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鹿児島の伝統野菜「ハヤトウリ」とは? 特徴・旬・下処理方法、レシピや家庭での育て方まで紹介【日本伝統野菜推進協会監修】

さとう ともこ

ライター:

連載企画:解説!全国伝統野菜

鹿児島の伝統野菜「ハヤトウリ」とは? 特徴・旬・下処理方法、レシピや家庭での育て方まで紹介【日本伝統野菜推進協会監修】

洋ナシによく似た形の実をつけるウリ科の野菜「ハヤトウリ」。夏に収穫されるものが多いウリ科の仲間の中で、日が短くなる秋に実ります。1株にたくさんの実がつき、植え方もユニークなのが特徴です。鹿児島県では古くから栽培され、「かごしまの伝統野菜」に選ばれています。日本伝統野菜推進協会の協力のもと、ハヤトウリの特徴や旬、栄養、下処理・保存方法、レシピ、家庭菜園での栽培方法まで紹介します。

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ハヤトウリとは?

ハヤトウリ白色種

ハヤトウリは、ウリ科ハヤトウリ属のつる性の多年草で、果実を食用とします。原産地は中央アメリカです。大正6年に鹿児島県日置郡永吉村(現在の日置市吹上町永吉)の矢神氏がアメリカ合衆国から持参し、試作したのが日本で最初に栽培されたとされます。大正9年頃から鹿児島県内に広く普及し、「薩摩隼人(さつまはやと)」にちなんで「ハヤトウリ(隼人瓜)」と名付けられました。主に漬物用として利用されるほか、炒め物や煮物、和え物などにも使われています。

栽培環境や方法によって異なりますが、1株で50~200個もの実が収穫できることから、「千成(せんなり)」という異名もあります。鹿児島で古くから栽培され、郷土の食文化を支えてきたことから、「かごしまの伝統野菜」23品目のひとつに選定されています。

特徴

果実は洋ナシのような形で、表面に凹凸があります。大きさは縦10〜15cm、横7〜10cm、重さは300〜500g程度ですが、大きいものでは1kgになることもあります。

果肉は緻密(ちみつ)で水分をたっぷり含み、生ではパリッとした食感が楽しめます。火を通しすぎなければ、加熱してもシャキシャキ感が残ります。中心には薄い種が1つだけ入っています。

ハヤトウリには果皮の色によって白色種と緑色種があります。白色種はアイボリー色で刺毛が多く、味にクセが少ないのが特徴です。緑色種はやや大型で多収性があり、味には少し青臭さがあります。

産地

ハヤトウリは鹿児島県をはじめとする九州各県のほか、四国、沖縄などで栽培されています。高知県では英名Chayote(チャヨーテ) に由来する「チャーテ」の名で、地域野菜として親しまれています。熱帯原産のため温暖な地域が栽培に適していますが、本州でも育てられています。

旬の時期

旬の時期は10月から11月です。流通量は多くありませんが、産地の直売所やスーパー、道の駅で販売されています。

栄養

ザルにのったハヤトウリ

ハヤトウリの果肉はおよそ94%が水分で、100gあたり20kcalと低カロリーな野菜です。カリウムや食物繊維、ビタミンCのほか、葉酸やパントテン酸を含みます。白色種と緑色種で栄養成分の差はほとんどありません。

カリウム

体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ働きがある栄養素です。100gあたり170mgのカリウムを含みます。

食物繊維

小腸で消化されずに大腸まで届き、便通を整える働きがあります。100gあたり1.2g(水溶性0.2g、不溶性1.0g)の食物繊維を含みます。

ビタミンC

皮膚や粘膜の健康維持を助け、抗酸化作用を持つ栄養素です。100gあたり11mgのビタミンCを含みます。

※栄養成分は日本食品標準成分表2020年版(八訂)「はやとうり 果実 白色種 生」の値を参考にしています。

下処理方法

ハヤトウリの下処理

ハヤトウリは切るときに出る粘液(アク)で手が荒れることがあります。下処理の際はポリエチレン手袋やゴム手袋を着用しましょう。

皮をむき、縦半分にカットし、スプーンなどで中心の種を取り除きます。料理に合わせた大きさに切り、水に10分ほどさらしてアクを抜きます。苦みが気になる場合は、塩もみか塩ゆでをすると和らぎます。塩ゆでする場合は、使いやすい大きさに切ったあと、1%の食塩水で2分ほどゆでるのが目安です。

保存方法

ハヤトウリは寒さに弱い野菜です。温暖な地域では、新聞紙に包んで段ボール箱に入れ、冷暗所(室温10~15℃)におくと翌春まで持つことがあります。ただし、個体差や環境条件によっては常温で傷みが出ることもあり、冷蔵や冷凍保存のほうが安定します。

冷蔵保存

乾燥を防ぐため、丸ごとの場合はキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。1カ月ほど日持ちします。
カットしたものは、種とわたを取り除いてラップで包み、野菜室で保存します。1週間ほどで食べ切りましょう。

