる時代を終わりにし、匠の感覚をデータという形で次の世代へつないでいく。この挑戦に興味・関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
※本記事に記載の製品は開発中のものであり、仕様・機能・提供時期は予告なく変更される場合があります。

株式会社センシフィア 公式サイト

株式会社センシフィア 公式note

お問い合わせ先

株式会社センシフィア(Sensiphia, Inc.)
〒162-0813 東京都新宿区東五軒町6-22 フロントプレイス飯田橋 5階
お問い合わせ先メールアドレス:info@sensiphia.com

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