独特の香りがニンニクの最大の特徴
ニンニクは、ユリ科ネギ属の野菜です。食欲をそそる香りがあり、世界中で様々な料理に使われていて、古くは薬用植物として使用されてきました。香りの強さは野菜の中でも群を抜いており、ヨーロッパではドラキュラの苦手な食べ物としても有名です。
原産は中央アジアと言われていますが、詳しいことはわかっていません。日本に渡ってきたのは平安時代以前ですが、人々の間で広まったのは第二次世界大戦後。日本人にとっては比較的新しい食べものです。
鮮度の良いおいしいニンニクの見分け方
鮮度のいいおいしいニンニクは、粒が大きくて丸く、しっかり乾燥しています。ただ、あまりにも乾燥しすぎていると中の水分も飛んで実が小さくなっていることがあるので、重さがあるか確かめてください。芽が出ているものは避けましょう。
ニンニクの栄養
ニンニクの強烈な匂いは「アリシン」という成分によるものです。これは「アリイン」という無臭の成分が空気に触れて変化することで生まれます。そのため、みじん切りなどニンニクを細かくするほど香りが強くなります。
アリシンは殺菌作用や消化液の分泌を助ける働きがあり、さらに血管を拡張して血液の流れを良くする効果があると期待されています。
さらに、糖質や脂肪をエネルギーに変えるのに必要不可欠なビタミンB1を多く含むので、肉などと一緒に料理するのがおすすめです。強壮効果が高いので食べ過ぎには注意しましょう。
ニンニクの保存方法
ニンニクは、ネットに入れて風通しのいいところに吊るして保存すると数ヶ月持ちます。吊るすスペースがない場合は、新聞紙に包んでからビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室での保管もいいでしょう。
ニンニクの旬と時期
ニンニクは貯蔵物で1年を通じて安定して供給されていますが、新物が出回る旬の時期は5月から9月頃です。ニンニクの生産量で最も多いのが青森県で、半分以上のシェアを誇ります。
ニンニクの賢い使い分け
国産 vs 中国産
ニンニクを買うときに気になるのが、国産か中国産どちらを選べばいいのかという問題。味や香りを取るなら、国産を選ぶ方がいいでしょう。
国産のニンニクは、白く、一片が大粒で旨味が強いのが特徴です。中国産のものは安価で手に入りますが、国産に比べてやや小ぶりで若干青臭さが残ります。
ニンニクのホイル焼きなどニンニクがメインの料理は、国産を使用するとホクホクおいしく仕上がります。
ニンニクの下ごしらえ
少し緑色になっているニンニクの芯は、新芽に変わりつつある状態です。食べても問題はありませんが、臭いが強く、えぐ味があるので取り除いた方が味がよくなります。ただし、新ニンニクや芽が育っていないものは、取り除かなくても大丈夫です。
ニンニクをおいしくするワンポイント
料理の香辛料として使うときは、みじん切りにしたものを弱火でじっくり炒めます。そうすれば旨味を上手に引き出すことができます。油を使用するときも、焦げやすいのでじっくり低温で炒めるようにしましょう。
香りを最大限に引き出したいときはすりおろします。逆に臭いを抑えたいときは、薄皮をつけたまま電子レンジで30秒ほど温めると臭いが軽減します。手に臭いがつくのが気になる場合は、根の部分を切り落として皮がついたまま3分間ほど水につけるといいでしょう。
ニンニクの種類
ジャンボニンニク
植物としては、ニンニクとは別の種類のリーキの根です。別名、無臭ニンニクと言われています。
プチニンニク
房に別れずに、1つの塊になっているニンニクです。臭いと刺激が少なく調理しやすいのが特徴です。
ニンニクの芽
つぼみがつく棒状の茎。中国料理でよく使われます。炒めものにピッタリです。
紫ニンニク
マイルドな味と、薄紫色が特徴のニンニクです。
黒ニンニク
ニンニクを熟成発酵させたものです。甘みが強くて柔らかく、臭いも控えめです。
葉ニンニク
ニンニクの若い葉を食用としたものです。中華料理の麻婆豆腐に欠かせません。
花ニンニク
ニンニクの芽につぼみがついたものです。つぼみは天ぷらにするとおいしくいただけます。
ニンニクは、栄養たっぷりで強壮効果がつよく、まさに精がつく野菜です。日々の食事に取り入れることで、健康効果や食欲促進効果が期待できます。料理のアクセントに、ぜひニンニクを活用してはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド~野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)