冷凍保存

皮をむいて種を取り除き、料理に合わせた大きさに切ります。1%の食塩水でさっとゆでると、冷凍による食感の低下を抑えられます。水気を切って小分けにし、ラップで包んで冷凍用保存袋に入れれば、約1カ月保存できます。凍ったまま、スープや煮物、炒め物などの加熱調理に使えます。

ハヤトウリの特徴を生かしたレシピ5選

ハヤトウリは生のまま漬物やサラダに利用できるほか、炒め物や煮物、揚げ物、スープにも使えます。生ではパリッと、漬物やサラダ、炒め煮ではシャキシャキと、かき揚げやスープでは甘みが強くなりとろっとした食感に変わります。身近な食材で作りやすいレシピを集めました。

ハヤトウリのかつお節浅漬け

ハヤトウリのかつお浅漬け

シャキシャキとしたハヤトウリの食感を手軽に楽しめる浅漬けです。かつお節のうま味に輪切り唐辛子の辛みを加え、シンプルながら箸が進む味わいです。

材料(2人分)

  • ハヤトウリ  1/2個(約150g)
  • 塩      小さじ1/3
  • かつお節   1袋(約2g)
  • 輪切り唐辛子 少々

作り方

  1. ハヤトウリは皮をむき、縦半分に切って種を取り、2〜3mm幅の薄切りにする
  2. ポリ袋にハヤトウリと塩を入れてもみ、10分ほど置く
  3. 水気をしっかり絞り、かつお節、輪切り唐辛子を加えて和える
  4. 冷蔵庫で10〜15分ほど置いて味をなじませる

ハヤトウリとみょうが、大葉の生ハムサラダ

ハヤトウリとみょうが、大葉の生ハムサラダ

ハヤトウリのシャキシャキとした食感が楽しめるサラダです。みょうがと大葉の爽やかな香りに、生ハムのほどよい塩気とレモンの酸味を合わせました。副菜にもおつまみにも向きます。

材料(2人分)

  • ハヤトウリ    1/2個(約150g)
  • 生ハム      40g
  • みょうが     2個
  • 大葉       4~5枚
  • オリーブオイル  大さじ1
  • レモン汁     小さじ2
  • 塩        少々(塩もみ用、ドレッシング用)
  • 粗びき黒こしょう 少々

作り方

  1. ハヤトウリは皮をむき、縦半分に切って種を取り、3~4mm厚さのいちょう切りにする。塩少々をまぶして5分ほど置き、水気をしっかり絞る
  2. みょうがは縦半分にして斜め薄切り、大葉は千切りにする。生ハムは食べやすい大きさにちぎる
  3. ボウルにオリーブオイル、レモン汁、塩、黒こしょうを入れて混ぜ、ハヤトウリ、みょうが、大葉、生ハムを加えて和える

ハヤトウリとさつま揚げの炒め煮

ハヤトウリとさつま揚げの炒め煮

ハヤトウリと鹿児島特産のさつま揚げを組み合わせた、ご飯のおかずになる一品です。さつま揚げのうま味がハヤトウリにしみ込み、シャキシャキとした食感も程よく残ります。

材料(2人分)

  • ハヤトウリ 1個(約300g)
  • さつま揚げ 2枚(約80g)
  • ごま油   小さじ1
  • 水     100ml
  • しょうゆ  大さじ1
  • みりん   大さじ1
  • 砂糖    小さじ1

作り方

  1. ハヤトウリは5mm幅程度の薄切りにし、10分ほど水にさらしてアクを抜く。さつま揚げは1cm幅に切る
  2. フライパンにごま油を熱し、ハヤトウリとさつま揚げを中火で炒める
  3. ハヤトウリが少し透き通ってきたら、水、しょうゆ、みりん、砂糖を加える
  4. 落としぶたをして5〜6分煮て、煮汁が少なくなったら火を止める

ハヤトウリとニンジンのかき揚げ

.ハヤトウリとニンジンのかき揚げ

ハヤトウリはかき揚げにすると、甘くとろみのある食感になります。ニンジンとの相性もよいです。衣は薄めにまとめて、カラッとサクサクに仕上げましょう。

材料(2人分)

  • ハヤトウリ  1/2個(約150g)
  • ニンジン   1/3本(約50g)
  • 薄力粉    大さじ2
  • 冷水     大さじ2
  • 揚げ油    適量
  • 塩      適量

作り方

  1. ハヤトウリは3〜4cm長さの細切りにし、10分ほど水にさらしてアクを抜く。ニンジンも皮をむいて同じ長さの細切りにする
  2. ハヤトウリとニンジンの表面の水気をキッチンペーパーで軽く拭く
  3. ボウルにハヤトウリとニンジンを入れ、薄力粉を加えて全体にまぶす。冷水を加えてさっくり混ぜる
  4. 170〜175℃に熱した揚げ油に、木べらなどを使って薄く広げるように入れる
  5. 途中で裏返し、3〜4分ほど揚げてカラッとしたら油を切る。器に盛り、塩を添える

