古くから食べられていたマツタケ
マツタケは、キノコの代表とされています。「香りマツタケ、味シメジ」といわれるほど、特有の香りと食感が珍重されて、日本料理には絶対に欠かせない存在です。マツタケの歴史は古く、日本ではマツタケと推測されるキノコを詠んだ歌が「万葉集」に残されていたり、奈良時代前から食用とされていたことが推測されています。
マツタケが育つためには、生きたアカマツの木が必要なため、人工栽培技術が確立できていません。そのため、国産品は特に貴重で大変高価になっています。一方で、単価の安い輸入品は年々増加の一途を辿り、現在の流通の主流となっています。国外では東アジアなどに多く分布していて、輸入品のうち約7割以上が中国産で占められます。7月頃から出回ります。
鮮度の良いおいしいマツタケの見分け方
鮮度の良いおいしいマツタケは、軸が短めで丸く、硬くしまっています。茶色と白のコントラストがはっきりしているのも新鮮なマツタケの証拠です。表面が乾燥していないものを選びましょう。
マツタケの栄養
マツタケには食物繊維や、野菜にはほとんど含まれていないビタミンDが含まれています。さらにマツタケの香り成分であるマツタケオールが含まれています。マツタケオールには食欲を増進させる効果があるといわれており、特に傘に多く含まれています。
マツタケの旬と時期
国産マツタケの出回り時期は10月から11月頃。生産地は、約3分の1が長野産となっています。輸入品は国産よりもやや早く、7月頃から出回り始めます。
マツタケの保存方法
マツタケの保存は、濡らした後硬く絞った新聞紙で包んでから冷蔵庫の野菜室へ入れます。新鮮なものほど香りが高いので、早めに食べきるようにしましょう。日が経つにつれて乾燥が進み、せっかくの香りや風味が落ちてしまいます。マツタケは、手に入れたらなるべく早く食べきるようにしましょう。
マツタケの下ごしらえ
マツタケは洗わない
マツタケは、濡れた布巾で汚れを拭き取る程度にしましょう。中心から外側に向かって拭き、軸は下から上に向かって拭くようにしましょう。
石づきを落とす
根元の石づきの部分を包丁で削りおとします。
軸がフカフカしていた場合
触ってみて、軸がフカフカしている場合は、中に虫がいる可能性があります。その場合、軸を塩水につけておけば虫を取り除くことができます。
マツタケをおいしくするワンポイント
国産と輸入物は何が違う?
国産マツタケも輸入物も同じ品種です。ただ、一部で生える木が異なる別種も存在します。日本や中国、韓国のマツタケはアカマツの木に生えるのが一般的ですが、北米やヨーロッパのものだと植物学上では別種で、レバノンスギなどの林に生えます。また一部の中国産はブナの林に生えるものもあります。多少の食味は異なるものの、DNAや香り成分はほぼ同じです。
マツタケは薄味で
マツタケの香りや風味を存分に楽しむには、薄味にするとおいしくいただけます。
傘の開いていないマツタケは高級!
傘が開いていないマツタケは、上品な香りで味わい深く、高級品です。その姿を生かしたまま、格式が高い日本料理店などで使用されます。
傘が開いたマツタケは
傘が開いて、軸も太く成長したマツタケは、強い香りを放ち、旨みも濃いといわれています。少量でもマツタケの風味を十分に堪能することができます。
マツタケは冷凍できる?
マツタケは、丸ごとラップをして冷凍保存することもできます。ですが、せっかくの風味や香りは落ちてしまいます。冷凍した場合は、調理の際に半解凍して使いましょう。
輸入マツタケ
輸入マツタケは手頃な価格が魅力です。国産品の香りと風味には差があるかもしれませんが、秋の訪れを感じることができます。炊き込みゴハンや天ぷらなどに積極的に利用してみましょう。
マツタケの種類
中国産
中国産のマツタケは国産と見た目はあまり変わりませんが、少しやわらかいのが特徴です。9月頃にピークを迎えます。
カナダ・アメリカ産
10月にピークを迎えるのが、カナダ・アメリカ産です。丸みがある形で、生のときには香りが強いですが、加熱すると薄くなります。
トルコ産
トルコ産は11月にピークを迎えます。全体的に小ぶりで、味と香りは国産に比べると薄めの傾向にあります。
マツタケは誰もが知る高級食材の代表格ですが、輸入物は近年低価格で出回っています。秋の訪れを感じるのなら、ぜひ気軽に食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)