加工用・でんぷん用・生食用に分けられるジャガイモ
最近では、味や食感が大きく異なる様々なジャガイモの品種が生まれています。プロの料理人でなくても、料理によってジャガイモの品種を使い分けているという方も少なくないでしょう。
生産上では、ポテトチップスなどの加工用、片栗粉の原料になるでんぷん用、生食用の3つに分けられます。私たちが普段口にするジャガイモは生食用に分類されるもので、ホクホクした食感が特徴の男爵やキタアカリなどの粉質系と、メークインやニシユタカなどに代表される煮崩れしにくい粘質系に分けられます。
ちなみに「新ジャガ」とは、品種のことではなく、土から掘り起こしたばかりのジャガイモのことを指します。新ジャガは品種にかかわらず、皮が薄くみずみずしいのが特徴です。
鮮度の良いおいしいジャガイモの見分け方
鮮度の良いおいしいジャガイモは、芽が出ていないもので、皮が薄く、シワが少ないのが特徴です。丸くふっくらとしていて大きすぎないジャガイモを選ぶようにしましょう。新鮮なものは持ってみると見た目よりずっしりとして色が均一です。
日に当たると皮が緑色に変色しソラニンが生成されるので、緑色のものは避けるようにしましょう。
ジャガイモの栄養
豊富に含まれる栄養分といえば、ビタミンCです。新鮮なものにはミカンと同じくらいのビタミンCが含まれています。ジャガイモを200グラム食べれば、1日に必要なビタミンCが摂取できてしまうほど。
さらに、通常熱に弱く水に溶け出しやすいビタミンCですが、ジャガイモに含まれるビタミンCは、でんぷんに守られていることから、加熱調理をしても損なわれにくいといわれています。その上、ビタミンB1や、B6、ナイアシンなど他のビタミン類も豊富に含むため、フランスではジャガイモは「ポム・ド・テール=大地のリンゴ」と呼ばれています。
ジャガイモの旬と時期
ジャガイモは一年を通して市場に出回っている野菜です。国内の生産量のうち3/4近くを占めているのが北海道産で、8月から4月頃を中心に多く出荷されています。
ジャガイモの保存方法
家庭でジャガイモを保存するときには、新聞紙に包んで通気性のいい場所に保存します。5℃程度の冷暗所が好ましいと言われています。ジャガイモを保存するときは、ジャガイモの中にリンゴを1つ入れておくと、リンゴから発生するエチレンガスの影響で芽が出にくくなるという裏技があります。ジャガイモはカットしてしまうと日持ちしないので、ラップに包んで冷蔵庫の野菜室で保存し早めに食べきるようにしましょう。
ジャガイモの下ごしらえ
ジャガイモの芽が出ているときは
ジャガイモの芽には食中毒を起こすソラニンという成分が含まれているため、芽が出てしまっている場合は必ず取り除く必要があります。芽だけでなく、その周辺にもソラニンは含まれるので、付け根ごとくり抜くようにしましょう。
切り口が変色しないようにするには
ジャガイモの切り口は空気に触れることで黒っぽく変色してしまいます。切ったらすぐに水で洗い、改めて5分から10分ほど水にさらすと変色を防ぐことができる上、アクとでんぷんが取れるので煮崩れ防止にもなります。
ジャガイモを茹でて冷凍したいときには
茹でたジャガイモを冷凍庫で保存すると、中の水分が凍って食感が悪くなります。ジャガイモが入ったカレーを冷凍してはいけないと言われるのもそのためです。ジャガイモを冷凍保存したいときには、ビタミン類の流出を避けるため皮がついたまま丸ごと茹でて、マッシュポテトのように潰してから冷凍するようにしましょう。
ジャガイモをおいしくするワンポイント
コロッケなどを作る際に、ジャガイモを茹でるときには、ビタミンが水に溶け出すのを防ぐために必ず皮ごと茹でるようにしましょう。また、お湯を沸かしてから入れるのではなく、水から茹でることで、ホクホク感が増しておいしく茹でることができます。
ジャガイモの種類
男爵
日本で昔から馴染みのある品種。粉質でホクホクとした食感で、ポテトサラダや粉ふきイモに向いています。
メークイン
粘質の代表格。細長い形をしており、芽がないため皮がむきやすいジャガイモです。カレーや煮物などに最適。
きたあかり
皮も中身も黄色が強いジャガイモです。ホクホクとした粉質タイプのため、じゃがバターなどの料理がおすすめ。
インカのめざめ
南米アンデスが原産。やや粘質で、栗のような甘みがある味わい。
インカルージュ
インカのめざめの変異種です。ナッツのような風味と滑らかな舌触りが特徴。煮物向きです。
シャドークイーン
アントシアニンを多く含むため、皮も身も青みがある紫色をしているのが特徴です。皮がむきやすく、揚げ物向きです。
デジマ
皮も中身も淡い黄色をしており、やや粘質で甘みが強いのが特徴です。サラダ・煮物・揚げ物など様々な用途に適した最近人気の品種です。
ジャガイモは太る!と思っている方も多いかもしれませんが、カロリーで見ると白米よりもカロリーが少ない野菜です。煮物や揚げ物など様々な用途で使用できて、貴重なエネルギー源となるジャガイモ。新ジャガの季節にはぜひ丸ごとフライにするのもとてもおいしいのでオススメです。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)