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季節の暦 二十四節気「秋分」〜心地よい秋の日和〜

季節の暦 二十四節気「秋分」〜心地よい秋の日和〜

秋分は二十四節気の16番目にあたる節気で、初候「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」、次候「蟄虫坯戸(むしかくれてとをふさぐ)」、末候「水始涸(みずはじめてかれる)」からなっています。
「春分」と同じく、昼と夜の長さがほぼ同じになります。この日からだんだん日が短くなり、春分に比べて気温が高いので何をするにもよい気候だといわれています。そのため、この気候になるとスポーツの秋、芸術の秋、読書の秋、などと呼ばれてきました。秋分は国民の祝日としても定められており、「祖先を敬い、亡くなった人を偲ぶ日」とされています。

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秋分とお彼岸

秋分の前後3日間をはさんで、7日間を「秋の彼岸」といいます。

彼岸はサンスクリット語の略が語源とされますが、墓参りをする風習は日本独自のものです。

お彼岸は「日願」ともされ、秋の豊作を祝い、感謝を捧げる行事とも結びついています。

お彼岸に供えられる「おはぎ」と「ぼた餅」

お彼岸には「おはぎ」をお供えしますが、春には「ぼた餅」と呼ばれています。

この2つは基本的には同じものです。

昔は、秋に収穫したての小豆をつぶして粒あんにしたものが「おはぎ」、冬を越して硬くなって小豆をこしあんにしたものが「ぼた餅」という違いがあったようです。

それを春には牡丹、秋には萩に見立てて牡丹餅(ぼたもち)、御萩(おはぎ)と呼びました。

秋分の頃の行事

秋分の日に最も近い戌(つちのえ)の日を「秋の社日(しゃにち)」といいます。

「社」は土地の守護神を意味し、この時はその土地の産土神(うぶすながみ)を祀る社へ豊作を祈り、感謝をするお参りに行きます。

また、京都の北野天満宮では「ずいき祭り」が行われます。

このお祭りは、西暦946年頃から始まったと伝えられています。

ずいきとはサトイモの茎のことで、このお祭りでは野菜や乾物などで飾りつけした神輿を奉り、秋の収穫に感謝を捧げます。

長野県では、毎年10月の第一日曜日に五宮(いつみや)神社で花馬祭りが開催されます。

このお祭りは豊作や安産、家内安全などの所願成就を感謝して行われるものです。

鞍に花飾りをつけた3頭の木曽馬が神社まで練り歩き、神社の境内ではこの花を取り合います。

この花飾りは竹ひごにたくさんの色紙をつけたもので、その姿は圧巻です。

取った花は虫除けとして田んぼのあぜ道に、厄除けとして家の入り口に挿したりします。

長野県で開催された冬季オリンピックではこの花馬が祭典のフィナーレを飾る、閉会式の芸術プログラムに出場するほど有名です。

1993年には長野県の無形民俗文化財にも指定されています。

秋分の頃に見られる花

この頃には彼岸花が見かけられるようになります。

曼珠沙華とも呼ばれ、この名はサンスクリット語で「天上に咲く赤い花」を意味します

おめでたいことがおこる兆しとして、天から赤い花が降ってくるという仏教の経典に由来します。

この植物は葉を伴わず、先に花が咲くので、少し不思議な植物ですね。

また、この花や球根には毒があり、手に付くとかぶれるので、素手では切らないようにします。

この毒を利用して、田んぼの水漏れ原因になる穴を開けるモグラやネズミを寄せ付けないために、あぜ道には多くの彼岸花が植えられています。

球根にある毒は水にさらして洗い流すとデンプンが取れるため、不作の時の備えとしても重宝されていました。

この頃には、よい香りを漂わせる金木犀も咲き始めます。

この金木犀は中国で「桂花」と呼ばれ、この花を白ワインに漬けたものを「桂花陳酒」と呼んでいます。

生花が手に入る場合は、自分でシロップ漬けにすることもできます。

シロップ漬けにするとホットケーキなどに蜂蜜の代わりに使ったり、アイスクリームやデザートにかけるだけでもワンランク上の味が楽しめます。

秋分の頃の旬の野菜

「万葉集」にもその名が記されているとされるほど、古くから愛されてきたマツタケ。

その特有の香りの良さから、現代でも愛されています。

マツタケはキシメジ科で、生育にアカマツの生体を必要とします。

そのため人工栽培技術が確立できておらず、国産品はとても貴重で高価です。

一方、輸入品は単価が安く、年々増加して流通の主流になっています。

輸入品は中国産が7割ほどで7月から出回り始め、国産品の出回り時期は10月頃からが本格的になります。

マツタケ特有の香りはマツタケオールや桂皮酸メチルによるもので、食欲増進の高価があるといわれています。

通常はその香りを堪能できるように、炊き込みご飯や吸い物、網焼き、土瓶蒸しなどの料理に利用されています。

特に傘の部分に多く含まれており、関東では傘がつぼんだもの、関西では香り重視のため傘が少し開いたものが人気です。

購入する時は軸が短めで丸く、硬くしまっている物を選びます。

茶色と白のコントラストが弱く、表面が乾燥しているものは避けましょう。

秋分の頃に採れる木の実

この頃にはぎんなんが多く市場に流通します。

ぎんなんはキレイな翡翠色をしており、ほのかな苦みともっちりとした食感が特長です。

購入時は殻の表面がよく乾き、色が白くなめらかなものを選びます。

振ってみることができれば、音がしないことも確認しましょう。

殻が黒ずんでいるものは古くなってきているので、避けるようにします。

茶碗蒸しの中に入ってるものをよく見かけますが、茶封筒の中にぎんなんを入れ、1分ほど電子レンジで加熱するとおいしくいただけます。

ぎんなんはよくイチョウの下に落ちていますが、果肉にはアレルギー物質が含まれています。

人によってはかぶれることもありますので十分注意し、拾うときはゴム手袋などを使って集めましょう。

ぎんなんは実の核なので、実の中から取り出さなければいけません。

取り出す際、果肉は悪臭が強いため、水にぎんなんの実を沈めて水中で果肉を取ったり、土をかけて埋め、果肉を腐らせてから水洗いする等して取り出すと比較的簡単に核を取り出すことができます。

たくさん食べ過ぎるとお腹を壊したり、鼻血を出したりすることがあります。

おいしいものですが、食べ過ぎには注意しましょう。

秋分の頃の旬の魚介

この頃にはサンマが旬を迎えます。

サンマは塩焼きが一般的ですが、北海道から三陸沖あたりで漁獲されるものは生食用として人気があります。

サイズが大きく、脂の乗ったサンマの刺身は絶品です。

良質なタンパク質やDHAが豊富で、栄養面でも申し分のない魚です。

購入する際は、皮が針、背が青黒く光っているもの、黒目のまわりが透明なものを選びます。

口先が黄色いものは脂が乗っている印だといわれていますので、購入する際にチェックしてみましょう。

 

秋分を迎えると日中の暑さも和らいできます。

さわやかな秋を楽しみましょう。

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