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売切れ続出の梨 「あいみ燦ゴールド」に学ぶ 商標の活用法と登録方法

売切れ続出の梨 「あいみ燦ゴールド」に学ぶ 商標の活用法と登録方法

2017年10月10日

農業分野における商標登録の必要性に注目が集まっています。商標登録の活用の仕方や、手続きのやり方など、わからないことだらけという方も少なくないと思います。そこで、商標の活用法と登録方法について、吉永国際特許事務所の弁理士、吉永貴大(よしながたかひろ)さんにお話をうかがいました。鳥取西部農業協同組合あいみ果実部のオリジナルブランドの梨「あいみ燦(さん)ゴールド」を例にあげながらご紹介します。

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見た目は不格好でも 高糖度のおいしい梨ができる

「あいみ燦ゴールド」は、「ゴールド二十世紀」という品種の栽培法を工夫し、より高い糖度を実現した梨の商標です。

鳥取西部農業協同組合あいみ果実部では、県内で主に栽培されている品種「二十世紀」の栽培の負担を減らすために「ゴールド二十世紀」を導入し、2品種を同時に栽培することにしました。「ゴールド二十世紀」の方が、梨の宿敵である黒斑病に強く、栽培に手間がかからないのです。

それでも、高齢化や担い手不足に悩む農家の負担は大きいものでした。主要品種の「二十世紀」は、病害虫の予防と外観品質の向上のため、通常、梨の大きさに合わせて5月と6月に袋がけを行います。しかし、「二十世紀」の袋がけ作業に追われ「ゴールド二十世紀」への2回目の袋がけが間に合わない事態に陥ってしまいました。そこで、あいみ果実部では思い切って、「ゴールド二十世紀」に2回目の袋がけを行わないことにしました。

すると糖度が高く、より食感の良い梨になったのです。通常の「二十世紀」と比べると、約0.3~1.0%糖度がアップしています。これが、のちの「あいみ燦ゴールド」となります。

梨は日に当たると糖度が上昇するため、袋がけをしないことで、食味が著しく向上することは、梨農家なら誰でもが知るところでした。

しかし問題は見た目です。袋がけをしていない分、表面の保護が遅れ、キズや汚れのある果実が多くなってしまうという事態を招いてしまいました。キズや汚れがあると、市場価値はどうしても下がってしまいます。

見た目の悪さを逆手に取ったブランド戦略。商標登録で権利を守ることも検討

当初、あいみ果実部は2度目の袋がけを行わなかった梨を「二十世紀」と、他の梨を一緒に出荷していました。しかし、外観品質に劣るため、市場の評価は低いものとなりました。

そこで、あいみ果実部は発想を転換。“見かけより味重視”というコンセプトで、オリジナルブランドとして売り出し、消費者に果実の特長と栽培過程を知ってもらおうと考えました。そこで、必要になったのが商標です。

商標は、日差しを燦々と浴びることで食味が増す梨の特長に、地名と品種名を組み合わせて「あいみ燦ゴールド」としました。当初は「燦ゴールド」が候補でしたが、類似の商品名があることがわかり、頭に地域名を付けたのです。その後、会見町(あいみちょう)は、平成16年の市町村合併により南部町に変更されました。「あいみ」の名称は奇しくも商標の一部となって、後世に残ることになりました。

さらに「類似の名前が出た場合のトラブルを防ぐためにも、ブランドとしての地位を確保するためにも商標登録を行った方が良い」という意見が出て、あいみ果実部員内で商標登録を行うことになりました。

平成11年7月8日に商標を出願し、翌年平成12年7月14日に登録されました。

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