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ジビエの消費拡大に繋げたい ニホンジカの鹿肉入り「長野グラノーラ」(2/3)

ジビエの消費拡大に繋げたい ニホンジカの鹿肉入り「長野グラノーラ」

「グラノーラと鹿肉」を使ったメニューと聞いて、味のイメージが湧くという人は少ないのではないでしょうか。HARADA SHOTEN(はらだしょうてん)の「長野グラノーラ」は、その2つの素材がブレンドされたユニークな商品です。さらに、長野県が取り組むジビエの消費拡大にも貢献する商品として注目を集めています。同社の原田智之(はらだともゆき)代表取締役に、長野グラノーラの開発秘話をうかがいました。

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鉄分の豊富さに着目 ヘルシー志向の女性をターゲットに

ジビエ
長野グラノーラは、長野県で育った天然鹿肉を使うだけでなく、鹿肉の加工やグラノーラ作りなど、自社ではできない作業を地元の協力者に依頼することにこだわっています。2016年からは、長野県のアンテナショップ・銀座NAGANO(東京都中央区)で不定期に開催されている商談会に出展する中で意見をもらいながら、改良を重ねていきました。

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また、鹿肉は鉄分が豊富で低カロリー、カルシウムも多く含んでいます(※2)。そこで鉄分が不足しがちだとされる女性をターゲットに据え、容器も女性を意識したデザインにしました。

「『鹿肉を使ったグラノーラですか?』と驚かれ、注目していただいたことで、この商品には個性があり、弊社の看板商品になると確信しました。長野グラノーラのHARADA SHOTENとして社名を覚えていただける、この宣伝効果はとても大きいです」。

適正価格で販売するために、販路を厳選

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商品の開発に携わる中で、「鹿肉をはじめ、長野県という自然に恵まれた土地が育む食材の豊富さを再確認することができた」と原田さんは語ります。さらに、「長野グラノーラを完成させるために様々な方に協力して頂いたことで、ネットワークができたことは大きな収穫でした」と語ります。

課題となったのは販路の確保です。商談会に参加すると、100社以上から商談の話がありました。しかし、どの企業も価格交渉を行ってきます。自分が価格交渉に応じると、長野グラノーラを支えてくれている人たちに影響が出る。安価な価格設定で量産し、利益を追求することだけが目的ではないと考えた原田さんは、価格を下げるという選択をしませんでした。

インターネットショップでは一定数が売れ、リピーターがついている。イベントに出店すれば完売する。商品に手ごたえを感じているからこそ適正価格を守りたい。そこで選んだのがギフト販売です。ある会員組織のプレゼント商品に選んでもらうなどして販路を徐々に拡大。2018年3月からは、長野県ふるさと納税の返礼品の一つに選ばれました。

長野グラノーラ単品でなく、関連商品の総合力で勝負

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看板商品だからこそ、利益よりも商品価値を守ることを選びましたが、長く販売し続けるための方策も抜かりありません。鹿肉の加工の過程で出てしまうロス部分を使った犬用のおやつや、鹿肉をパウダー状にして塩と混ぜた「鹿塩」などの商品展開を開始。

加えて、2017年末には減圧乾燥機を導入しました。もともと協力企業に依頼して、業務用ドライフルーツの製造を行ってきましたが、鹿肉のかわりにドライフルーツを使った、長野グラノーラのシリーズ展開も見据え、自社工場に減圧乾燥機を導入したのです。

「減圧乾燥機は、圧力をかけながら低温で乾燥させていくため、食品の色や香り、栄養価を損ないにくいのです。ドライフルーツになっても発色がきれいだし、果物が持っている甘みがぎゅっと凝縮されるので、砂糖などを使わなくても本当に甘い。グラノーラにもよく合いますし、これなら長野の果物の魅力をもっと引き出せると思いました」。

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