熊本県の特徴
熊本県は、カルデラ(※1)を有する阿蘇や、美しい島々からなる天草など、自然に恵まれた土地です。豊かな自然の恵みを背景に、多彩な農畜産物が生産されています。
(※1)火山の活動によってできた大きな凹地のこと。
また熊本県では「くまもとふるさと野菜」を選定しており、熊本県の人や風土と結びつきの深い野菜の中から、伝統野菜・特産野菜の二つに分類して認証しています。現在では、伝統野菜15品目、特産野菜13品目が認証(※)されています。
阿蘇高菜
「くまもとふるさと野菜」の伝統野菜の一種で、阿蘇地方が中心の生産地になっています。舌の先にピリッとくる辛味が特徴の辛子菜の一種です。
切れ込みのないやわらかい葉を漬物にして、古くから地元農家で親しまれてきました。高菜飯などに料理されていて、加工品として漬物が生産されています。
ヒトモジ
「くまもとふるさと野菜」の伝統野菜の一種、ヒトモジとは分葱(ワケギ)の別称です。葉が細くてやわらかく、辛みが少なく甘みがあるのが特徴です。
主に熊本市の西部地区で生産されています。薬味として利用されるほか、ヒトモジを茹でて、青い葉の部分をりん茎付近にグルグルと巻き付けたものを酢みそで食べる郷土料理「ひともじのぐるぐる」として調理されています。
サラたまちゃん(サラダタマネギ)
水俣(みなまた)、芦北(あしきた)地域が主な産地で、特産野菜に認証されています。甘みが強く、辛み成分が少ないことが特徴です。水分が多くみずみずしい食味で、サラダに適しています。
調理する際は水にさらさず、スライスサラダとして食べるのがおすすめです。一般的なタマネギと同じように、煮物や炒め物などに使うこともできます。加熱により甘みが増し、料理にコクを与えることができます。
塩トマト
八代海沿岸部の干拓地で作られているトマトです。以前は海であった土地を干拓していることから、土壌の塩分濃度が高い圃場があり、そこで栽培された少量生産の貴重なトマトが塩トマトです。
塩分濃度が高いため、トマトが水分を吸収しにくくなります。そのため、果肉が引き締まって、甘みが濃縮された旨みの強いトマトとなります。
生食、サラダなどシンプルな料理にして、トマト自体の味を楽しみながら食することがオススメです。
不知火類(しらぬいるい・デコポン)
熊本県が日本一の生産量を誇る柑橘類で、宇城(うき)・芦北(あしきた)・天草地域が主な生産地です。甘味が強く、袋ごと食べられる人気の柑橘類です。
清見(きよみ)とポンカンを掛け合わせた品種で、デコのあるポンカンであることからデコポンと命名されました。
くまもとあか牛
脂肪と赤身のバランスが良く、香りが豊かでヘルシーな牛肉です。熊本県では、古くから淡い褐色の在来牛が各地で飼養されていて、あか牛と呼び親しんできました。
体質が強健で、温順な性質を持っているため、阿蘇の草原でゆったりと放牧することができます。その様子は熊本県の美しく広大な自然を象徴するものとして広く認知されています。
くまさんの力(米)
「ヒノヒカリ」を母に、「北陸174号」を父として熊本県で育成された品種です。食味はヒノヒカリと同等で極めて良いことに加え、ヒノヒカリよりも収穫量が多く、倒れにくいなどの性質があります。高温による白未熟粒(※2)の発生が少なく、温暖化などの影響にも高い適応能力があります。
(※2)白未熟粒(しろみじゅくりゅう)……お米が実る際の初期から中期に、高温条件や日照不足などで、内部に隙間ができ、白っぽく見える高温障害の一つです。
熊本県は野菜や果物などの栽培が非常に盛んで、熊本県外のスーパーなどでもよく見かけることが多いかと思います。数多くの特産物を誇る熊本県、ぜひ現地にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のデータをベースに作成しています。
※画像はイメージとなります。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)