自然環境の改善とコウノトリの野生復帰
里山の大木に巣を作り、田んぼや川の浅瀬でエサをとって生きるコウノトリ。かつては日本各地に生息する鳥でしたが、戦後の環境変化の影響を受け、1971年に豊岡市に生息していた最後の1羽が姿を消して日本の個体は絶滅しました。
高度経済成長期には、人口増加に伴い、効率的・安定的な食糧供給が必要とされていました。そのため、農業の現場では病害虫を抑える薬剤を使用するなど、様々な効率化が図られました。その結果、コウノトリの主なエサである、カエルや魚などが大幅に減少し、絶滅につながってしまったのです。
豊岡市では、コウノトリの絶滅以前の1965年から人工飼育が始められ、24年目の春にようやく繁殖に成功しました。同時にコウノトリが再び自然界で暮らせるよう、様々な取り組みを続けました。
中でも重要なのは農業です。害虫の防除に農薬を使わないことで、害虫をエサとするクモやカエルなどを増やし、コウノトリが暮らしやすい自然環境を整えることを目指しました。