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【雇用について考える】第3回:労災保険の特別加入制度

【雇用について考える】第3回:労災保険の特別加入制度

連載1回目に、採用における一連の手続きを確認しましたが、その中で触れた労災保険について改めて確認します。労災保険は、個人の農業経営で、従業員が常時5人未満の場合は[暫定任意適用事業]として扱われ、任意加入が原則となっています。 

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連載1回目に、採用における一連の手続きを確認しましたが、その中で触れた労災保険について改めて確認します。労災保険は、個人の農業経営で、従業員が常時5人未満の場合は[暫定任意適用事業]として扱われ、任意加入が原則となっています。 労災保険は、労働者の業務上の災害または、通勤途上における災害に対する補償を目的とする制度なので、個人事業主や法人の代表者・役員などは、原則的には保護の対象とはなりません。

しかし、この対象外とされる方でも従業員と一緒になって働いていると、同様に被災する可能性があります。そこで、これらの方も補償を受けることができるよう、加入が認められているのが、労災保険の「特別加入制度」です。事業主自身が「特別加入」した場合は、従業員全員の加入が義務づけられます。労災保険は、日ごろの仕事の中で、万が一の事態が発生したときに効力を発揮する保険なので、未加入の事業主の方は一度、加入をご検討ください。

特別加入が可能な特定作業従事者・指定農業機械作業従事者の要件とは

①特定作業従事者

年間農業生産物の総販売額300万円以上または、経営耕地面積2ヘクタール以上の規模で、土地の耕作もしくは開墾、植物の栽培もしくは採取、または家畜もしくは蚕の飼育作業を行う自営農業者(労働者以外の家族従事者を含む)であって、次の(ア)から(オ)までの作業に従事する方が「特定作業従事者」に該当します。

(ア)動力により駆動される機械を使用する作業

(イ)高さが2メートル以上の箇所における作業

(ウ)サイロ、もろなどの酸素欠乏危険場所における作業

(エ)農薬の散布の作業

(オ)牛、馬、豚に接触し、または接触する恐れのある作業

②指定農業機械作業従事者

自営農業者(労働者以外の家族従事者などを含む)であって、次の機械を使用し、土地の耕作または開墾、または植物の栽培もしくは採取の作業を行う方が「指定農業機械作業従事者」に当たります。

(ア)動力耕運機

(イ)動力溝堀機

(ウ)自走式田植機

(エ)自走式スピードスプレーヤー、その他の自走式防除用機械

(オ)自走式動力刈取機、コンバインその他の自走式収穫用機械

(カ)トラックその他の自走式運搬用機械

(キ)定置式または携帯式の動力揚水機、動力草刈機などの機械

加入手続き

前述した要件に該当した人が加入するには、農業者の場合、所属するJA(農業協同組合)が加入団体窓口となっているケースが一般的です。

保険給付の種類

労災が認定された場合に、労災保険から以下の給付があります。

・療養(補償)給付

傷病に対する診察・入院、療養に伴う看護、薬剤・治療材料に関する現物給付。

・休業(補償)給付

療養中で働けない期間(休業4日目から)について給付基礎日額60%を給付。

・傷病(補償)年金

傷病にかかる療養の開始後1年6ヶ月を経過しても、その傷病が治らず、障害の程度が一定の傷病等級に該当する場合に、年金として給付。

・障がい(補償)給付

傷病が治癒した後の障がい等級の区分により、年金か一時金を給付。

・遺族(補償)給付

労働者が死亡した場合に、一定の遺族に給付。

事業規模拡大とあわせて、家族以外の従業員を雇用する事業者も増えてきました。労災の加入が義務付けられていない規模だとしても、従業員への補償は考えておくべきです。これは、自分や大切なご家族への補償においても同様です。各種保険を含め、福利厚生面の充実は、今後の農業経営で大切なポイントとなります。

出典:株式会社オーレンス総合経営「がんばれ!経営者」

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