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【第6回】HACCPの手順と監査のポイント(3/3)

連載企画:JGAP・HACCPの基礎知識

【第6回】HACCPの手順と監査のポイント

厚生労働省から、2018年1月16日に「食品衛生法等の改正骨子案」が提出された。この中で、HACCPによる衛生管理の制度化」の項目があり、食品事業者及畜産事業者は、一般的衛生管理に加え、重要工程においてHACCPシステムを構築しなければならないとあります。今回は、このHACCPの手順と監査のポイントを解説していきます。

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(手順8・原則3)管理基準(許容限界)の設定

危害要因分析で特定したCCPを適切に管理するための基準を設定します(図4参照)。温度、時間、速度等が該当します。金属探知工程であれば「テストピースの大きさ」が該当し、加熱殺菌工程であれば「加熱温度と加熱時間」が該当し、冷却工程であれば「冷蔵庫ないし冷凍庫温度」が該当します。監査のポイントとしては、それらの管理基準値が、危害を除去するための目的を達成するかどうか、科学的な根拠を確認します。

図4

(手順9・原則4)モニタリング方法の設定

CCPが正しく管理されているかを適切な頻度で確認し、記録します(図4参照)。そのためには、適切な頻度で確認できなければなりません。金属探知工程であれば「テストピースを流す頻度」を例えば、開始前・昼休み後・終了時の3回に設定します。危害要因に対する管理手段が、すべての製品に対して適合していることをモニタリングすることが重要です。監査のポイントとしては、適切な頻度であるか、モニタリング者が異常時の対処方法など適切な教育を受けているかを確認します。

(手順10・原則5)管理基準逸脱時の改善措置の設定

モニタリングの結果、管理基準(許容限界)が逸脱していた時に講ずべき措置を設定します(図4参照)。許容限界を逸脱したものについての処置(修正処置、発生原因の追究及びその原因の除去)の方法を設定する必要があります。監査のポイントとしては、修正処置としては、工程の管理状態を元に戻すための処置(機械の修理、調整、取替え等)と、逸脱の間に製造された製品に対する処置が適切に設定されているか、 是正処置が適切に設定されているかを確認します。

(手順11・原則6)HACCPシステムの検証手順の確立

HACCPプランに従って管理が行われているか、修正が必要かどうか検討します(図4参照)。すなわち、設定したHACCPプランがそのとおりに行われているかの確認を管理者が記録等で検証します。また、モニタリングに用いた計測機器の校正が適切に行われているかを確認します。監査のポイントとしては、モニタリングが正しいかどうかを、別の測定機器や方法で検証しているかを確認することもあります。例えば、温度については別の温度計でのクロスチェックや、加熱工程の検証では、加熱工程後のサンプルで微生物検査を行い、微生物が残存していないことを確認することも検証となります。

(手順12・原則7)文書化及び記録保持

記録はHACCPを実施した証拠であると同時に、問題が生じた際には工程ごとに管理状況を遡り、原因追及の助けとなります。すなわち、必要な文書を作り、記録をとり、保持する仕組みを作ります(図4参照)。監査のポイントとしては、モニタリングの記録、是正処置の記録、検証の記録、担当者の訓練記録など漏れがないか、適切な保管状態であるか、保存期間が決まっているかを確認します。

一般社団法人中部産業連盟 執行理事・主席コンサルタント
山崎 康夫

 

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