ハスイモとは?

ハスイモは、サトイモ科サトイモ属の野菜です。サトイモの仲間ですが、地下の芋はほとんど肥大せず、主に葉柄(ようへい)と呼ばれる茎の部分を食用にします。切った断面にレンコンのようなたくさんの穴が空いているため、この名前が付けられたといわれています。
食用にする緑色の葉柄は「青ずいき」とも呼ばれます。サトイモ類の葉柄である「赤ずいき」に比べてアクが少なく、下処理しやすいのが特徴です。高知県や徳島県では、古くから「りゅうきゅう」の名で親しまれています。この呼び名は、諸説ありますが、琉球(沖縄県)から伝わったことにちなんだといわれています。
特徴
ハスイモの葉柄は長さ1m前後に育ち、切ると断面に細かい網目状の空洞が広がっています。緑白色の皮に包まれ、中身は白色。スポンジのような構造のため見た目より軽く、水分や調味料をよく吸い込むのが最大の特徴です。
食味
シャキシャキとした軽い歯ざわりで、クセやアクはほとんどありません。ハスイモ自身の味は淡泊ですが、スポンジ状の組織がだしや合わせ酢をたっぷり含むため、和え物や煮物にすると味がよくしみ込みます。加熱しても独特の歯切れのよい食感が失われにくいのも魅力です。
産地
主産地の高知県では、露地を中心にハウスも利用して周年栽培しています。このほか、徳島県や愛媛県などの四国各県、九州や沖縄県などでも栽培されています。高温多湿の気候を好むため、温暖な地域で夏野菜として根付いてきました。
高知県では、夏になると「りゅうきゅうの酢の物」が食卓の定番になります。塩もみしたりゅうきゅうを、ユズ酢に浸した太刀魚などの魚、ショウガやごまと和えた郷土料理です。

りゅうきゅうの酢の物(高知県)出典:農林水産省「うちの郷土料理」
旬の時期
露地栽培の旬は夏から秋にかけてで、7〜9月ごろに出荷の最盛期を迎えます。旬のハスイモは太く大きく育ち、味も良いとされています。
栄養
ハスイモの葉柄は水分が多く、低カロリーな野菜です。カリウムや食物繊維を含み、塩分の取りすぎが気になる人や、さっぱりと野菜を取りたい夏場にぴったりです。
カリウム
体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ働きがあります。汗とともに失われやすいミネラルのため、夏の水分補給とあわせて意識して取りたい栄養素です。
カルシウム
骨や歯の形成に欠かせない栄養素で、筋肉の収縮や神経の働きにも関わっています。ハスイモを乾燥させた「はすがら(干しずいき)」は成分が凝縮されるため、カルシウムが特に豊富。保存食としてだけでなく、カルシウムの補給源としても重宝される食材です。
食物繊維
腸内環境を整え、便通の改善に役立ちます。かさがあるわりに低カロリーなハスイモは、食物繊維を無理なく取れる食材といえます。
※栄養成分は日本食品標準成分表2020年版(八訂)「ずいき」の値を参考にしています
ハスイモの保存方法

ハスイモは乾燥に弱く、日持ちしない野菜です。買ってきたらできるだけ早く使い切るのが基本ですが、保存する場合は次の方法があります。
冷蔵保存
乾燥を防ぐため、湿らせた新聞紙やペーパータオルで包んでポリ袋に入れ、野菜室で保存します。長いまま入らない場合は、袋に入る大きさに切り分けて構いません。2〜3日で食べ切りましょう。切り口が変色したら、その部分を切り取って使います。
冷凍保存
皮をむいて食べやすい大きさに切り、軽くゆでて水を切り、小分けにして冷凍用保存袋へ。生の状態より歯ざわりがやや弱まるため、凍ったまま汁物や煮物に使います。
乾燥保存
皮をむいた葉柄を縦に裂き、天日でカラカラになるまで干すと、保存食「はすがら(いもがら)」になります。常温で長期保存でき、煮物や汁物の具として冬場も楽しめます。
ハスイモの下処理方法

ハスイモは、皮をむいてアク抜きをしてから使います。
皮をむくときは、端に包丁で切り込みを入れ、皮をつまんで引くようにすると、筋と一緒にすっとむけます。
アク抜きは、用途に合わせた大きさに切り、たっぷりの水に5〜10分さらします。
サラダや酢の物で生食する場合は、水気を切って塩をまぶし、2〜3分おいて軽くもみます。しんなりしたら水でさっと洗い、水気をしっかり絞ります。素手で触ると手がかゆくなることがあるため、ポリ袋に入れてもむと安心です。
炒め物や汁物など加熱料理に使う場合は、水気を切ってそのまま調理できます。えぐみや刺激が気になる場合は、酢水に1時間ほど浸すか、さっと下ゆでして水にさらすと食べやすくなります。
はすがらの戻し方
乾燥させたハスイモ(はすがら)は、もみ洗いしてからたっぷりの水に30分〜1時間浸して戻します。戻したら5分ほどゆでて流水に取り、水気を絞ってから煮物などに使います。
商品パッケージに戻し方が書かれている場合は、そのとおりに戻します。
ハスイモをおいしく食べるレシピ5選
シャキシャキの歯ざわりと、味を含みやすい性質がハスイモの持ち味です。さっぱりとしたサラダやすまし汁から、ご飯が進む炒め物、中華風の煮物、保存食のはすがらを使った含め煮まで、夏から冬まで楽しめるレシピを紹介します。
ハスイモとツナのごまマヨサラダ

