奈良県の概要と主な取り組み
奈良県といえば、大和朝廷の発祥の場所。この歴史ある県の特産品として、奈良県が力を入れているのが大和朝廷の名を冠した「大和野菜」です。
大和野菜として認定されるものは大きく二つに分けられます。戦前から奈良県内で生産されていたことが確認されている品目で、地域の歴史や文化をうけついだ独特の栽培方法により「味や香り、形態や来歴」に特徴を持つものを「大和の伝統野菜」としています。栽培や収穫、出荷に他とは違う手間をかけることで、栄養分やおいしさをアップさせた野菜を「大和のこだわり野菜」として認定しています。
大和野菜の認定は、外部の有識者の意見を聴取した上で、県が行なっています。現在では、大和まな、千筋みずな、ひもとうがらし、大和いも、祝だいこん、半白キュウリ、紫トウガラシなどが認定されています。
また、奈良県では伝統野菜の他に、サクランボや切り花ダリア、イチジクや有機野菜などを将来の成長品目として位置付け、生産拡大の支援も行なっています。
大和丸なす
大和丸なすの特徴
奈良県大和郡山市や奈良市で生産され、奈良県から「大和の伝統野菜」の一つとして認定されているのが大和丸なすです。つややかな紫黒色で、名前の通り丸っとしたフォルム、ヘタに太いトゲがあるのが特徴です。
肉質はよく締り、煮崩れしにくく、焼いても炊いても、しっかりとした食感が味わえます。一般的なナスと同じように料理してもいいですし、田楽や揚げ物や煮物など、ナスが主役の料理にも最適です。県内のみならず、東京市場へも出荷されており、これからの生産の拡大が期待されています。
宇陀金ごぼう
宇陀金ごぼうの特徴
宇陀市で生産されている宇陀金(うだきん)ごぼうは、奈良県が認定する「大和の伝統野菜」の一つです。冷涼な気候と、雲母(うんも)に富み、保水性が高い土によって育まれる宇陀の金ごぼうは、芳醇な香りと柔らかい食感が魅力です。土壌に含まれる雲母が多い土地だからこそ生まれるまさに地域に根ざした伝統野菜です。
名前の由来
宇陀の土地には、多量の雲母が含まれています。そのため、ゴボウの表面には、まるで金粉をまぶしたように雲母がキラキラと輝きます。ここから「宇陀金ごぼう」と名付けられました。収穫時期が11月から12月であり、時期もぴったりなことから正月のおせちの食材として非常に人気があります。
奈良大和路ひのひかり
奈良大和路ひのひかりの特徴
奈良大和路ひのひかりは大和平野を中心とする平坦部で生産されている奈良県を代表するブランド米です。つややかで粘りが強く、味と食感が良いと評判です。
元々は、愛知40号(黄金晴)とコシヒカリを掛け合わせて育成された品種であるひのひかりの県産米を、ブランド名として奈良大和路をつけて販売しているものです。奈良のお米として「ひのひかり」の周知をはかると共に、生産者にも高品質な米を作る意欲を持ってもらおうという意図で作られました。
ハウス柿
ハウス柿の特徴
奈良県は言わずとしれた柿の一大生産地で、ハウス柿の出荷量は全国1位となっています。ハウス柿は主に五條市、吉野郡下市町で栽培されます。12月の半ば頃に被覆し、1月上旬から加温することによって、6月には収穫できます。品種としては刀根早生(とねわせ)を使用しています。生食で食べるのがおすすめです。
大和牛
大和牛の特徴
大和牛は奈良を代表する牛肉です。深みとコクのある味が特徴で、黒毛和種の雌を30ヶ月齢以上飼育してから出荷しています。血統から飼育や飼育環境などの生産情報を、生産農家ごと、牛1頭ごとに集積され、大切に管理されています。
ステーキ、しゃぶしゃぶはもちろんのこと、シチューやすき焼きでもおいしく食べることができます。
名前の由来
鎌倉時代末期に、全国各地の良牛が描かれた図が「国牛十図」。その中に、「大和牛」の名と共に大和が良牛の算出地十国に数えられていました。そこから奈良県では良質な黒毛和種の雌を「大和牛」としてPRしています。
日本最古の都・奈良で大切に守り伝えられてきた宇陀金ごぼうや大和丸なすなどの「大和野菜」たち。国牛十図にも掲載された大和牛と一緒に食べればおいしさも格別です。「大和」と付く食べ物を見かけたらぜひ試してみてはいかがでしょうか。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)