薬膳の世界から見たカボチャ
薬膳の世界でカボチャは、五気は平、五味は甘に分類される食べ物です。カボチャの漢名は南瓜(ナンカ)といい、別名「トウナス」「ナンキン」「ボウブラ」ともよばれています。
カボチャには、胃を丈夫にして体力をつけてくれる力があります。さらに、解毒作用や駆虫作用があり、昔から生で用いることで、薬物中毒や虫下しに使用されてきました。カボチャの実には消炎・鎮痛作用があるので、湿布剤としても利用されてきた歴史があります。
さらに、野菜の中でもβ-カロテンを多く含み、日本種と西洋種では、西洋種の方がエネルギーが2倍多く、β-カロテンは5倍以上含まれているので、西洋種の方が栄養面では優秀だと言えます。
どんな荒れ地でも育つことのできるカボチャは、デンプン質が非常に多くて甘みがあって味もおいしい野菜です。現代の日本があるのはカボチャのおかげと言っても過言ではなく、江戸時代の飢饉(ききん)の時には救荒食になり、戦中・戦後の食糧難の時期には代用食として大切な役割を果たしていました。
長期間食べ続けると、皮膚が黄色くなりますが、これはカボチャの色素が汗とともに排出されているためで、問題なく食べることができます。
カボチャは実だけではなく、花や種にも様々な薬効があります。カボチャの花は南瓜花(ナンカカ)と呼ばれ、スープの具にするととてもおいしいです。それに加えて熱を下げる効果や、下痢を治す効果、さらに痰を切る、女性の乳の出をよくする効果があるとされています。
また、カボチャの種には、実と同様に解毒作用や駆虫効果がありますが、それ以外に体内の余分な水分を取り除く利尿作用があるとされています。
カボチャの薬膳的利用法
カボチャとアズキでむくみを解消するには
むくみが気になる時には、カボチャとアズキを一緒にして、味をつけずに柔らかく煮て食べることで、効果が期待できます。
産前産後のむくみはカボチャの種で解消
産前産後はむくみでお悩みの方も多いですが、安全な食べ物しか口にしたくないという女性は多いもの。そういった場合におすすめなのが、カボチャの種を利用したむくみの改善です。
カボチャの種を干して、10~20グラムを3カップの水で半分の量になるまで煎じ、1日3回に分けて空腹時に飲むことでむくみの改善が期待できます。特に産前産後のむくみに効果があるとされている方法です。
生で食べれば駆虫効果も
カボチャは生で食べることで、駆虫効果が期待できるとされています。
カボチャ湿布は神経痛に
カボチャをドロドロになるまでよく煮込んでから湿布すると、消炎・痛み止め効果の期待があり、肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)や肋膜(ろくまく)の痛みを和らげることが可能です。
軽いヤケドにもカボチャは効果的
カボチャをおろして患部に塗れば、軽いやけど程度であれば効果があると言われています。
虫さされにも効果が期待できる
カボチャの花か葉のどちらかを塩もみしてから、絞り汁を患部につけると虫さされに良いと言われています。
薬膳料理に挑戦「カボチャと牛肉のあんかけ」レシピ
材料(2人分)
・カボチャ200グラム
・塩、酒少々
・サラダ油 大さじ1
・刻みショウガ・ニンニク 各ヒトかけ分
・煮汁(だし汁1カップ、酒・みりん各大さじ1、しょう油小さじ1)
・葛粉 小さじ2
作り方
1.カボチャはタネとワタを抜き、3センチほどの厚さのくし形にカットします。
2.皿に並べて塩・酒をふってやわらかく蒸します。(フライパンでも可)
3.鍋にサラダ油を熱し、火を止めてからショウガとニンニクを香りよく炒め、再び火にかけてからひき肉を加えてポロポロの状態になるまで炒めます。
4.煮汁を加え、弱火でじっくり煮てから水溶き葛粉を入れてとろみをつけます。
5.器に盛り、蒸しあがったカボチャにそぼろあんをかけて、木の芽などの青みをお好みで足せば完成です。
牛肉餡は、多めに作ってから保存瓶などに入れて冷蔵庫で保存しましょう。炊きたてご飯の上に載せたり、野菜と一緒にサンドイッチにするなど、さまざまな楽しみ方ができます。
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)