シャキシャキとしたハスイモを、ツナ入りのごまマヨネーズで食べやすく仕上げました。大玉トマトを土台にすると、赤と白のコントラストが美しい夏らしいサラダになります。
材料(2人分)
- ハスイモ 100g
- 大玉トマト 1個
- ツナ缶 1/2缶(約35g)
- 塩 小さじ1/4
- 大葉 2枚
- 白すりごま 小さじ2
- マヨネーズ 大さじ1と1/2
- しょうゆ 小さじ1/2
- レモン汁 小さじ1
作り方
- ハスイモは皮をむき、3~4mm幅の斜め薄切りにし、水にさらしてアク抜きをしたのち、軽く塩もみをし、さっと洗って水気を絞る
- ツナは汁気を切り、大葉は千切りにする
- ボウルに白すりごま、マヨネーズ、しょうゆ、レモン汁を混ぜ、ハスイモとツナを加えて和える
- トマトを7~8mm厚さの輪切りにして器に並べ、3をふんわりと盛り、大葉をのせる
ハスイモと豆腐、ミョウガのすまし汁

淡泊なハスイモをだしの風味で味わう、夏向きのすまし汁です。やわらかな豆腐と香りのよいミョウガを合わせ、ハスイモのシャキシャキとした歯ざわりを引き立てます。
材料(2人分)
- ハスイモ 50g
- 絹ごし豆腐 50g
- ミョウガ 1個
- だし汁 240ml
- 薄口しょうゆ 小さじ1
- 酒 小さじ1
- 塩 少々
作り方
- ハスイモは皮をむき、斜め薄切りにし、水にさらしてアク抜きをして水気を絞る
- 豆腐は食べやすい大きさに切り、ミョウガは縦半分に切ってから、斜め薄切りにする
- 鍋にだし汁、薄口しょうゆ、酒、塩を入れて中火にかける
- 煮立ったらハスイモを加え、1~2分煮る
- 豆腐を加えて温め、火を止める
- 器に盛り、ミョウガを添える
ハスイモと豚肉のショウガ炒め

淡泊なハスイモに豚肉のうま味とショウガの香りを合わせた、ご飯が進む夏のおかずです。ハスイモを炒めすぎず、独特の歯ざわりを残すのがおいしさのポイントです。
材料(2人分)
- ハスイモ 100g
- 豚こま切れ肉 150g
- ピーマン 1個
- ショウガ 1片
- 塩 少々
- こしょう 少々
- 片栗粉 小さじ1
- サラダ油 小さじ2
- しょうゆ 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
作り方
- ハスイモは皮をむき、5mm幅の斜め切りにし、水にさらしてアク抜きをして水気を絞る
- ピーマンは種を取って細切りに、ショウガは千切りにする
- 豚肉に塩、こしょうを振り、片栗粉を薄くまぶす
- しょうゆ、みりん、酒、砂糖を混ぜ合わせる
- フライパンにサラダ油とショウガを入れて中火にかけ、香りが立ったら豚肉を炒める
- 豚肉の色が変わったらハスイモとピーマンを加え、ハスイモの歯ざわりが残る程度にさっと炒める
- 4を加え、汁気を飛ばしながら全体に絡める
ハスイモとえびの中華風とろみ煮

