野菜だった!? イチゴの歴史と品種
世代問わずみんなに愛されているイチゴ。かつて日本では野イチゴが食用とされてきました。現在のオランダイチゴが日本に渡来したのは、明治時代頃だと考えられています。
イチゴの可食部は果実ではなく、花托(かたく 茎が厚くなり花が育つ部分)の発達したものです。農林水産省の分類では、イチゴは果実ではなく野菜として分類されています。
イチゴの品種は様々ですが、昭和30年代に主力品種が「福羽」から「ダナー」に変わってからは、およそ10年ごとに主力品種が変化してきました。現在では、栃木県、福岡県、熊本県などの主産県ごとに新しい品種を開発する傾向があり、品種数も増えてきています。
同じ品種であっても産地によってブランド名が変わることがあるので、自分好みのイチゴを見つけたら、産地と品種を知っておくと良いでしょう。
鮮度の良いおいしいイチゴの見分け方
鮮度が良いイチゴは果皮につやがあって、ヘタが濃緑色をしていて、形がきれいに整っています。全体的に色がのっていて、傷が付いていないものを選びましょう。
イチゴの栄養
イチゴは、ビタミンCやアントシアニンなど、抗酸化作用がある成分を多く含んでいます。洗うだけで簡単に食べることができるので、栄養摂取しやすい食べ物と言えます。
イチゴの保存方法
家庭で保存する際には、購入してきたパックに入れたままでも問題はありません。ただ、最も良い状態で保存するには、平たい容器に重ならないように並べておくこと。ラップをかけて冷蔵庫の野菜室で保存してください。
保存する前に洗わない方が傷みにくいので、食べる直前に洗うようにしましょう。また、あまり保存性のある果物ではないので、早めに食べきることをおすすめします。
イチゴの旬と時期
イチゴは12月~9月頃とほとんど一年中出回っていて、最盛期は2月~3月です。以前は夏と秋には出回りませんでしたが、昨今はアメリカ産のものが輸入されるほか、国産品もわずかに出回るようになりました。旬の時期はハウス栽培で12月~4月、露地物は5月~6月です。
イチゴをおいしく食べるワンポイント
イチゴの下ごしらえと冷凍
洗ってからヘタを取ると、水っぽくなりません。ボウルに冷たい流水を注ぎ、イチゴをしばらく浸したあと、優しく汚れを取るように振り洗いをします。ヘタを取った後は水につけないようにしましょう。
冷凍する場合は洗ってヘタをとってから行います。砂糖をまぶすと、色は抜けてしまいますが、冷凍焼けを防ぐことができます。
一番甘いのはどの部分?
イチゴの甘みはヘタよりも先端部分の方が強くなっています。そのため、カットするときは縦に切ると甘さが均等になります。一口で食べきれない大きさの場合は、ヘタの方から食べると順に甘くなっていくので最後まで楽しめます。
酸味のあるイチゴには?
生で食べる方がイチゴ本体の味を楽しむことができますが、酸味が強い品種の場合はコンデンスミルク、ホイップクリームなどをつけると酸味が抑えられます。酸味のあるイチゴは潰してサラダのドレッシングにするのもおすすめ。バルサミコ酢とはちみつでマリネにするのもまた違ったおいしさです。
レンジで簡単イチゴジャム
イチゴ1パックにグラニュー糖150gをまぶし、レモン汁を少々かけて、ふんわりとラップをかけます。およそ6分電子レンジで加熱したら取り出してよくかき混ぜて、今度はラップをせずに6分〜8分加熱します。
これだけであっという間に、手作りイチゴジャムが完成します。沸騰して汁が溢れる場合があるので目を離さないようにしましょう。
イチゴの種類
とちおとめ(栃木県)
鮮紅色で酸味と甘みのバランスがよくジューシーで日持ちする品種です。栃木県が品種登録をしていましたが、2011年に品種登録の有効期限が切れているため、現在は他の産地でも栽培可能です。
あまおう(福岡県)
福岡県の登録商標で、品種名は「福岡S6号」です。果皮は濃赤色で果肉も鮮やかな赤色です。甘さと大きな粒が特徴で贈答用としても人気があります。
さがほのか(佐賀県)
円錐形で大きさがよく揃っているのが特徴。果皮・果肉がともに硬めで日持ちする品種です。
やよいひめ(群馬県)
3月以降の時期でも食感がよく、日持ちし、酸味も少なく甘い品種です。
スカイベリー(栃木県)
とちおとめの後継種で、耐寒性があり大きな粒になります。ブランド品として販売されています。
越後姫(新潟県)
大粒のイチゴで、やわらかい肉質がおいしい新潟のオリジナル品種です。香りがよく甘みもあります。
初恋の香り
熟しても赤くならない「白イチゴ」。果肉も美しい白色で、近年おもに女性たちから注目を集めています。
イチゴは小さいものから大きな粒まで、甘いものや酸味が強いものそれぞれのおいしさがあります。生で食べるだけでなく、もし酸味が強すぎたり、甘さが足りなく感じたらコンデンスミルクをつけたり、ジャムにして楽しんでみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)