糖度が高いトマトも人気上昇中
トマトはナス科トマト属の野菜です。主流は完熟系の大玉トマトですが、色や味、調理用途などが異なる品種を取り揃えている小売店が多く見られます。近年では糖度が高い中玉タイプも人気なため、糖度表示を行う店も増えてきたようです。
また、そのまま食べられるミニトマトや、加熱調理用のトマトも人気です。加熱調理用のトマトはうまみ成分が多く、果肉が厚いため、おでんや鍋などの和食にも使われます。通常の赤いトマトのほか、赤色の色素リコピンを持たない緑色や黄色の品種、紫色、黒色の品種なども販売されています。
トマトの歴史
トマトの名前は、古代メキシコ語で「膨らむ果実(かじつ)」という意味の「トマトゥル(tomatl)」からきています。ペルーやエクアドル、ボリビアにまたがるアンデス山地で生まれた野菜で、古くからラテンアメリカの先住民が食用にしていました。15世紀のコロンブスの新大陸発見によりヨーロッパ各地へ伝わりましたが、食用とされるようになったのは18世紀になってからと言われています。それまでは観賞植物として栽培されていました。日本へは江戸時代初期(17世紀)に観賞用としてもたらされ、昭和に入ってから野菜として普及し食べられるようになりました。
鮮度の良いおいしいトマトの見分け方
色むらがなくツヤとハリがあって、硬くしまっていて丸みがあるもの選びましょう。果実が角張っているものは、中が空洞なことが多いです。ずっしりと重く、果頂部から放射線状に線(スターマーク)が出るとおいしい証拠です。また、ヘタ部分は濃い緑色でピンとしているものがよいでしょう。ヘタの近くがひび割れているものや果皮に白い斑点が浮き出ているものは糖度が落ちて、味が悪いものが多いので気をつけましょう。

作図:唐沢 明
苦いトマトは、日照不足や肥料が多かった、土の水分が多かったといった原因が考えられます。
調理用のトマトの中には中が空洞の品種もあります。これは水分が少ないため形が崩れにくく、空洞を生かした詰め物料理などに利用されます。
トマトの保存方法
トマトは必ず冷蔵保存だと思っている人も多いのではないでしょうか。買ってすぐに冷蔵庫に入れると鮮度が落ちる場合もあるため、できるだけトマトは常温で保存しましょう。特に青い部分が残っているものは、常温で保存し追熟させるのがおすすめです。熟したものほど、うまみのもとであるグルタミン酸が多くなります。トマトの果頂部は弱いので、保存するときはヘタを下にして置きましょう。
実は、トマトは用途に合わせて常温・冷蔵・冷凍保存ができるのです。それぞれの保存方法と特徴をまとめました。
常温保存
トマトがまだ青く熟していないときや、トマトの栄養をしっかりととりたいときは常温保存します。トマトは収穫後も15~25度の温度下であれば、追熟していきます。実がまだ青いときは常温で2、3日ほど置き、赤く熟れてきてから冷蔵庫で保存しましょう。また、熟せば熟すほどリコピンの量も増えるため、栄養をしっかりとりたい場合には食べる直前まで常温保存すると良いでしょう。ただし、夏場は気温が高く傷みやすいので冷蔵庫で保存します。
冷蔵保存
生のままトマトの歯応えを楽しみたいときには冷蔵保存します。また、赤く熟れたトマトは常温下だと栄養素が失われてしまうため、冷蔵庫で保存します。冷蔵庫で保存する場合、保存期間は約2週間です。へたの部分を下にして、ポリ袋の中に入れて口を軽く閉めて保存します。トマトは重なり合うとその部分から早く悪くなるので、くっつかないように並べるのがポイントです。
冷凍保存
パスタやカレーなどの具材として加熱調理するときには、冷凍保存がよいでしょう。トマトを冷凍すると食感は損なわれますが、細胞が壊れ、中に閉じ込められているうまみ成分が外に出やすくなるためです。冷凍庫で保存する場合、保存期間は約1カ月間です。トマトの皮むきを楽にしたいときには丸ごと冷凍、解凍せずにそのまま料理に使いたいときにはカットしてから冷凍するのがおすすめです。丸ごと冷凍する際には、ヘタの部分だけ包丁でくり抜き、そのまま密閉パックに入れます。カットしてから冷凍する場合は、まずはヘタの部分を包丁でくり抜いた後、ざく切りにします。これを密閉パックに入れて塩で軽くもんで全体を混ぜてから、平らにして金属トレイの上に乗せて冷凍保存すると良いでしょう。
トマトの栄養 トマトジュースは夜飲むと良い?