煮汁をよく含むハスイモの特徴を生かし、うま味のあるえびやしいたけを合わせました。あんの透明感と食材の色合いが涼しげで、普段の食卓にもおもてなしにも向く一品です。
材料(2人分)
- ハスイモ 100g
- むきえび 120g
- 生しいたけ 2枚
- 枝豆(ゆでてさやから出したもの) 30g
- ショウガ 1/2片
- 塩 少々
- 酒 小さじ1
- 片栗粉 小さじ1
- ごま油 小さじ1
- 水 200ml
- 鶏がらスープのもと 小さじ1
- 酒 大さじ1
- 薄口しょうゆ 小さじ1
- オイスターソース 小さじ1
- こしょう 少々
- 片栗粉 小さじ1
- 水 小さじ2
【あん材料】
【とろみ材料】
作り方
- ハスイモは皮をむき、1cm幅の斜め切りにし、水にさらしてアク抜きをして水気を絞る
- しいたけは薄切りにし、ショウガは千切りにする
- えびは背わたを取り、塩、酒、片栗粉をもみ込む
- フライパンにごま油とショウガを入れて中火にかけ、香りが立ったらえびを炒め、色が変わったら一度取り出す
- 同じフライパンにハスイモとしいたけを入れてさっと炒め、水、鶏がらスープのもと、酒、薄口しょうゆ、オイスターソースを加える
- 煮立ったら弱めの中火にし、3~4分煮る。えびと枝豆を加え、こしょうで味を調える
- 片栗粉と水を混ぜた水溶き片栗粉を回し入れ、混ぜながらとろみを付ける
はすがらと油揚げ、干ししいたけの含め煮

夏に収穫したハスイモを乾燥させた「はすがら」を、冬の保存食として味わう煮物です。油揚げと干ししいたけのうま味をたっぷり含ませ、素朴で滋味深い味に仕上げます。夏は冷たいおばんざいとしても楽しめます。
材料(2人分)
- はすがら(乾燥ハスイモ) 15g
- 油揚げ 1枚
- 干ししいたけ 2枚
- ニンジン 40g
- 干ししいたけの戻し汁と水 合わせて250ml
- しょうゆ 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 砂糖 小さじ2
作り方
- はすがらは水で戻しておく
- 干ししいたけは水で戻し、水気を絞って薄切りにし、戻し汁は取っておく
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、はすがらを5分ほどゆでる
- ゆでたはすがらを水にさらし、水気を軽く絞って4~5cmの長さに切る
- 油揚げは熱湯をかけて油抜きし、短冊切りにする。ニンジンも短冊切りにする
- 鍋にはすがら、油揚げ、干ししいたけ、ニンジン、干ししいたけの戻し汁と水を入れ、中火にかける
- 煮立ったらしょうゆ、みりん、酒、砂糖を加え、落としぶたをして弱めの中火で10~15分煮る
- 煮汁が少なくなったら火を止め、そのまま冷まして味を含ませる
ハスイモの栽培方法

ハスイモは苗または種芋から育てます。高温多湿を好み、病害虫が比較的少なく育てやすい野菜です。株が大きく育つため畑での栽培が基本ですが、大型のプランターでも育てられます。寒さに弱いため、植え付けは十分に暖かくなってからにします。
準備・土づくり
植え付けの2週間前までに畑を耕し、堆肥(たいひ)と石灰資材を混ぜて畝を作ります。水分を好むため、保水性のよい土づくりを心がけましょう。プランター栽培は市販の野菜培養土を使うと手軽です。
植え付け
4月下旬〜5月ごろ、親株から分けた子株や市販の苗を株間50cmで植え付けます。種芋から育てる場合は、植え付け前に芽出しをします。暖かい部屋などで、湿らせた砂や土、もみがらなどに種芋を並べて軽く覆土し、芽が出るのを待ちます。芽が出たら、芽を上にして深さ5cmほどの浅植えにします。
管理・水やり
乾燥に弱いため、土の表面が乾いたらたっぷり水をやります。株元に敷きわらをすると乾燥防止に効果的です。生育を見ながら、月1回程度を目安に追肥します。
収穫
7〜10月ごろ、葉柄が十分に伸びたら、外側から株元に包丁やナイフを入れてかき取るように収穫します。外側から順に収穫すれば、中心から新たに葉柄が伸び、秋まで長く楽しめます。
注意したい病害虫と対策
ハスイモは病害虫の被害が比較的少ない野菜ですが、夏場はセスジスズメの幼虫やハスモンヨトウが葉を食害することがあります。幼虫は見つけ次第取り除きましょう。風通しをよくし、株が過密にならないよう管理することが予防につながります。
土佐の夏の味を、家庭でも
高知県でハスイモは、直売所やスーパーに当たり前に並び、学校給食にも登場する日常の野菜です。JA高知県は公式サイトで酢の物やりゅうきゅう寿司などのレシピを発信し、露地とハウスを組み合わせた周年出荷に取り組んでいます。近年は主要都市の市場にも出荷され、高知県外でも手に取る機会が増えています。

高知の郷土料理「田舎寿司」
ハスイモやミョウガなど山の幸を使った「田舎寿司」は、高知の郷土寿司。シャキシャキの歯ざわりは、酢飯とも好相性です。病害虫に強く育てやすいので、家庭菜園に取り入れるのもおすすめです。大きな葉を広げてすらりと伸びる姿は、見た目にも涼やか。店頭でハスイモに出合ったら、まずはサラダや汁物で、土佐の夏の味を試してみてはいかがでしょう。
取材協力:日本伝統野菜推進協会


















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