農学系の大学が開発した食品とは?
農学系大学に通う学生たちが、地元の特産品を使用したり、地元の企業と連携したりして、魅力的な食品を次々に開発しています。
食材のことをしっかりと研究し、大学生らしい柔軟な発想を生かした意外な効能や思いがけない食べ方を提案してくれるとあって、企業からも消費者からも近年注目を集めています。今回の特集では、このような全国の農学系大学発の食品を紹介します。
実際の研究・開発事例
山梨大学
ブドウ王国であり、国産ワイン発祥の地でもある山梨。山梨大学は山梨県甲府市にある国立大学です。山梨大学は「ワイン科学研究センター」を擁しており、実は日本で唯一のワインを専門とした教育・研究機関なのです。
ワイン科学研究センターが開発した技術をもとに、山梨大学では「大学ワイン」と言われる魅力的なワインを作っています。地元ワイナリー4社と提携して、山梨産のブドウを山梨産の技術で作り上げたワインは、ワイン通をも唸らせる、まさにメイドイン山梨の逸品です。
山梨マスカットベリーA樽熟成
山梨県で最も多く利用されている赤ワイン用品種、マスカットベリーAの穏やかな香りと果実の風味が堪能できます。山梨大学で長年取り組んできた「赤ワインのポリフェノールに関する研究」の成果を生かして誕生した赤ワインです。
ヤマソービニオン
山梨大学が山梨県に自生している山ブドウとカベルネ・ソービニオンを交配し、淘汰・選別を繰り返して誕生した新種のブドウが使われています。山ブドウの野生的なアロマを持ちながら、酸味、渋み、まろやかさもある赤紫色の美しい赤ワインです。
山形大学
山形大学は山形県にある国立大学。農学部は金峰山の豊かな自然の中で農業生産を実践しながら学べる付属の高坂農場を有し、日々フィールドに根ざした農学と農業の実習が行われています。
実習米(はえぬき・ササニシキ・ミルキークイーンなど)
山形大学の学生が、山形大学農学部高坂農場で授業の一環として田植え・稲刈りを行って生産されたお米です。毎年すぐに完売してしまう人気商品です。
山形大学農場「紫黒米(しこくまい)」
紫黒米は、遺伝資源の保存のために山形大学農場で少量栽培されてきた「長粒」「モチ性」系統のお米。
玄米のぬかが紫黒色をしており、栄養成分は白米に比べると、タンパク質・ビタミンB1・B2・ナイアシン・鉄・カルシウム・マグネシウムなどが豊富に含まれています。白米に混ぜて炊くことで手軽に綺麗な赤飯になりますが、この赤い色素はアントシアニンで、血管を保護し、動脈硬化を予防する働きがあると言われています。
宮崎大学
宮崎大学は宮崎県の豊かな自然の中にある国立大学。農学部の中に畜産草地科を有し、肉用家畜の生産と、家畜を育てる上で大切な草地の研究との両面から、教育・研究を行っています。
宮崎大学Beef
宮崎大学農学部付属の牧場で肥育された上質な黒毛和牛が、宮崎大学の誇る「宮大Beef」。牧場で生まれた仔牛から、学生が丹精込めて育てた牛の肉です。牛が食べる草は牧場内で育った牧草100%という贅沢な環境で育っています。
宮崎大学Milk
大学付属の広大な牧場で毎日放牧され、健康的に育てられた乳牛から搾った牛乳です。
新潟大学
新潟大学は、日本屈指の良質米の産地・新潟にある国立大学です。新潟は高品質なお米の産地であると共に名水地としても知られ、日本屈指の日本酒の製造地でもあります。
新潟大学オリジナル大吟醸酒「新雪物語 華甲」
新潟大学農学部付属の農場で栽培された、大吟醸用酒米「越淡麗(こしたんれい)」を原料に作られた日本酒です。
醸造は、以前から農学部の事業と連携していた近隣の塩川酒造に依頼し、田植えや収穫などの米作はもちろん、仕込み・瓶詰めまで学生が携わるこだわりの一本となっています。
学生が作る魅力的な食品を味わおう!
前後編にわたり、大学が開発した食品を紹介してきました。青春を農業に燃やす学生たちの汗と努力の結晶が、魅力的な大学ブランド食品を生み出しています。
大学生が作ったと言って侮るなかれ、どれも食通たちを唸らせる逸品ぞろいです。
主に大学生協や近隣の小売店などで販売されていますが、お取り寄せができる場合もあります。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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農学系大学が研究・開発して販売する食品紹介(前編)