江戸時代に栽培が始まったシイタケ
旨みたっぷりキノコの代表格といえば、シイタケ。原産は日本と中国です。日本では、江戸時代に原木に自生していたキノコを採取するようになったのが始まりだといわれています。現在のように人の手で菌を植え付けて栽培するようになったのは、昭和に入ってから。ちなみにシイタケの学名は「Lentinula edodes」ですが、「edodes」は、「江戸」からつけられたと言われています。
シイタケの栽培形態は大きく分けて2種類あり、原木栽培と菌床栽培に分けられます。原木栽培は、コナラやクヌギを使ったホダ木に菌を植え付けて栽培し、菌床栽培は、おがくずと養分を混ぜてブロック状に固めたものに菌を植えて栽培します。
原木栽培で育てられたシイタケは、菌床栽培に比べて風味が豊かなのが特徴です。近年は原木の不足などから数が減っているといわれています。
品種は、肉が薄い「香信(こうしん)」と、肉厚の「どんこ」が一般的です。
鮮度の良いおいしいシイタケの見分け方
鮮度の良いおいしいシイタケは、傘が乾いて産毛が生えています。肉厚で傘が開きすぎていないものを選びましょう。軸が太く短めで裏は白くひだが細かいものが新鮮な証拠です。
シイタケの栄養
シイタケに含まれるビタミンDはその他の野菜(※)にはないビタミンです。ビタミンBは、骨の形成に重要な働きをするといわれています。シイタケに含まれるエルゴステロールは、太陽の光に当たることでビタミンDに変化するといわれています。
また、食物繊維も多くエリタデニンいう物質を含んでおり、血中のコレステロールを調整する効果が期待されています。
※葉物野菜以外の、果菜類・土物類も含まれます。
シイタケの保存方法
シイタケを保存するときには、湿気に注意が必要です。キッチンペーパーに包むか、紙袋に入れて冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。鮮度が落ちやすいので早めに使い切るように心がけます。カットしたら生のままで冷凍保存も可能です。また、煮詰めてから細切りにして冷凍すれば、炊き込みゴハンやお吸い物、煮物にすぐに使えてとても重宝します。
市場シェアと流通時期
シイタケは1年を通して市場に出回っていますが、需要が多くなるのは、10月から3月頃です。生産量が多い産地には、徳島県、北海道、岩手県などがあります。
シイタケの下ごしらえ
シイタケは洗わない
シイタケは、水気を吸うと風味が落ちるので、洗わないのが原則です。汚れが気になるときには、傘の上から叩いてひだについた汚れを落とすか、濡らした布巾で表面をふくようにします。
干しシイタケの上手な戻し方
干しシイタケを戻すときには、60度のお湯で戻すと短時間でふっくらとなり、旨みも外に逃げ出さないので実践してみてください。
石づきはどこまで取る
料理の本に「シイタケは石づきを落とす」と書いてありますが、石づきとはキノコが地面についていたところを指します。シイタケの場合は、軸の元についている黒っぽくて固い部分のことです。硬くて食べにくいため、切り落としてから料理しましょう。
干しシイタケと旨みの魔法
長期保存が可能な干しシイタケは生のシイタケに比べると、ビタミンDや旨み成分がたっぷりと含まれています。日光に当たることでビタミンDに変化するエルゴステロールが含まれるため、干した方が栄養分が増えます。さらに、乾燥させることによって細胞が壊れ、酵素が旨み成分に変化するためです。
シイタケに含まれる旨み成分はグアニル酸といい、昆布の旨み成分であるグルタミン酸、カツオ節の旨み成分であるイノシン酸と組み合わせて調理することで、旨みが相乗効果を生み、一層おいしくなります。旨みがしっかりしていると、薄味でも満足できるため余分な塩分の摂取を抑えられるという利点もあります。
シイタケをおいしくするワンポイント
シイタケの軸もおいしく
シイタケの軸は包丁で十字に切れ目を入れたり、手で縦に割いたりして利用することができます。割いたものを素揚げにすれば、サラダの飾りやスープの浮き身になります。飾りとしてボリュームアップにもなるほか、シイタケの旨みが隠し味になるので、一度に揚げておいて作り置きするのもおすすめです。
焼きシイタケのポイント
シイタケの旨みを存分に味わえる焼きシイタケは、傘を下向きにして下から炙り、出てきた汁を落とさないように焼くのがコツです。汁にも旨みがたっぷり含まれています。
シイタケの品種
どんこシイタケ
丸い形で肉厚なシイタケです。傘が開く前に収穫したもので、香り高く、シイタケの中でも高級品です。
ジャンボシイタケ
肉厚で味が濃く、シイタケステーキなどシイタケをメインとした料理に利用できます。大きいものでは直径10センチを超えるものもあります。
鍋に、お吸い物、煮物、揚げ物、炒め物、何にでも使える万能食材シイタケ。加えるだけで旨み成分が隠し味になって、より料理の味わいを深くしてくれます。旨みがアップすれば塩分を減らしてもおいしく食べられるので、シイタケは日々の生活に積極的に取り入れたい食材です。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)