秋田米の“新しい顔”として生まれた『サキホコレ』

『サキホコレ』は、平成26年度に始まった「秋田米新品種開発事業」から生まれた品種です。米の消費量が減少する一方、全国では次々とブランド米が誕生。米も「量」だけではなく、味や食感で選ばれる時代になりました。
そこで秋田県が目指したのが、食味を徹底的に追求した新しいトップブランドです。
特徴は、見た目の美しさと食べたときの満足感。炊き上がりは白くツヤがあり、口に入れると粒立ちが感じられます。やわらかさの中に適度な弾力があり、かむほどに上品な甘みが広がる。単に「甘い」「やわらかい」だけではなく、香り、食感、余韻のバランスに優れた米です。
柴田さんも、食味官能試験などでサキホコレが高く評価される場面を何度も見てきました。

ただし、秋田にはすでに『あきたこまち』という圧倒的な存在があります。柴田さんも、無理にあきたこまちを否定するつもりはありません。

「品種の力」と「現場の技術」が重なって生まれる『サキホコレ』。大規模でも品質に妥協しない生産者の顔とは?
サキホコレのおいしさを支えているのは、品種そのものの力だけではありません。生産現場では、その力を最大限に引き出すための細かな栽培管理が重ねられています。
【極意1】田んぼごとの状態の見極め

特に重要なのが、田んぼごとの状態を見極めた水管理です。田んぼは一枚一枚、土の性質も水の動きも違います。水がたまりやすい田んぼもあれば、乾きやすい田んぼもある。だからこそ毎朝田んぼを見回り、「水を入れるのか、止めるのか、いったん抜いて空気を入れるのか」を判断していきます。
【極意2】稲の見極め

また、サキホコレでは粒のそろった良質な米をつくるため、稲の茎を増やしすぎない管理も大切です。目標とする茎数まで育った段階で水を切り、余分な分げつを抑えることで、未熟な米を減らし、粒立ちのよい米に仕上げていきます。収量だけを追うのではなく、一粒一粒にしっかり栄養を行き渡らせる考え方です。

【極意3】刈り取り時期の徹底

さらに、刈り取りのタイミングも品質を左右します。サキホコレは、適期を逃さず刈り取ることが重要とされており、刈り遅れると食味や品質の低下につながる可能性があります。
柴田さんは大きな面積を管理しながらも、できるだけ適期内に刈り取りを終えられるよう作業を組み立てています。
刈り遅れると、食味や品質は落ちやすくなります。県の指導では、適期からおおむね10日以内に刈り取りを終えることが重要とされています。
サキホコレは、高品質な米として届けるために、玄米タンパク質含有率や水分、等級などの出荷基準も設けられています。基準を満たさなければ「サキホコレ」として流通できない。だからこそ生産者は、田植えから収穫まで気を抜かず、日々の観察と判断を積み重ねています。

「品種の力」はもちろん、「現場の技術」があってこそ生まれるもの。白くツヤのある炊き上がり、粒感のある食感、かむほどに広がる甘みの裏側には、一枚一枚の田んぼと向き合う生産者の仕事があってこそです。
『サキホコレ』を安定して届けるには、田んぼごとの状態を見て、細かな判断を積み重ねる必要がありますが自然相手の米づくりに、完全な正解はありません。
だからこそ、柴田さんにとってJAの存在は大きいといいます。
JAは“右腕”。生産者を支える伴走者
取材中に印象的だったのは、柴田さんと髙橋さんの距離感です。困ったときに相談する相手であり、時には背中を押してくれる存在でもある。単なる取引先というより、まさに伴走者です。

先ほどの柴田さんが言っていた「同じように見える田んぼでも、土も水の動きも違う。そこを見極めないといけない」と同様です。
髙橋さんは生産者の経験を尊重しながら、県や試験場、全農などから得た情報を現場に合わせて伝える。生産者が「こうしたい」と考えている場合は後押しし、迷っている場合は一緒に判断する。
柴田さんも、「相談できるのはありがたい」と話します。

サキホコレでは、JA秋田ふるさととして栽培基準をできるだけ統一し、どの生産者が作っても品質がそろう米づくりを目指しています。肥料や農薬、栽培体系をそろえることで、ブランドとしての信頼を守るためです。

消費者にとっては、どの袋を選んでも安心しておいしく食べられること。その当たり前を支えるために、生産者とJAは日々、田んぼの中で品質を磨いています。
「まず食べてもらうしかない」体験して分かる価値
サキホコレの魅力をどう伝えるか。柴田さんたちが悩み続けているテーマです。
高価格帯の米である以上、「なぜ選ぶ価値があるのか」を伝えなければなりません。
最後に行き着く答えはとてもシンプルでした。

実際、試食の場では印象的な出来事があったといいます。

毎日の食卓で、子どもがごはんをおかわりする。特別な料理ではなく、白いごはんそのものを「おいしい」と感じる。サキホコレが届けたい価値は日常で美味しく味わえる。その体験にあるかもしれません。
「日本一」を目指すロマンを、食卓へ

サキホコレをこれからどんな米にしていきたいか。柴田さんに聞くと、返ってきた答えは迷いのないものでした。

その言葉には、単なる売上や知名度だけではない思いがあります。柴田さんは、サキホコレを次の世代へ渡していきたいと考えています。

秋田の風土、生産者の技術、JAの支え。そして「おいしい米を届けたい」という思い。サキホコレには、たくさんの人のロマンが詰まっています。
制作後記

取材中実際に『サキホコレ』を食べさせていただき、一言目に出た言葉が「おいしい」だった。
近年、ただでさえ色々な話題を食卓・世の中に提供する米。どこか世の中にネガティブな空気が漂う中、ハイブランド米を新しい売りにするJA全農あきた。その思いは「美味しいお米を食べてほしい」その一心ということは記事を見て頂ければわかると思う。いい意味で狂っている。
そんなJA全農あきたと秋田の生産者が熱狂する『サキホコレ』は一度食べてみるべし。とにかく食べてみて!!の意味が分かることでしょう。
お問い合わせ
全国農業協同組合連合会 秋田県本部
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秋田県秋田市寺内字神屋敷295-53
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