カロテンの王様ニンジン
家庭の常備野菜として、日々の食卓に欠かせないニンジン。栄養満点な上、料理に彩りを加える役割を持つ、家庭料理の強い味方です。英語でニンジンは「キャロット」ですが、語源は栄養素のカロテンに由来します。それほどニンジンにはカロテンが多く含まれているのです。原産地はヒマラヤ周辺にある、アフガニスタンのヒンズークシ山脈だと言われており、13世紀頃に日本にやってきました。
現在日本で目にするニンジンは大きく2つに分けられ、中国経由で日本に入った東洋種と、アメリカ経由で入った西洋種です。江戸時代頃は東洋種が多く栽培されていたようですが、現在では西洋種が市場のほとんどを占めています。中でも最も人気があるのが「五寸ニンジン」です。近年市場に出回り始めた白や黄色などのカラフルなニンジンの多くは、西洋種のニンジンを親に持ちます。
一方、数は少ない東洋種ですが、紅色が美しい「金時ニンジン」はおせち料理に使われるなど、伝統の日本料理には欠かせない存在として重宝されています。
鮮度のいいおいしいニンジンの見分け方
鮮度のいいニンジンは、茎の付け根の軸が細く、みずみずしくてずっしりとした重みがあります。表面がなめらかでハリがあるものを選びましょう。鮮やかなオレンジ色で黒ずみがない美しい表皮は新鮮なニンジンの証拠です。
ニンジンの栄養
ニンジンは緑黄色野菜の代表的存在でカロテンが豊富に含まれています。カロテンは体内でビタミンAに変化し、体内の活性酸素を抑える抗酸化作用を発揮してくれる他に、皮膚や粘膜を丈夫に保つ働きも持っているので美肌効果が期待できます。
さらにビタミンB1、Cを多く含んでいるほか、カリウム、カルシウム、鉄分などがバランスよく含まれているので、毎日積極的に摂取したい野菜の一つです。
ニンジンの保存方法
ニンジンの家庭での保存は、新聞紙に包んでポリ袋に入れてから、夏の間は冷蔵庫の野菜室で保存します。冬は玄関やベランダなど陽のあたらない、冷暗所に保管しましょう。ニンジンに付着した水分は、腐敗の原因となってしまうので、しっかり拭き取って保存するのが長持ちさせるコツです。
土が付いているニンジンの場合は、調理するまで土を洗わずに、そのまま新聞紙に包んで保存した方が鮮度を保ちやすくなります。
ニンジンの産地と旬の時期
ニンジンは、北海道、千葉県、徳島県の3つで市場シェアの半分以上を担っています。年間を通して市場に出回っています。
ニンジンの賢い使い分け
栄養が多い皮はきんぴらに
カロテンやリコピンなど、ニンジンの栄養は皮の近くに多いため、むいた皮は捨てずによく洗ってきんぴらなどにして食べると良いでしょう。
野菜ジュースにするときは?
野菜ジュースやサラダなど、ニンジンを生で食べるときには、エゴマ油や亜麻仁油などの良質なオイルを一緒に摂取するようにしましょう。油と一緒に摂取することで、ニンジンに多く含まれるカロテンが体に吸収されやすくなります。
葉までおいしくいただけます
ニンジンの葉はダイコンなどの葉と同じように、炒めて醤油で味付けすることで、おいしいご飯のお供になります。
ニンジンの下ごしらえ
ニンジンに含まれるカロテンは、油と摂取することで体への吸収率が高まります。加熱するときは、炒め物やかき揚げなど、生で食べるときには良質な油と一緒に食べることをおすすめします。
ニンジンの種類
金美
沖縄の島ニンジンを改良して生まれた品種で、黄色いニンジンです。甘みが強いのが特徴。
京かんざし
東洋種でおせちなどに使われる赤みが強い金時ニンジンを早採りしたミニサイズのニンジンです。鮮やかな赤色です。
馬込三寸ニンジン
長さが3寸(約10センチ)と短めのニンジン。江戸東京野菜の一つです。
へきなん美人
愛知県碧南市のブランドニンジンです。海に近い砂地の畑で作られているため、甘さが強く、ニンジン独特の臭みが少ないと評判です。ジュースや生食に人気のニンジン。碧南市では、1月23日を碧南ニンジンの日とするなど積極的にPRしています。
紫ニンジン
外皮が紫色のニンジンで、芯の色は紫のものと、オレンジのものがあります。近年、サラダなどの彩りとして人気です。
小さい頃から常に身近にあって食べ続けてきたニンジン。1年中手頃な価格で手に入れることができて、彩りもよく栄養満点のニンジンは家庭料理の強い味方です。近年はカラフルなニンジンもたくさん出回っていますので、お料理の彩りに試してみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)