トマトの赤い色素はリコピンと呼ばれるもので、活性酸素を除去する抗酸化物質が含まれています。この物質には老化の進行を抑制したり、がんや動脈硬化を予防する働きが期待されています。リコピンは温めると吸収率が2倍、3倍に増えます。熱に強く、煮たり焼いたりしても抗酸化力が低下しにくいという長所もあります。さらに、トマトに含まれるビタミンC、Eなど美肌効果が期待される栄養素も加熱により失われることはほとんどありません。そのため、温めたトマトジュースを夜飲むとトマトに含まれている栄養素を効率よく摂取することができるでしょう。また、トマトジュースを飲むとダイエットや美容にも効果的です。
また、ビタミンEは脂溶性のため、オリーブオイルとの相性が良いです。加熱したトマトとオリーブオイルを同時に摂取すると、生食の場合と比べて約4倍のリコピンを摂取できるといわれています。さらにリコピンと同様に活性酸素の発生を抑えるカロテンや、体内のナトリウムを排出する作用を持つカリウムも含まれます。
トマトの旬と時期
トマトの主な生産地には、熊本県、北海道、愛知県などがあります。熊本県産のものが11~6月、北海道産が6~10月頃に市場に多く出回ります。また茨城や千葉などもトマトの生産量が高くなっています。最近は、フルーツのように糖度が高い高知産のてっぺんとまと、徳谷トマトも人気です。
農林水産省 平成30年産指定野菜(春野菜、夏秋野菜等)の作付面積、収穫量
1位 熊本県(137,200トン)
2位 北海道(54,900トン)
3位 愛知県(46,900トン)
トマトの下ごしらえと皮のむき方
調理用のトマトは特に皮が厚いものが多く、ソースにする場合は皮をむくのがおすすめです。また種を取り除くと食感が良くなり、水っぽくなりません。
火であぶってむく方法
ヘタの部分にフォークを刺し、ガスコンロなどの火にかざして回しながら皮を焼きます。皮が少し黒くなったら冷水に入れて、手でむくときれいにはがれます。このとき、熱くなったフォークでやけどをしないよう、気を付けましょう。
湯むきの方法
トマトの果頂部に十文字に切れ目を入れて、沸騰した湯に入れます。数秒して皮がめくれてきたらザルやおたまで取り出し、冷水で冷やします。そして、皮がめくれた部分からむいていきます。中玉以上の大きさのトマト1、2個だけを湯むきする場合には、ヘタの部分にフォークを刺して作業すると便利です。
トマトの種類
トマトはサイズが大きいものから小さいもの、糖度が高いものから酸味が強いものまで、たくさんの品種があります。一般的なトマトの糖度は4~5度くらいといわれていますが、糖度が高いトマトも人気上昇中です。そこで、高糖度のトマトも含めて代表的な品種をピックアップし、それぞれの特徴をまとめてみました。

作図:唐沢 明
ファースト
頭が鋭くとがっているのが特徴です。硬めの果肉ですが、ジューシーでコクがあります。
桃太郎
桃色系丸玉トマトの主流です。果肉は硬めで、熟してから収穫されます。
糖度が高いフルーツトマト
糖度の高い小ぶりなトマトを「フルーツトマト」と呼んでいて、水分を抑えて栽培されています。高糖度なトマトを紹介します。
アメーラ
1996年から静岡で栽培が始められたトマトです。栽培管理によって、桃太郎の糖度を上げたもの。1月21日~6月15日は糖度8度以上、6月16日~1月20日は糖度7.5度以上のものを出荷していて、春は特に糖度が高くなります。「アメーラ」とは静岡の言葉で「甘いでしょ」という意味だそうです。
フルティカ
中玉トマトの中でもとても甘い品種です。糖度は7~8度ですが、酸味が少ないため糖度以上に甘く感じられます。
レッドオーレ
ゴルフボールサイズの中玉で酸味があまりなく、高糖度でコクのある味です。
糖度は8度前後ですが、それよりも甘く感じます。
千果、CF千果(シーエフちか)
千果は、タキイ種苗が作ったミニトマト品種です。その中でもCF千果は、葉かび病・斑点病に強い品種で糖度が高く肉質がとても緻密ですぐれたミニトマトです。糖度が8~10度と高く、果揃いも良いためたくさん収穫できるのも特長で人気の品種です。
黄寿(おうじゅ)
黄色の大玉トマトです。ニンジンなどに含まれるカロテンが多く含まれています。酸味が少なく、糖度が高いため食べやすい品種です。
サンマルツァーノ
イタリアトマトの代表品種です。うまみ成分が多く酸味が強いので加熱調理に向き、トマトソースなどに使われます。
フィオレンティーノ
菊形のトマトです。イタリアのフィレンツェ地方で古くから栽培されている伝統品種です。生食、加熱調理どちらにも向いています。
ブラックショコラ
茶色がかった赤色をしたトマトで、アントシアニンを含んでいます。果肉がしっかりしているので揚げ物にもおすすめです。
アンデス
トウガラシのような形をしたトマトです。果肉が厚く硬めで加熱調理に向いています。皮がむきやすく種が少ないです。
マイクロトマト
直径が1センチよりも小さいトマトです。房付きで販売されて料理の飾りなどに使用されます。
ストライプドキャバーン
角張っており、赤と黄色のしま模様があります。果肉が厚く硬いので、詰め物料理などに利用されます。
アイコ
プラム型のトマトで、赤色と黄色の2種類があります。生食・調理どちらにも向いています。
シシリアンルージュ
イタリア人ブリーダーが開発したトマトです。濃厚な味わいが特徴で、加熱調理やドライ加工に向いています。
コンチェルト
鮮やかな赤色をした細長い形のトマトです。グレープトマトとも呼ばれています。やや皮が硬めの品種で、主にアメリカから輸入されます。
ルビンズゴールド
高糖度のミニトマトです。黄色く小ぶりなプラム型をしており、皮がしっかりしています。
トマトは有史以前から食用にされてきた、長い歴史のある野菜です。日本でもとても人気があり、さまざまな品種が栽培されています。それぞれ味にも特徴があるので、食べ比べてみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド~野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)
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監修:唐沢 明(トマト研究家・大学講師) 2000年にトマト研究所「トマト赤デミー」を設立し、トマト伝道師として、トマトのおいしさや魅力をセミナーや書籍、メディアで伝えている。著書に、「夜トマトダイエット」(ぶんか社)「トマトジュースダイエットレシピ」(アスペクト)「トマトのちから」(日東書院)など多数。 |