神話の国の伝統野菜を守る。脱サラして出西生姜の栽培を継承する農家【ファームジャーニー:島根県出雲市斐川町】 – マイナビ農業

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神話の国の伝統野菜を守る。脱サラして出西生姜の栽培を継承する農家【ファームジャーニー:島根県出雲市斐川町】

神話の国の伝統野菜を守る。脱サラして出西生姜の栽培を継承する農家【ファームジャーニー:島根県出雲市斐川町】

2017年08月17日

出雲大社へ奉納し神事に使われる「出西生姜」は、島根県出雲市の出西地区と呼ばれるエリアでのみ栽培されています。しかし高齢化のため、この生姜を栽培する農家はわずか5軒しかないとか。そんな継承が危惧されている中、白羽の矢が立ったのが、県外からやってきた小原さん夫婦です。

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神話の国の伝統野菜を守る。脱サラして出西生姜の栽培を継承

出西生姜(しゅっさいしょうが)とは、島根県出雲市斐川町(ひかわちょう)の出西地区でのみ栽培されている特産品で、幻の生姜と称されています。在来種の出西生姜を栽培・出荷している農家に弟子入りし、栽培方法を一通り習得した後、2017年から本格栽培を始めたのが小原裕輔(こはらゆうすけ)さん、祐子(ゆうこ)さんご夫妻です。脱サラして新規就農に至るまでの経緯や、出西生姜栽培にかける思いをうかがいました。

「出西生姜」は幻の伝統野菜

神話の国の伝統野菜を守る。脱サラして出西生姜の栽培を継承

出西地区は、斐伊川(ひいかわ)川下流域の出雲平野に位置します。出雲風土記に「出雲大河、百姓(たみ)のうるほいの薗なり」と記されているほど、このエリアは、昔から鉄分やミネラル、滋養に富んだ豊かな農地でした。斐伊川は、「古事記」の中に出てくる出雲神話のヤマタノオロチやスサノオ尊にも由来がある神聖な川とされています。

この清い水が流れる出西は、「斐伊川おろし」と呼ばれる風が吹く、寒暖差が大きい独特の気候が特長です。そんな環境の中、斐伊川の下流域約2キロでしか育たないと言われるのが「出西生姜」です。幻の生姜とも称される出西生姜は、繊維が少なく柔らかみがあり、風味と香りが抜群で、ピリッとした辛みが特長です。

1960年代までは盛んに生産されましたが、他産地の安価な品に押されて生産量は激減。現在では、商業ベースで栽培する農家はわずか5軒。いずれも高齢化が進み、出西生姜の継承が危ぶまれる状況となりました。

命の尊さを伝える「農家」に

神話の国の伝統野菜を守る。脱サラして出西生姜の栽培を継承

そんな中、大阪市から斐川町にIターンして新規就農し、2017年から本格栽培に取り組み始めたのが小原さんです。

現在40歳になる小原さんは、大学卒業後、広告代理店に就職。5年ほど勤務した後、「人生で大切なものは何か」を考え、ある医師の生き方に感銘を受けて沖縄へ移住。八重岳の山頂にあるパン屋「八重岳ベーカリー」で、パンづくりや農業の手伝いを始めます。

その後、パン職人としての技能を高めるために、東京の天然酵母パンの老舗「ルヴァン」で4年間修行。結婚後、奥さんを連れて再び沖縄に戻り、「八重岳ベーカリー」の経営に夫婦で携わります。ところが、その5年後、父がすい臓がんで急死し、命の尊さと儚さに気付かされた小原さんは、「健康、食、健全な命とは」と、自問自答したそうです。そして考えた結果、小原さんが行き着いた答えは、農家になることでした。

「真に人々を健康と幸せに導くためには、間接的な加工業では限界があると思ったんです。日本の食の現状と10年後の近未来、地球環境を想像したときに、自分も命を増やす一員にならねば、と思ったんです。そして『農家になる』と決意しました」

新天地を求めて日本全国を旅してまわる中、出西にある工房「出西窯」を訪ねたとき、たまたま「出西生姜」の存在と後継者不足の危機にある現状を知ったそうです。「なぜかそのとき、約400年以上も歴史ある伝統の種を守り継いでいくことに使命感を感じました」

そして2016年に出雲市へ移住し、斐川町でたった一人、出西生姜の在来種を育てている農家のもと、2年間の栽培の指導を受けました。そして2017年から、出西地区にある30アールの畑を住民から借り受けて本格栽培を始めたのです。

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