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就農者の初期費用を大幅削減! JA高知はた「園芸用ハウスのレンタル事業」

就農者の初期費用を大幅削減! JA高知はた「園芸用ハウスのレンタル事業」

高知県のJA高知はたは、農家にレンタルする園芸用ハウスの整備費などを補助する、高知県の「園芸用ハウス整備事業」を活用して、園芸用ハウスのレンタル事業を行っています。施設園芸の初期費用が大幅に抑えられるため、IターンやUターンで新規就農する人たちにも活用されているといいます。園芸用ハウスのレンタル事業について、JA高知はたの溝渕誠(みぞぶちまこと)さんにお話をうかがいました。

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県と市町村2つの助成で補助率が上がる

施設園芸

高知県は「県の面積の大半が森林のため(※)、圃場面積が狭い」、「温暖な気候を活かした栽培ができる」という理由から、古くから施設園芸が盛んな地域です。

1998年に旧幡多郡内の12のJAが合併して誕生した「JA高知はた」では、高知県が実施する「園芸用ハウス整備事業」を活用して、農家に園芸用ハウスを貸し出しています。

園芸用ハウス整備事業とは、農家にレンタルする園芸用ハウス(ビニールハウス)をJAなどが整備する際に、県や市町村がハウスの建設費などを補助し、初期費用を軽減するという事業です。

これにより、施設園芸の初期投資が抑えられることで、農家の規模拡大や新規就農者の確保につなげ、園芸産地の維持・強化を目指します。

園芸用ハウス整備事業の事業主体になれるのは、市町村またはJAです。市町村が事業主体の場合は、高知県からの補助しか受けられません。しかし、JAが事業主体になると、県の補助に市町村の補助も上乗せされるため、園芸用ハウスの整備にかかる補助率が上がります。「JAが事業主体になりレンタル事業を行えば、農家の負担低減に繋がると思い、県の事業を活用しています」と溝渕さん。

※参考:林野庁 都道府県別森林率・人工林率

費用がかかる施設栽培にも参入しやすくなる

施設園芸

高知県は前述の通り圃場面積が狭く、米や小麦など大規模な栽培を行う「土地利用型作物」の栽培には適していないとされます。そのため、新規就農者も、小面積で所得が確保できる施設園芸を選ぶケースが多いそうです。

また、新規就農者がハウスの規模を拡大する場合も、すべて自己資金で行うと大きな投資となりますが、レンタルハウスなら補助金が出ます。

JAから農業施設を借りる場合、農家はJAにレンタル料を払います。この際、農家が支払うのは、施設の元値から補助金分を差し引いた金額になります。また、台風や積雪による破損を考慮し、農業共済の施設共済への加入が義務付けられます。

なお、レンタルハウスでは、野菜、花、果樹の品目の栽培が可能です。実際に現在は、キュウリやピーマン、ショウガ、ミョウガ、マンゴー、イチゴ、米なす、シシトウなど、多彩な品目が栽培されているといいます。

IターンやUターンで新規就農する人が活用

施設園芸

ハウスを借りる人の割合は新規就農者が最も高く、IターンやUターンで新規就農する際に活用されているといいます。

例えば、新規就農者が30アールで約3,000万円の施設を設置したいと考えた場合、レンタルハウスを利用すれば初期費用がほぼ発生しないため、年間約82万円のレンタル料だけで施設を利用できるそう。なお、契約期間は基本的に15年となっています。また、金額は、市町村や取り組みの条件によって変わるといいます。

「ある農家さんは、Iターンで就農する際にJA高知はたから園芸用ハウスを借りて、ミョウガを栽培しています。現在、ハウスの規模拡大を計画しており、今後は柑橘も生産し、収益の向上・安定を目指すそうです」。

JA高知はたの園芸用ハウスのレンタル事業は好調で、利用者は現在214人にのぼるといいます。
レンタル事業を利用した方で離農した方は、この10年間で1人もいないそう。JA高知はたの管轄地域で就農する人は、年々増えていることがうかがい知れます。

また、2015年からJA高知はたは、この畜産版ともいえる「高知県レンタル畜産施設等整備事業」を活用し、畜舎のレンタル事業も開始。2015年には肉用牛の牛舎を一件、2016年には養豚の豚舎を一件、それぞれ貸し出しているそうです。

新規就農者はもちろん、既就農者にとっても心強い園芸用ハウスのレンタル事業。お住まいの地域でも、行政による農家へのサポートが行われているかもしれません。この機会に、ぜひ調べてみてはいかがでしょうか。

JA高知はた
画像提供:JA高知はた

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