ハヤトウリのグラタンスープ風

ハヤトウリのグラタンスープ風

ハヤトウリを洋風のスープに仕立て、チーズをのせて焼いたフランスパンを添えます。煮るととろっとやわらかくなり、スープの味がなじみます。生ではパリッとした食感の野菜が変化する、意外性のある一品です。

材料(2人分)

  • ハヤトウリ   1個(約300g)
  • 玉ねぎ     1/4個(約50g)
  • ベーコン    2枚(約40g)
  • バター     10g
  • 水       350ml
  • コンソメ(固形)1個(5g)
  • 塩       少々
  • こしょう    少々
  • フランスパン  2切れ
  • ピザ用チーズ  適量
  • パセリ(刻み) 適量

作り方

  1. ハヤトウリは5mm幅程度の薄切りにし、10分ほど水にさらしてアクを抜く。玉ねぎは薄切り、ベーコンは5mm幅に切る
  2. 鍋にバターを溶かし、玉ねぎとベーコンを炒める。玉ねぎがしんなりしたらハヤトウリを加えて炒める
  3. 水とコンソメを加え、ハヤトウリがやわらかくなるまで5〜6分煮て、塩、こしょうで味を調える
  4. フランスパンにピザ用チーズをのせてトースターでチーズに焼き色がつくまで焼く
  5. 器にスープを注ぎ、フランスパンをのせ、刻んだパセリを散らす

ハヤトウリの栽培方法

つるに実ったハヤトウリ

ハヤトウリは、果実をそのまま種として使う珍しい野菜です。日当たりと風通しのよい場所を好み、20〜23℃程度の温暖な気候で生育します。植え付けは4月下旬〜5月上旬、収穫は10〜11月です。
比較的病害虫に強く育てやすい野菜ですが、広い場所とつるを這わせる棚が必要です。家庭菜園やプランターでは、支柱でやぐらを組み、ネットに這わせて栽培するのが現実的です。適宜、剪定(せんてい)して株が大きくなりすぎないように管理しましょう。

準備・土づくり

植え付けの2~3週間前までに畑を耕し、石灰と元肥をまき、できるだけ深く土に混ぜ込みます。プランターの場合は、深型のものを用意し、野菜用培養土を使うと手軽です。

植え付け

植え付けは暖かくなってから行います。関東では5月の連休後が適期です。畑では株間を4mほど取り、果実を横に寝かせて、半分が土に埋まるように植え付けます。芽と根は、果実のお尻のくぼんだ部分から出ます。果実自体が水分を多く含んでいるため、芽が5〜6cmに伸びるまで水やりは不要です。

管理・整枝

棚を作るのが理想ですが、高さ180cmほどの頑丈なやぐらを作り、園芸用ネットを張ってつるをはわせて育てることもできます。本葉5〜6枚で摘心し、子づる2〜3本を伸ばしてネットに誘引します。子づるが1mほど伸びたところでさらに摘心して、孫づるを伸ばします。孫づる1本あたりに3〜4個の実をつけるのが目安です。

水やり・追肥

土の表面が乾いたらたっぷりと水を与え、真夏は朝晩の2回にします。7月から9月上旬にかけて月1回程度の追肥をします。

収穫

9月下旬から開花が始まります。受粉後の果実は早く肥大し、開花後20日前後で収穫できます。未熟果を食用とするため、実が十分な大きさに膨らんだら取り頃です。種用にする場合は、開花後50日ほどの完熟果を、霜が降りる前に収穫します。新聞紙などにくるんで段ボール箱に入れ、冷暗所で翌春まで保存します。

注意したい病害虫と対策

ハヤトウリは比較的病害虫に強い作物ですが、アブラムシ類、うどんこ病などに注意が必要です。
アブラムシは、発生したら水で洗い流すか、せっけん水をスプレーして対処しましょう。
うどんこ病は、発生初期なら白い粉がついた葉は切り取って廃棄し、水で薄めた重曹(500~1000倍希釈)や酢(100倍希釈)をスプレーして増殖を防ぎます。
いずれも窒素過多で発生しやすいため、肥料の与えすぎに注意しましょう。風通しをよくすることも予防につながります。

意外と知らない、鹿児島の秋の味覚

収穫したハヤトウリ

熱帯〜亜熱帯の中央アメリカが原産のハヤトウリは、大正時代に鹿児島に伝わると、温暖な気候風土になじんで普及し、郷土の食文化を支える「かごしまの伝統野菜」となりました。現在は本州でも栽培され、秋になると産地のスーパーや直売所に並び、漬物をはじめ、さまざまな調理法で食べられています。

「千成」と呼ばれるほど豊産性の野菜で、栽培には広い場所と棚ややぐらが必要ですが、市販の流通量が少ないぶん、家庭菜園で育てる楽しみもあります。生ではパリッと、加熱でシャキシャキ、煮込むととろっとした食感に変わるのも面白い野菜です。旬の10〜11月に、食感の違いを味わってみてください。

取材協力:一般社団法人日本伝統野菜推進協会

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