冬場においしい「長ネギ」
長ネギは、生のままだと刺激のある香りと辛味があり、加熱すると甘みが出てくるため、2つの味が楽しめるユリ科ネギ属の野菜です。日本で使用されているネギは加賀群、千住群、九条群の3つに分けることができます。
その中でも、白い葉柄部分を食べる加賀郡、千住群のことを「長ネギ」「根深ネギ」と呼ぶのが一般的で、主に関東での需要が多いのが特徴です。関西では「ネギ」というと葉ネギを指すことが一般的。地方独特な鍋との結びつきも強く、根強い人気がある野菜です。香りがよく麺類の味を引き立てることから、薬味としての需要も高いです。
鮮度の良いおいしい長ネギの見分け方
鮮度が良い長ネギは、根に近い軟白部にツヤがあり、全体的にふかふかしておらず良く締まって弾力があります。白い部分と緑色の部分がはっきりと分かれているものが新鮮です。表面の皮や、葉先が乾燥して茶色くないものを選びましょう。
長ネギの栄養
長ネギに含まれる香り成分の硫化アリルは、交感神経を刺激して体温を上昇させる働きがあります。そのため、血行促進作用が期待できます。またセレンという成分は、ガンの抑制効果が研究されているミネラルの一つです。葉には免疫力を活性化させるカロテンが多く含まれています。
長ネギの保存方法
家庭で保存する際は、葉先を出して新聞紙に包み、室内の温度の低いところか、直射日光のあたらないベランダで保存します。長ネギは横に寝かせて保存すると、畑で植えられていた本来の姿勢に戻ろうとして曲がってしまったりするため、立てて保存するようにします。
庭がある場合は、土中に白い部分を埋めるようにして立てておくと、長期保存が可能になります。1本使いきれない場合は、ポリ袋かラップに包み、冷蔵庫に立てて保管し、早めに使い切るようにしましょう。
長ネギの旬と時期
長ネギは一年間に渡って流通していますが、最盛期は冬場の10月から3月頃です。冬になるほどネギも甘くなります。
長ネギをおいしく食べるコツ
炒め物などに使う場合は、包丁で何カ所か刺した後に、大きめに横に切ると火が通りやすくなります。生で食べる場合、香りや刺激が強すぎる時は、水にさらすことで食べやすくなります。薬味にする場合も小口切りにしてから水に軽くさらすと、ねめりを抑えられます。
ビタミンたっぷり「青ネギ」
青ネギは緑色が濃く、香り高いのが特徴で、代表的なものとして「わけぎ」「あさつき」などがあります。少量でも目に鮮やかで薬味として欠かせない存在です。
一般名称は「葉ネギ」であり、地方によって多くの品種が存在します。関東よりも関西で需要が多く、関西でネギというと青ネギのことを指すのが一般的です。
「万能ネギ」は品種名ではなく、九条ネギを密植栽培して若いうちに採ったもので、ブランド名です。
鮮度の良いおいしい青ネギの見分け方
鮮度の良い青ネギは根元からまっすぐ伸びて、青みが濃く、根がしっかりとしています。変色やシミのないものを選びましょう。
青ネギの栄養
青ネギには、免疫力を高めるカロテンが、長ネギよりも多く含まれています。カロテンは抗酸化作用が高く、活性酸素から体を守る働きがあります。また香りの成分である硫化アリルは、消化液の分泌を促す効果が期待されています。
青ネギの保存方法
新聞紙に包み、なるべく立てた状態で冷蔵庫の野菜室に保存します。傷みやすいので早めに食べきるようにしましょう。購入してからすぐに刻んだ状態で冷凍すれば、薬味や味噌汁の具に重宝します。刻んだ際にしっかりと水分を切ってから冷凍するのが、おいしく食べるコツです。
青ネギをおいしく食べるには
生は香りが強く辛味がありますが、熱を加えると甘みを増します。青ネギをたくさん食べたいときは、お好み焼きでキャベツの代わりに使ったり、鍋や丼ものに活用すると、おいしくたくさん食べられます。
長ネギと青ネギについてそれぞれ紹介しました。冬の鍋料理に、夏の麺類の薬味に、一年を通して欠かせない存在であるネギ。脇役や引き立て役になる場合が多いですが、思い切ってメーン食材として使ってみるのもおすすめです。
参考:「野菜と果物の品目ガイド~野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)