秋のイチゴはどんなことが起きる?

10月のイチゴの様子
夏から秋になると、気温が低くなり日が短くなります。すると、イチゴは葉が小さくなり、草丈が低くなります。人の目では見えませんが、イチゴの体内では花芽分化(※)が起こり、花の赤ちゃんが作られています。この花の赤ちゃんが翌年の春に外に出てきて花を咲かせ実をつけるため、秋は翌年の春の収穫を決める、とても大切な季節です。
※花芽分化とは植物の成長点が、茎や葉を作る「栄養成長」から花や実を作る「生殖成長」へと切り替わり、将来花になる芽(花芽)を形成する過程のこと。
前年の秋や春からイチゴを育て始めた方は、夏に大きくなったイチゴの株が秋に小さくなり心配になる方も多いと思います。秋に葉が小さくなり草丈が低くなるのは自然なことなので心配しなくて大丈夫です。

植えたばかりのイチゴの株
この秋にイチゴの苗を植えて育て始めたばかりの方は、イチゴの葉が大きく成長しなくて不安かもしれません。秋は気温が低いので葉の成長が夏よりも緩やかです。土の中では根が伸びているので問題ありません。
イチゴの水やり
秋は夏と比べると気温が低いため、必要な水の量が少なくなります。しかし、秋もイチゴは成長するので、夏よりもやや少ない程度の頻度で水やりを継続しましょう。夏と同じ頻度や量で水やりを続けると、根腐れが起きるので注意してください。
イチゴの肥料
秋にイチゴの体内で花芽分化が起こり、それが翌年の春に収穫できる実になります。この秋に肥料が不足すると翌年の春の実が小さくなったり、数が少なくなったりします。そのため、秋に追肥を行って肥料不足を防ぎましょう。追肥の量の目安は、発酵油かすや緩効性化成肥料ならイチゴ1株に対して一握りくらいの量です。
イチゴの株の管理

4個ほどの芽がついたイチゴ
古い葉、余分なわき芽、ランナーは取り除いてください。古い葉を残しておくと風通しが悪くなり病気が増えたり、害虫の隠れ場所になったりするからです。わき芽は多い方が翌年の春の収穫量が増えますが、代わりに実が小さくなります。翌年の春に大きな実を収穫したい場合は、芽の数は1株に3個程度にしてください。ランナーは春から夏に発生することが多いですが、秋にも発生することがあります。残しておくとランナーに栄養を取られてしまうので、もし発生したら切り取りましょう。
イチゴの人工授粉

梵天でイチゴの人工授粉をしている様子
秋はイチゴの花が咲くことがあります。一季成り性品種であれば、早生品種で肥料不足が発生したときや、一年以上育て続けている株で起きやすいです。四季成り性品種であれば、どの条件でも秋は花が咲きやすいです。
秋に実を収穫したい場合には、人工授粉をしてください。人工授粉は、梵天や柔らかい筆で雄しべの花粉を雌しべに満遍なく擦り付けて行います。

秋に出てきたイチゴの花
ただし、温度が0℃以下になると花や実が傷みます。秋に花が咲いた場合、実が熟して収穫できるようになるまで、30~40日ほどかかります。そのため、花が咲いた日から30~40日後に最低気温が0℃以下になりそうな場合は、花を摘み取り収穫を諦めるか、最低温度が0℃以下にならないような環境を用意する必要があります。家庭菜園だとその環境を準備するのが難しいので、基本的には花を摘み取るのがおすすめです。
イチゴの病害虫対策

イチゴの葉柄についたうどんこ病
秋に発生が多い病気は、炭疽病やうどんこ病、灰色かび病です。炭疽病は葉に黒い斑点が現れ、うどんこ病は葉や実に白い粉がつきます。灰色かび病は花や実に黒色のかびが生えます。炭疽病予防としては、株や苗を30センチ以上離して置いて周りへの伝染を予防し、症状が現れた株や苗は周辺の土ごと廃棄します。うどんこ病や灰色かび病の予防には、酢などが主成分のスプレーボトルの殺菌剤を週に一回ほど散布してください。

株元が腐り始めたイチゴ
また、土の上にウッドチップやわらを敷くと株元の湿度が高くなり、葉が腐ることがあります。株元の近くはウッドチップやわらを置かずに通気性を良くしましょう。

酢が主成分のスプレー
秋に発生が多い害虫は、アブラムシやハダニ、コガネムシの幼虫、ガの幼虫、ナメクジです。アブラムシは新葉や葉の裏面、花のがくにつきます。ハダニは葉の裏面につき、大量発生するとクモのような糸で葉を覆います。コガネムシの幼虫は土の中にいて根を食べるので、突然イチゴの株が枯れてから気づくことが多いです。ガの幼虫やナメクジはイチゴの葉や花を食べます。

虫に食べられたイチゴの葉
アブラムシやハダニの予防には、でんぷんなどが主成分のスプレーボトルの殺虫剤を週に1回ほど散布します。コガネムシの幼虫予防としては、春からイチゴの株元に防虫ネットを敷いてコガネムシの成虫が土の中に潜れないようにしてください。ガの幼虫は株元の土を掘ったり、夜間にライトをつけたりして探してください。ナメクジは湿気が多い場所を探したり、ビールトラップを作りましょう。
イチゴの寒さ対策
夏から秋になると気温が下がり、最低気温が5~10℃程度になります。イチゴは寒さに強い植物なので温度がマイナス10℃になっても枯れません。そのため秋の間は保温は必要ありません。
逆に秋の間に保温して寒さに慣れさせないと、その後の冬の急激な低温によって葉が傷んでしまうことがあります。イチゴは寒さに強い植物ですが、急激な低温には弱いため、徐々に寒さに慣れさせる必要があります。

低温障害で黒く変色した花
もしイチゴ農園のように冬から実を収穫したい場合は、秋から保温が必要です。イチゴの花や実は0℃以下になると低温障害で傷み、実が収穫できなくなるためです。秋から冬にかけて日当たりが良い場所で温度を5~25℃で管理すると、イチゴが連続的に花を咲かせて収穫を長く楽しめます。そのためには、ビニールハウスやサンルーム、加温装置が必要になるので、これは家庭菜園上級者向けの方法です。プロのイチゴ農家のように栽培してみたい人は、ぜひ試してみてください。
まとめ
秋はイチゴの葉が小さくなり、お世話が少ない時期です。ですが、冬越しが成功するかどうかや、翌年の春の収穫に影響する重要な季節でもあります。春においしいイチゴをたくさん収穫するために、秋にも適切なお世話をしましょう。



















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